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愛知県「看護修学資金」回収不能問題 第三者委員会報告→755人分、4億4500万円を債権放棄へ

①督促怠り 愛知県看護修学資金の債権を放棄
 2016/11/15 CBC

 看護師などを目指す学生に、愛知県が貸し出す奨学金について、およそ4億5000万円が回収不能になり、県は、その殆どの債権を放棄すると共に、担当者を処分する方針です。

 愛知県は、看護師などをめざす学生に、奨学金を貸し出す「看護修学資金」の制度を設けていますが、返還の督促を怠るなど、不適切な管理により、1971年から2013年までに貸与した761人から、およそ4億5000万円が回収できていません。
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 県は、このうち時効が成立している4億4500万円を債権放棄し、16日、担当した職員3人を、戒告の懲戒処分に、13人を、口頭訓戒や所属長厳重注意の処分にするとしています。

 県は、「責任は極めて重大で、深く反省するとともに、再発防止に努める」と話しています。

②修学資金4億4500万未回収
 2016年11月15日 NHK名古屋放送局

愛知県が看護師を目指す学生に貸し付けた修学資金、23億円あまりが返還されないままになっていた問題で、県は調査の結果、約4億4500万円が回収できなかったとして債権を放棄することを明らかにしました。

問題となったのは愛知県が看護学校などで学ぶ学生に修学資金を貸し付ける制度で、歴代の担当者が学生らの卒業後の調査を怠っていたため、平成25年度までの43年間にわたって4000人あまりに貸し付けた、計23億7900万円が返還されないままになっていました。

問題の発覚を受けて、県は、去年、第三者委員会を設置して追跡調査や返還を求める手続きなどを進め、15日、その結果を公表しました。それによりますと、これまでに3290人から返還を免除した額なども含めて約19億2900万円を回収したということです。

しかし、755人分の約4億4500万円が最終的に回収できなかったとして債権を放棄するとしています。

県は、歴代の担当部局による組織的な怠慢が問題の原因だとして、制度に携わった職員やOBに対し債権放棄分を穴埋めするための協力金を募るとともに、健康福祉部の幹部職員ら16人を戒告などの処分にしました。

愛知県健康福祉部保健医療局の松本一年局長は「深く反省するとともに、再発防止に取り組んでいきたい」と述べました。

③4億4500万円、債権放棄へ 愛知県「看護修学資金」回収放置
 2016年11月15日 中日新聞

 愛知県で四十年以上にわたり、看護学生らに貸与した「看護修学資金」の返還や返還免除の手続きを、歴代の職員が怠っていた問題で、県は「回収の見込みがない」として、昨年発覚した二十三億円強のうち、四億四千五百万円を債権放棄することを決めた。ずさんな管理などの責任を問い、現役職員十六人を懲戒処分などにする。

 不適正処理に関する過去の判例を参考に、管理が適正なら返還された可能性があった修学資金の貸付金の5%に相当する二千二百九十万円は、歴代の職員七十六人に弁済への「協力」を求める。対象は退職者も含み、一人当たり二十五万~四十万円。

 県は昨年三月、約四千五十人に貸与した修学資金二十三億七千九百万円分の返還免除や返還の手続きを、職員が放置していたと発表。県内の中小医療機関に一定期間勤務すれば、返還は免除されたが、県の説明によると、申請者が急増した一九七〇年代初めから手続きを怠っていた。

 歴代職員は関係書類を廃棄し、債権を証明できないケースも多いことが発覚したが、大村秀章知事は徹底調査を指示していた。

 関係者によると、県は調査や督促を重ね、今年九月末までに約三千二百九十人分は返還や免除の手続きを済ませた。残る約七百六十人分、四億五千万円は「住所が分からない」「書類がない」などで手続きが進まなかった。県は、このうち、二〇〇〇年より前の七百五十五人分、四億四千五百万円は、「民法上の時効」に当たることもあり、債権を放棄する。〇一年以降の六人分、五百万円は調査や督促を続ける。

 県が昨年十月に設置した第三者委員会は「債権管理への組織の意識が低く、督促業務が少数の担当者の努力に委ねられてきた」ことが問題の背景にあると指摘。「ずさんな債権管理」に関わった職員は退職者を含め六十人以上とされ、いずれも現職の部長級一人、部次長級二人の計三人を戒告とし、十三人は口頭訓戒や厳重注意とする。

④愛知県、4億4500万円の債権放棄 看護学生へ貸付金
 2016年11月15日 朝日新聞

 愛知県は15日、看護学生に貸し付けた修学資金で、40年以上にわたり返還督促などを怠っていた23億7900万円のうち、4億4500万円を回収不能と判断し、債権放棄すると発表した。関係職員は退職者を含め83人とされ、在職中の16人を戒告などの処分とする。

 貸付金は県内の中小医療機関に一定期間勤務すれば返済が免除されるが、県は昨年3月、対象者の就職先確認や返済督促を怠り、約4千人分の約23億8千万円が放置されていたと発表した。

 調査の結果、資料が破棄されて追跡不能な額が4億4500万円となり、債権放棄せざるを得ないと判断した。このほか、返還免除の対象が14億8500万円分と確認され、返還済みが6100万円、時効により回収できなかった額は3億3500万円となった。

 県は今後、退職者を含む関係職員76人に各25万~45万円、健康福祉部の約1200人に各5千~10万円の「協力金」の支払いを求める。

⑤<愛知県>修学資金4.4億円の債権放棄 職員処分へ
 2016年11月15日 毎日新聞

 看護師を目指す学生らを支援する愛知県の修学資金23億7900万円の返還手続きが未了だった問題で、県は15日、回収の見込みがないとして、4億4500万円の債権を放棄すると発表した。管理責任を問い、健康福祉部の部長、部次長級の3人を懲戒(戒告)とするなど現役の職員計16人を処分する。

 貸付金は1962年度に創設され、2013年度まで1万2715人に67億8900万円を貸与。学生は卒業後、県内の中小規模の医療機関に一定期間勤務すれば、返還が免除される仕組みだった。

 県は昨年、4051人の手続きを職員が放置していたことを明らかにし、弁護士らの第三者委員会が調査していた。県の催促で、3290人が19億2900万円の返還や免除の手続きを済ませた。ただ、755人の4億4500万円は00年度より前の貸与で、返還開始日から10年が経過し、民法上の時効が成立していることなどから債権を放棄。残る6人の500万円は回収作業を続ける。

 不適正処理を巡る過去の判例から、管理が適正なら返還された可能性があった貸付金の5%相当にあたる2290万円について、退職者も含み職務に関与した76人に協力金として支払いを求めるという。【山口朋辰】

(春之介のコメント)
幕引きがあり、債権放棄ということで、資料が残っている僅かな分に関しては引き続き回収に務めるとする。

そして過去に携わった職員に、協力金をお願いするということだ。

職員の協力金

(1) 職員に対し、その道義的責任等に鑑み、相応の金額の自主的な負担(協力金)を求めることとする。協力金の額は、裁判例等を参考に、今回の不適切な債権管理が、制度上の問題や組織的な問題などに起因していることを踏まえ、適切に債権管理を行っていれば県に返還された可能性のあった貸付金額(返還可能性額)の5%相当(2,290万円)を目安とする。

(2) 対象職員(76人。退職者を含む)の役職及び従事年数により職員1人当たりの協力金は40万円から25万円とする。また、今回の事案が、制度上の問題や組織的な問題などに起因していることに鑑み、健康福祉部職員(1,204人)にも広く協力を要請する(1人当たり10万円から5千円)


なぜ5%なのか、裁判例等を参考にと記しているが、むろん100%でも決断すればできよう。

つまり給与の一ヶ月分にも満たない金額を支払えば、道義的も許されるというのであろうか。

この協力金は直接関係ない、健康福祉部職員1204人からも広く協力金を募るとあるが、そう言うならば全職員から協力金を募るべきだろう。027.gif

この辺りに、民間企業では到底考えられない身内同士のかばい合い体質が見て取れる。

その協力金すらも支払われない可能性があることと、それを事後に県民に報告してくれるのだろうか。

県議会は何をしているのだろうか、この件ついて追求したという記事は見たことがない。

記者会見では、副知事や部長・次長は出てこなかったことで全県的な問題という認識はないということだろう。

もともと忙しくて手が回らないのでほっておいたというのが主な理由である、それは担当者の怠慢に加えて職務の割り振りができていない管理職の問題ともなる。

この件の発覚時に、他の都道府県でも同じような問題を抱えている可能性を示唆したのであるが、それを追求したマスコミはないようである。

現在、奨学金制度の問題がクローズアップされており大学生らが返済不能となっている現実である。

この看護修学資金も、別立てではあるが同じ趣旨であり返還義務免除の要件はハードルが低いともいえる。

それでも755名が、住所不明や再三の手続き等を要請しても応じないケース等であることに返す返す残念である。

なぜなら県民の税金という意識がないということであり、この人たちは看護職という仕事を汚すことにもなりかねないだろう。

返還義務免除となるかどうかは受けていた本人は分かっているはずであり、ネコババと言われても仕方がない。

加えて、それを知っていても催促すらしなかった県側も同罪であり、もはや制度そのものを考え直すべきなのかもしれない。

つまり返還義務のない給付型にし、薄く広く支援することも看護人材不足を補うには効果があるだろう。

どちらにしても返還する意識が希薄で、かつ催促する意識も希薄という関係性で起きたことであり、そもそも制度そのものが歪だったのだろう。

第三者委員会の報告書を読むと、担当職員は一名だけだったということだ。007.gif

それでも今回、公表し残務処理にあたった職員各位には大変なご苦労があったことだろう。

どのような追跡調査をしたのかが知りたいところであるが、調査内容詳細は公表されないようで疑問も残るが、これを契機として埋もれている業務を再点検することが全庁的に求められる。


<以下参照>
看護修学資金の債権管理適正化に向けた県の対応について
2016年11月15日 愛知県健康福祉部保健医療局 医務国保課
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『看護修学資金債権管理適正化に関する提言』
平成28年10月28日 看護修学資金債権管理適正化第三者委員会

 提言(全体) [PDFファイル]
 提言(別表) [PDFファイル]


<以下追加引用> 知らない間に強制終了していた
看護修学資金の不適切な債権管理に係る職員協力金について
2017年5月15日 愛知県健康福祉部健康福祉総務課

看護修学資金の不適切な債権管理に係る職員協力金については、適切な管理を行っていれば県へ返還される可能性があった貸付額(4億5,818万円)の5%相当、2,290万円を目安として、昨年11月末から本年3月末を期限に、退職者を含む健康福祉部関係職員に協力を依頼してきましたが、4月末までに集まった金額は下記のとおりです。
なお、協力金を精算し、必要経費を差し引いた金額を5月中に県へ納入する予定です。

1 協力金の金額・協力者数

  25,702,783円(547人)

2 協力金の内訳
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 ○目安額2,290万円:
   看護修学資金債権管理適正化第三者委員会(構成員:弁護士、公認会計士)の提言 (H28.10.28)を踏まえ、不適切な債権管理の要因として制度上の問題や組織的な問題などが複合していることを考慮し、過去の裁判例等を参考に返還可能性額に対する負担割合から算出した。


<以下関連> 愛知県の事案と同じ構図、心配していたことが再度起きた!
返還必要か11億円未確認 千葉県の看護師向け奨学金 介護福祉士も
2018年3月31日 千葉日報デジタル

 千葉県は30日、看護師不足などの改善を図るために看護学生らに支給し、県内に一定期間勤務すれば返還を免除する修学資金貸し付け(奨学金)制度を巡り、勤務状況が判然とせず、返還する必要性の有無を確認できていない対象者が、2992人に上ると発表した。1972~2011年度に養成学校を卒業した人たちで、未確認の貸し付け総額は約11億2千万円に達する。

 本来は返還すべきだった人が含まれている可能性が高く、個別に問い合わせて確認を急ぐ方針。介護福祉士や社会福祉士向けの奨学金制度でも、同じ事態が起きていたことも分かった。

 県医療整備課によると、看護師奨学金の返還対象者を確認できていない事態は、14年8月に定期監査で指摘された。卒業後の勤務状況などを添えた書類を出さない対象者が多いうえ、県側も、書類の督促や確認作業を十分に行わず、累積していたという。

 県は同年以降、担当者間の引き継ぎ徹底や、学校を通じて書類提出漏れを防ぐ仕組みを導入し、確認強化に乗り出す一方、資料が残る範囲で過去にさかのぼった実態調査を進めていた。

 同制度(現行)は、私立の看護専門学校に3年間通った場合、毎月1万8千円を支給。資格取得後、県内で5年勤務すれば返還を免除する。本年度の支給対象枠(1年生)は590人。

 最近の傾向では全額免除者の比率は約7割。このため、今回の未確認分でも、返還が必要な人は一定数に上るとみられるが、民事上の時効を主張されて回収できない事態も想定される。

 一方、県健康福祉指導課では、介護福祉士などを目指す学生向けの同様の制度(1993~2008年度に県が直接実施)でも、約300人分(総額約2億5500万円)が未確認だと16年中に把握していたが、今回のタイミングまで発表していなかった。個別確認を進めて現状の未確認者は180人に減ったという。


<以下関連エントリー>
愛知県「看護修学資金」過去43年間、約23億円分の事務手続き怠り、未処理状態 ⇒時効消滅で回収は困難!?
by negitoromirumiru | 2016-11-15 16:48 | 医療 | Comments(0)


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