精神障害者の生活実態 奈良県が初のアンケート調査 精神科以外の医療費3割負担は生活を圧迫

精神障害者の生活実態 県がアンケート 奈良
2013年11月15日 産経ニュース

 ■6割以上年収100万円未満 医療費圧迫、制度改正を検討

 県は14日、県内の精神障害者の生活実態に特化して実施した初のアンケート結果を公表した。回答した精神障害者の6割以上が年収100万円未満と判明。現状では精神科以外を受診した場合、県などが医療費を助成する「福祉医療制度」を身体障害者や知的障害者と同じようには適用されず、医療費が生活を圧迫している実態も浮き彫りに。精神障害者や支援者でつくる団体は適用を認める制度改正を要望しており、県も来年度予算案に反映させる検討を始めた。

 精神障害の症状には、統合失調症や気分障害・感情障害、てんかん、アルコール中毒症などがあり、身体障害者や知的障害者とは法的にも区別されている。

 アンケートは、障害者や支援者の要望を受けて今年8月、精神障害者福祉手帳を持つ県内の1216人を対象に実施。43・4%の527人から回答を得た。

 本人の年収では、50万円以上・100万円未満が40%と最多で、1円以上・50万円未満が11%、0円が10%と、全体の6割以上が100万円未満だった。平均年収は約95万円。

 同居家族の年収は、300万円未満が57%と半数以上を占めた。年収の種類別では年金が62%で、高齢の家族が精神障害者を支えている実態も浮き彫りとなった。精神障害以外に、歯の疾患や高血圧、糖尿病などの病気も抱えているとする回答は63%に達した。

 現状では精神科以外で受診した場合、福祉医療制度は適用されないため、医療費の3割は自己負担となる。

 精神障害者や支援者は制度適用を求めて昨年9月、「精神障害者の福祉医療を実現する県会議」を結成。県内市町村への要望を始めており、県議会の9月定例会では請願が採択された。

 会議によると、精神障害者や家族からは「精神病が原因でも、治療を受けるのが精神科以外だと3割負担になるのはおかしい」「今は働いていないので両親に負担をかけてしまい、精神科以外には通えない」といった疑問や不満の声も寄せられているという。

 会議の奥田和男共同代表は「働くことが難しい精神障害者もいるのに、医療費の3割負担は生活を圧迫している」と訴えている。

 一方、県の担当者は「福祉医療制度適用に向けて予算要求しており、検討を進めている」としている。

(春之介のコメント)
大きな視点として、精神疾患に例えば内科的な病気や歯科の問題が絡んでいることは誰もが知っている。

医療費削減が目的として、病気を重篤化させないことが結果として良いことは国の方針としてもあり、検診制度の充実に大きく舵を切っている。

介護保険制度の改正においても、要支援者を分離して実質的な抑制を行うことに対して、識者からは介護負担が増加するという見通しと削減できるとする見通しがあり対立している。

日本では実現できていないが、家庭医制度のようなものを作って一元的に健康管理することが模式的には望ましいという気持ちがする。

患者や家族が、勝手に病院をはしごして時間と費用をかけるようなあり方は違っているだろう。

精神疾患の根本的な治療法は未だになく、一定数の人たちを社会で支えていくことは義務だ。

このアンケートで浮かび上がってくることは、他の障がい者同様の厳しい生活環境である。

トータルとして国のあり方として、社会的弱者をどう処遇しともに生きるのかを世界に示すことが、我が国が先進国なのかどうかを示す唯一の指標なのだ。


<以下追加引用>
福祉医療制度:大詰め 精神障害者も適用を 県、月内にも調査結果 /奈良
2013年10月07日 毎日新聞 地方版

 県内の精神障害者や支援者が、医療費の自己負担分を自治体が助成する「福祉医療制度」の適用を求めた運動が山場を迎えている。要望を受け、県は生活状況や医療費負担に関する調査を進めているが、結果は月内にもまとまる見通しだ。7日には県議会が請願を採決する予定。関係者は2014年度からの予算計上を切望しており、県側の対応を注視している。【釣田祐喜】

 ■蓄え削り…

 「貯金を崩して医療費を払う状態」。15年以上前から統合失調症があり、ヘルニアも患う山根一洋さん(43)=奈良市=は苦しさを吐露する。

 大阪府の印刷会社で働いていた27歳の時、職場の人間関係に悩み退職した。被害妄想などがあり、病気と診断された。入院や通院しながらアルバイトも転々とした。30代で4年間勤めたラーメン店では、力仕事でヘルニアを患った。治まっていた痛みは職業訓練を始めた昨年以降、再発した。しかし「医療費の自己負担分を支払えないかもしれない」と最近は通院していない。

 妻もヘルニアの持病に加え、そううつ病の治療で1カ月程度の入院が年に2回ほど必要。入院は1回で5〜10万円かかることもあるという。

 2人の収入は、障害基礎年金2人分の約13万円。家賃や食費、光熱費などにほぼ消える。医療費は、蓄えを削って支払う。山根さんは「貯金がなくなれば家賃も払えず、行く場所もなくなるかも。福祉医療制度の適用があれば」と願う。

 ■「3割負担は過酷」

 福祉医療制度は、身体障害者と知的障害者が病気で入院・通院した時の医療費の自己負担分を助成する市町村の事業。県も半額を助成する。身体障害者手帳の1、2級か療育手帳(知的障害者に発行)のA1、2の人は、入院月額1000円、通院(14日未満の入院含む)月額500円を支払えば残りの自己負担分を助成する。手帳の範囲を独自に拡大している市町村もある。

 しかし、精神障害者には制度が適用されない。法律に基づく精神疾患の通院治療の自己負担分に支給はあるが、入院や他の病気の医療費は3割負担となる。県精神障害者地域生活支援団体協議会の刀根治久事務局長は「意欲があっても、体調の波が激しい精神障害者は働き続けることが難しい。健常者と変わらない3割負担はあまりに過酷」と指摘する。

 山根さんら当事者や、家族、支援者らは制度の適用を求めて昨年9月、「精神障害者の福祉医療を実現する県会議」を設立した。今年に入り、県内39市町村に要望した結果、「(費用を折半する)県が実施すれば考える」などの回答が30以上の自治体に上ったという。県にも実施を要望し、生活状況などの調査にも協力してきた。

 県内で精神障害者保健福祉手帳の所持者(6月末現在)は、1級967人▽2級4424人▽3級1135人−−の計6526人。刀根事務局長は「精神障害者の実態をよく見て、手帳所持者全員への制度適用を」と訴えている。

<以下引用>
精神障害者:平均年収95万円 6割別の病気抱え 県が初の調査、回答527人 /奈良
2013年11月15日 毎日新聞 地方版

 県は14日、県内の精神障害者だけを対象に、生活状況や医療費負担などを尋ねた初の調査結果を公表した。回答を得た527人の平均年収は約95万円で、335人(63%)が精神疾患以外の病気を抱えていた。そのうち約1割は、経済的な事情から治療を受けていなかった。県は「医療費が暮らしに大きな負担になっている」として、施策を検討する。【釣田祐喜】

 精神障害者や支援者らでつくる「精神障害者の福祉医療を実現する県会議」が、身体障害者と知的障害者が病気で入院・通院した時、医療費の自己負担分を助成する「福祉医療制度」を精神障害者にも適用するよう要望。これを受けて県は今年8月、精神障害者保健福祉手帳所持者のうち約1200人を無作為抽出して調査を依頼し、527人から回答を得た。

 内訳は▽40〜49歳134人▽50〜59歳97人▽30〜39歳96人などで、働き盛り(18〜59歳)が70%。年収は50万円以上〜100万円未満が212人▽100万円以上〜200万円未満134人▽50万円未満110人−−で、平均年収は約95万円。

 精神疾患以外に高血圧や糖尿病など別の疾患があると回答したのは335人。このうち62人は治療を受けておらず、その理由(複数回答)は▽「お金がない」26人▽「家族に経済的に負担をかける」5人−−などだった。

 県会議は同日、奈良市で調査結果の報告会を開催。双極性障害を持つ奈良市の男性(42)は、働く意欲はあるが体調の波が激しく、仕事を続けられなかった半生を語り、「就労の難しい精神障害者に医療費の負担は重い」などと訴えた。
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by negitoromirumiru | 2013-11-16 09:14 | 躁鬱 | Comments(0)


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