人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「医療事故」報告、過去最多の2535件 ⇔ 「医療事故」報告、事故全体の6.6% 総務省が改善を勧告

①医療事故 過去最多の2500件超
 2013年8月28日 NHK

大学病院など全国の主な医療機関273か所から去年1年間に報告された医療事故の件数は2500件を超え、過去最多に上ることが日本医療機能評価機構のまとめで分かりました。

医療事故の分析などを行っている日本医療機能評価機構によりますと、医療事故が起きた場合、法律で報告が義務づけられている大学病院など全国の主な医療機関273か所から去年1年間に報告された医療事故は、2535件でした。これは、おととしより52件多く、平成16年に調査を始めてから最も多くなりました。

このうち医療事故との因果関係は分からないものの患者が死亡したケースは、おととしより40件増えて180件に上ったほか、障害が残った可能性が高いケースは298件あったということです。

事故の内容では、投薬の方法や量の間違いのほか、体内へのガーゼの置き忘れ、それにベッドからの移動の際の転落などが目立つということです。このほか、医師や看護師などが一歩間違えれば重大な医療事故につながりかねないと感じた「ヒヤリ・ハット」の事例は、去年1年間に全国の559の病院で69万件を超え、過去最多に上りました。
「医療事故」報告、過去最多の2535件 ⇔ 「医療事故」報告、事故全体の6.6% 総務省が改善を勧告_e0151275_107061.jpg

日本医療機能評価機構の後信理事は、「依然として同じような事故が繰り返し起きているので、医療機関は今回の報告を確認して医療安全の取り組みに役立ててほしい」と話しています。

②医療事故報告 改善を勧告
 2013年8月31日 NHK

医療事故が起きた場合に報告を求める厚生労働省の取り組みについて、報告が行われたケースは実際の事故のおよそ7%にとどまっていることが分かり、総務省は厚生労働省に改善を勧告しました。

厚生労働省は医療事故を防ぐため、9年前から大学病院などに対し事故の報告をするよう求めていて、委託先の公益財団法人「日本医療機能評価機構」が事故の分析を行って、全国の医療機関に伝えています。

総務省行政評価局が、報告が義務づけられている大学病院など26の機関と、任意で参加している19の機関を抽出して調査したところ、去年3月までの1年間に報告が行われたのは583件で、実際に起きた事故の6.6%にとどまっていることが分かりました。

報告しなかった理由としては、「ほかの医療機関の参考にはならないだろうと考えた」とか、「大きな事故ではなかったから」などといったものが多く、医療機関がそれぞれの判断で報告するかどうか決めている実態が明らかになったとしています。

中には再発防止策が徹底されず、再び同じような事故で患者に障害が残ったケースもあったということです。

総務省は厚生労働省に対し、報告すべきケースを医療機関により具体的に例示するなど改善するよう勧告しました。厚生労働省は「勧告を踏まえて必要な見直しなどの対応を適切に図っていきたい」としています。

(春之介のコメント)
行政評価は予算執行に対するではなく行政サービスの内容に対して評価をするもの。

予算執行については、より権限の強い会計検査院がある。

この勧告だが、むろん強制力はないようであり厚労省側も意見は伺いますといった態度になろう。

NHK報道では、主に医療事故情報収集事業の効果についてだが、全体の勧告では、その他に院内感染対策の推進、効果的な立ち入り検査についても評価している。

さて医療事故情報は記事にあるように一元的に管理されて情報提供され現場に役立っていると思われるが、その報告数は全体の6.6%にとどまっていることや十分に活用されていない実態に対して改善を勧告した。

考え方としては全ての事故の分析評価から事故防止のヒントを提供する必要があるのだが、事故調査をする病院側や日本医療機能評価機構も予算・人材とも十分でないことは明らかだろう。

一般的に事故報告の増加は、熱心にヒヤリ・ハットに取り組む病院が増えているためとも思うが、医師らの養成に問題があり十分な人材が供給されていないことも背景にはあるだろう。

医療とは、手術・投薬といった身体を侵害する行為を他の目的のために許すといった危険を持つゆえに現場の抱えている余裕のなさが全ての事故の遠因となるのだろう。

こうした安全対策には、病院として専門家を雇いスタッフと一緒に改善することが望ましいに違いないが、それが病院の評価につながりより信頼されることが必要であり、事故を起こした病院叩きで済んでは意味がない。

完璧な安全などないことは誰もが知って分かっていると思うが、少しでも安全にする努力を止めたなら技能水準は大幅に低下しマンネリの渦に入っていくだろう。

勧告にあるように、事故調査によって何らかの新しい知見が得られるような事故例を収集することが必要であり、そのバランスを考えて判断できる人材を確保・育成することが肝だろう。


<以下参考>
医療安全対策に関する行政評価・監視
<結果に基づく勧告>

2013年8月30日 総務省行政評価局  厚生労働等担当評価監視官室

結果報告書 全体版 PDF

結果に基づく勧告 PDF
by negitoromirumiru | 2013-08-31 07:48 | 医療 | Comments(0)


<< 難病対策法案の法制化 審議会で... 叱責なのかパワハラなのか・・・... >>