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不妊治療 助成条件の大幅見直しを検討 43歳未満、原則6回まで 厚労省検討会 ⇒2016年度から実施めざす

不妊治療 助成条件の見直しを検討
2013年5月2日 NHK

不妊治療の治療費の助成制度について、年齢や回数の制限を設けるべきかどうかなど条件の見直しについて話し合う厚生労働省の検討会が、2日、初めて開かれました。厚生労働省で行われた初会合には、不妊治療に携わる医師や患者の代表ら13人が出席しました。

体外受精などの不妊治療は保険が効かないため、国と都道府県などが5年間で10回まで1回当たり最大15万円を助成していますが、年齢の制限はありません。助成件数は年々増え続け、平成23年度には11万件を超え、費用は年間およそ200億円に上っています。

検討会では、厚生労働省の研究班が3年前に行われた不妊治療24万件を分析した結果、出産につながった割合は女性の年齢が36歳ごろから急に下がり、40歳で7.7%まで下がった一方、流産の割合は年齢とともに上がり、40歳で35%に上ったことなどを報告しました。

そのうえで、研究班は、治療の有効性や安全性の観点から、助成に年齢制限を設けることや、40歳を超えると妊娠しにくいことなどを啓発していくべきだと指摘しました。

これに対して、不妊治療の患者の支援団体などからは「年齢制限はやむをえないかもしれないが、患者の気持ちも大切で丁寧な説明が必要だ。若い女性が働く職場で妊娠や出産についての理解を広げることも重要だ」という意見が出されました。

検討会では、今後、助成制度に年齢や回数の制限を設けるべきかどうかなど条件の見直しについて議論を進め、この夏をめどに取りまとめることにしています。

研究班の調査内容は

厚生労働省の研究班の調査によりますと、体外受精の件数は毎年2万から3万件増えていて、3年前には24万件を超えています。このうち40歳以上の女性が占める割合は年々増え続けていて、3年前には35%を上回っています。

国際機関などよりますと、国内の体外受精の件数は世界で最も多く、治療を受けている40歳以上の女性の割合も、ほかの国に比べて10%以上高くなっているということです。

研究班が、3年前に行われた体外受精を女性の年齢別に分析した結果、出産につながった割合は、32歳まではほぼ20%と横ばいでしたが、36歳ごろから急に下がり、40歳で7.7%、45歳では0.6%でした。一方、流産の割合は年齢とともに上がり、40歳で35.1%、45歳で64.6%でした。

このため研究班は「助成に年齢制限を設ける場合は、医学的な有効性や安全性の観点から39歳以下とするのが望ましい」という報告書をまとめました。また、体外受精を受けた179人を追跡調査した結果、6回の体外受精までに90%の女性が妊娠し、およそ80%の人が2年以内で治療を終えていました。

このため研究班は、現在5年間に10回までとなっている助成の期間や回数について、「期間を2年間と短縮して合計で6回までとし、1年間の回数制限は設けないのが望ましい」としています。

(春之介のコメント)
晩婚化による妊娠・出産に遅れで不妊治療を受ける人が増え、助成金も増えているが、その効果について検討を始めたようだ。

それは40歳というラインで線引きし、それまでに集中的に細やかな配慮をすることで妊娠・出産を効率的に行おうとするもの。

それは不妊治療に多額の費用がかかり、妊娠を望む女性たちの生活にも影響を与える。

当然に疑問や反対の声は出てくるだろう。

子どもを産み・育てる環境がなければ、少子化は持続し人口構造がさらに高齢化率を高めていく。

前政権の少子化担当大臣が、コロコロと変わってしたのも記憶に新しい。

いろいろな選択が許されていい時代になり、妊娠・出産が遅れることもあるだろう。

また卵子老化という、女性には待ったなしの制約の中で多額の費用とエネルギーを注ぎ困難な不妊治療に臨むのか、それを国は支えるのかは大きな論点となるだろう。

専門家らは、あくまでも医学的に見た所見と断わりながら、止め時が決められない不妊治療に対して考えるような機会をと述べている。

政府では『女性手帳』なるものを作って、こうした問題も視野に入れて書くのだと思われるが、本気で少子化対策しようという意志があるのか、国民の半分を占める女性に対して真摯に語りかけてきたのだろうかが問われることになりそうだ。

なお、記事にあった厚労省研究班の調査とは以下にあるものを指すと思われるが・・・

この検討会だが、論点は以下のとおりである。
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不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会 (外部リンク)
 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局母子保健課

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追記
年齢制限が緩和されて、3歳延長となる方針に変更となった。

座長と発言にあるように生物学的には若い時期に妊娠を促すことを勧めたいというのだが、時代の流れには沿っていない。

ただ不妊治療のリスクや経済的な負担、またメンタル的な問題も含めて議論されることで、老化卵子の周知と絡めて国民に理解を促すことが求められるだろう。


<以下参考>
不妊治療:インタビュー急接近 吉村泰典さん 不妊治療の30年をどう振り返りますか?
2010年10月18日 毎日新聞 <KEY PERSON INTERVIEW>

 体外受精などの生殖補助医療(不妊治療)が始まり、約30年になる。子どもの心身への影響について長期検証を行う厚生労働省研究班代表の吉村泰典慶応大教授に調査の意義や不妊治療の現状を聞いた。【聞き手・須田桃子、斎藤広子】

 ◇子どもの権利置き去り−−日本産科婦人科学会理事長(慶応大教授)吉村泰典さん(61)

 −今年のノーベル医学生理学賞に世界で初めて体外受精児を誕生させた英国のロバート・エドワーズ博士(85)が選ばれました。

 ◆ 生殖医療にとって大きな出来事だ。体外受精と(受精卵の分裂が進んだ)胚(はい)の移植技術は不妊患者にとっては大きな福音となった。輝かしい業績であることには間違いないが、一方で卵子提供による妊娠や代理出産が可能になり、さまざまな社会的、倫理的、法的な問題を提起するようになった。悪いところを治す通常の医療と違い、生殖医療はいわば「バイパス医療」だ。卵管が詰まって精子と卵子が出合えなければ、卵子をとって体外で受精させ培養する。この技術を利用すれば、卵子がない人はもらえばいい、子宮がない人は借りればいい、と卵子提供や代理出産を何の抵抗もなく行う人もいる。かつてクローン胚研究の是非を巡る議論で胚の尊厳が大変な問題になったが、生殖医療では胚や配偶子(卵子、精子)をそれほど深刻に考えないことが多い。

 −野田聖子自民党衆院議員(50)が米国で卵子提供を受けて妊娠したことを公表しました。

 ◆ 問題の一つは医療ツーリズム。仮に日本で規制しても、外国に行けば簡単にできてしまう。また、野田さんは事実婚。私は事実婚論者だが、第三者から配偶子をもらう場合は、子どもの立場が不安定になるのを避けるため、法的に結婚すべきだと思う。50歳という年齢も大きな問題。妊娠時に早産や異常出血などの合併症が起きやすく、医学的にリスクが高い。母親だけでなく子どもにも悪影響が及ぶ可能性がある。また、米国では卵子提供者によって「謝金」の額が異なり、提供者に「謝金」を支払うことが配偶子の売買に当たると思われても仕方がない。社会的、倫理的に見て許されるのか。難しい問題点だ。

 −(第三者の精子提供による)非配偶者間人工授精(AID)で生まれた当事者が最近、出自を知る権利などについて発言しています。

 ◆ 出自を知る権利について我々医療者側は当初、タブー視して真剣に考えなかった。しかし、その権利を守らなければ、子どもたちのアイデンティティークライシス(自己認識の危機、自己喪失)が起きる。親の中にはAIDの事実を子どもに伝えられても、提供者の具体的な情報を知らないため真実を伝えられないことや(遺伝的な)父親の体質を小児科医に伝えられないことに悩む人もいる。

 ◇データ集め影響検証へ

 −生殖医療の子どもへの影響を検証するそうですね。これまで海外と比較してなぜ体外受精の子のデータが少なかったのですか。

 ◆ 第一には、生殖医療を行う施設と妊娠分娩(ぶんべん)を扱う施設との連携が不十分で、医療者側にデータを集める努力が足りなかった。第二に、患者の側でも生殖医療を受けたことを言いたくない、人に知られたくないという人が多かったのではないか。昨年、厚労省の研究班が実施した調査でも、母子手帳に生殖医療を受けたかどうかを記入する制度ができたらどうするか尋ねると51・5%は「記入しない」と答えた。日本産科婦人科学会は07年から、体外受精を受けるすべての人をオンラインの個人票で登録しており、ある程度正確なデータが出てきているが、それでも10%以上は経過が不明だ。今回の研究班調査では、特定不妊治療費助成の利用者に協力を依頼したい。

 −約30年間の体外受精の歴史をどう振り返りますか。

 ◆ あっという間に普及し、発展し続け、飽和状態になっている現状だ。その間、妊娠率を上げることや採卵時の女性の身体的負担を軽くすることを追求してきたが、それらは親の利益に関することで、生まれてくる子どもの福祉は考えられないできた。患者の自己決定権を優先するのが医療の原則だが、子どもの同意を永遠に得ることができないのが生殖医療の難しいところだ。妊娠・出産は生殖医療のゴールではない。30年間生殖医療に携わってきたが、果たして良いことをしてきたのだろうかと思うこともある。一回、立ち止まって考えた方がいいのではないかと。AIDで生まれた子どもたちの叫びは、生殖医療全体がはらむ問題を、我々に教えてくれているのかもしれない。

 ■ことば
 ◇生殖医療で生まれた子どもの追跡調査

 生殖補助医療は、体外で卵子と精子を受精させ、受精卵を女性の子宮に入れて妊娠させる体外受精や顕微授精などの技術。日本産科婦人科学会が07年から実施施設でのデータを集めているが、期間は生後1カ月までと短い。吉村教授が代表の厚生労働省研究班は生殖補助医療で誕生する3000人の子どもについて、精神発達や発育状態を15年間追跡する調査の準備を今年度から始めた。

 厚生労働科学研究
「生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と生殖補助医療技術の標準化に関する研究」研究代表者:慶應義塾大学産婦人科 教授 吉村泰典

<以下追加引用> 批判を受けて・・・!?
不妊治療の助成見直し、年齢制限「42歳まで」
2013年7月30日 読売新聞

 不妊治療の公費助成の見直しについて議論している厚生労働省の検討会(座長・吉村泰典慶応大産婦人科教授)は29日、助成対象を「43歳未満」(42歳まで)とすることで合意した。

 現在最大10回認められている助成回数は6回とする。近く開かれる次回会合で、実施に向けた移行期間を何年とするかを決めたうえで、報告書としてまとめる。

 この日の会合では、対象年齢を「43歳未満」とする場合と、「40歳未満」とする場合の2通りの案が示された。

 「43歳未満」とする案は、妊娠率は年齢とともに低下するのに加え、43歳以上では流産率が50%を超え、出産に至る割合は50回に1回となることや、お産での赤ちゃんや妊婦の死亡率も大幅に増えることなどが理由に挙げられ、会合で妥当とされた。
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早めの治療を促すため、40歳以上で開始した場合は助成を3回までとすることを決めました。(TBS)

<以下参考>
不妊に悩む夫婦への支援について (厚労省、外部リンク)


<以下追加引用>
◆不妊治療助成、16年度から年齢制限実施めざす
 2013年8月19日 TBS

 不妊治療の公費助成の見直しを検討している厚生労働省の検討会は、42歳までという年齢制限の実施を3年後の2016年度からとする見直し案をまとめました。

 不妊治療の助成をめぐっては、厚労省の検討会は、すでに対象を42歳までに制限し、回数の上限も10回から6回に削減するという方針を決めています。

 19日の会議では年齢制限の実施については2年間の移行期間をとって3年後の2016年度から開始するとし、回数の上限変更については来年度から実施するという見直し案をまとめました。これを受け、厚労省は年齢制限について2016年度からの実施をめざす方針で、今後、予算編成の過程で所得制限の額や1回あたりの助成金額について決めることにしています。

◆年齢制限、16年度から=不妊治療の公費助成-厚労省
 2013/08/19 時事通信社

 体外受精など不妊治療の費用助成の在り方を議論する厚生労働省の有識者検討会(座長・吉村泰典慶応大教授)は19日、助成対象を「43歳未満」に制限する時期を2016年度からとすることを決めた。現在は年齢に関係なく助成が受けられるため、治療中の人に配慮し、一定の周知期間を設ける必要があると判断した。

 検討会は既に、治療の有効性や安全性を踏まえ、助成対象を「43歳未満」とすることで合意。助成回数も現在の「5年間で通算10回まで」から、期間は制限しないが原則「6回まで」に減らす方針を決めている。
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◆不妊治療の公費助成「43歳未満」に 厚労省
 2013年8月19日 テレビ朝日系(ANN)

 厚生労働省の有識者会議は、不妊治療の公費助成に「43歳未満」と年齢制限を設ける新しい制度を2016年度から始めることを決めました。

 現在、不妊治療の公費助成は、年収730万円以下の夫婦が対象となっていて、年齢に関係なく1回あたり15万円まで、回数は10回までとなっています。厚労省は先月、40歳を超えると流産のリスクが高まることなどから、助成の対象を「43歳未満」に制限し、回数についても「年齢に応じて3回から6回まで」にすることを決めています。この新たな助成制度について、19日の会議では、43歳未満という年齢制限を2016年度から始めることが決まりました。年齢に応じた回数制限については、来年度から始めます。ただし、すでに助成制度を利用している人は、現在の「10回」という上限が適用されます。

<以下参考> まとめ報告
「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書について
平成25年8月23日 厚労省雇用均等・児童家庭局 母子保健課

不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書 PDF
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関係資料3 PDF

<以下追加引用>
不妊治療助成拡大、初回上限30万円…男性にも
2015年12月28日 読売新聞

 厚生労働省は、不妊治療の助成制度を拡充することを決めた。

 治療1回目の助成上限額を2倍にするとともに、無精子症などでの男性不妊への助成制度も新設する。「1億総活躍社会」実現に向けた事業の一環で、早ければ来年1月下旬から実施する。

 拡充の対象は、体外受精でないと妊娠が難しい夫婦。現在は原則として、不妊治療1回の上限額は15万円で通算6回まで助成を受けられるが、1回目の上限額を30万円とする。妻から卵子を、夫から精子を採取し体外受精を行うのに30万~40万円程度かかる。上限倍増で1回目の費用をほぼカバーでき、受けやすくなる。夫が無精子症などの場合、精巣を切開し精子を採取する必要があり、さらに30万~50万円程度かかる。この手術を受ける場合は、新たに上限15万円を助成する。

<以下参考>
不妊治療に関する取組み (外部リンク、厚労省)


<以下参考エントリー>
不妊カウンセラーとは!? 有料でPCやスマホで養成講座受講 NPO法人Fine 認定ピア・カウンセラー

政府内で少子化対策を議論する会議の新設が相次ぎ、議論混乱の懸念!? 不評の「女性手帳」当面配布見送りへ
by negitoromirumiru | 2013-05-02 20:47 | 医療 | Comments(0)


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