ムソルグスキー(ラヴェル編曲)
組曲「展覧会の絵」
ライプツィヒ放送交響楽団 - Leipzig Radio Symphony Orchestra
ヘルベルト・ケーゲル - Herbert Kegel (指揮者)
レーベル:ベルリン クラシックス ETERNA
(春之介のコメント)
ケーゲルを知ったのは、かなり前となる。
むろんピストル自殺をする前であった。
彼の真価が問われたのは、東ドイツ時代に録音された実況録音やスタジオ録音の数々である。
特に、実況録音盤によって完成度の高い演奏会をしていたことが分かる。
スタジオ録音は、ベルリン・クラシックレーベルで廉価で購入できる。
さてケーゲルを語るには、ケーゲルしかできない演奏を楽しみたい。
この展覧会の絵は、冒頭部分のトランペットソロから、悲痛な嘆きを延々と聴かされる。
淡泊で推進力ある、冷淡な展覧会の絵は、他の誰も演奏したことがないだろう。
音楽とは、ココロを温めてくれるものと思っていたが、とんでもないことで、この演奏を聴いたならば、自殺企図の人が確実に死にたくなる!?かもしれない。
ケーゲルの自殺の原因は分からないが、東西冷戦が解消し新たな体制に生きることが難しかったのかもしれない。
もっと言えば、ホイホイと体制に迎合する音楽家たちは、自分の思想信条などを変えることは厭わないだろうが、彼には守るべきものがあったのではないだろうか。
生前に、NHK交響楽団に来演し演奏会を持っており、幸いに映像資料もCDも残っている。
西のヘルベルト・カラヤン、東のヘルベルト・ケーゲルという呼称も間違いない。
なお、この演奏CDであるが、さまざまに再発を繰り返し収録曲も変えているようだ。
ケーゲルの実力を知るには、ライブ録音盤(Weitblick)に限る。