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演奏家 有希 マヌエラ・ヤンケ(ヴァイオリン)

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Yuki Manuela JANKE

シュターツカペレ・ドレスデン メンバー表


<以下引用>
◆独税関 またバイオリン名器押収 ストラディバリウスに1.2億円請求
 2012年10月4日 東京新聞 朝刊

 ドイツ在住の若手バイオリニスト、有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)が、日本音楽財団(東京)から貸与され演奏活動に使っているバイオリンの名器ストラディバリウスを、ドイツ・フランクフルト国際空港の税関に押収されていたことが分かった。関税として約一億二千万円を請求されているという。

 押収されたのは、イタリアの名工ストラディバリが最晩年に制作した一七三六年製の「ムンツ」。財団が所有し、五年前からヤンケさんが借りている。

 ヤンケさんが日本で演奏会を終え、ドイツに帰国した九月二十八日に押収された。貸与の契約書や日本での納税証明書など必要書類はそろっていたが、ドイツ税関は「転売しない保証がない」との理由で持ち込みを認めなかった。

 税関が発行した書類は、バイオリンの時価を保険額から六億円余りとし、19%の一億二千万円弱を関税として払うよう求めている。同空港税関は本紙の電話取材に「個別の案件には答えられない」と話した。

 仕事の「道具」は通常、免税扱いのため、財団は無償での返還を求める。

 同空港の税関では八月中旬にも、ベルギー在住のバイオリニスト堀米ゆず子さん(54)が同様に高価なバイオリンを押収され、九月下旬に無償で返却されたばかり。ドイツ税関の対応は不可解で、日本の音楽関係者は「日独の文化交流に悪影響が出る」と懸念している。

 ヤンケさんはドイツ人の父と日本人の母を持つ。二〇〇四年のパガニーニ国際コンクールで一位なしの二位で最高位となった。

◇押収とても残念だ
 塩見和子・日本音楽財団理事長の話 楽器の貸与に際して演奏者の国籍を問わないのが当財団の特徴。複数のドイツ人にも貸し出している。そうした貢献は世界的に高く評価されており、今回の事態はとても残念だ。 【ベルリン=宮本隆彦】

◆日系演奏家のストラディバリウスも押収 独の空港で
 2012年10月4日 朝日新聞

 ドイツ国籍のバイオリニスト、有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)が先月28日、日本からの帰路、独フランクフルト空港の税関で愛器を押収されたことが、日本音楽財団への連絡でわかった。ヤンケさんは2007年、チャイコフスキー国際コンクール3位入賞。ドイツ人の父親と日本人の母親の間に生まれ、現在はドレスデン州立歌劇場管弦楽団のコンサートミストレスを務めている。

 押収されたのは1736年製のストラディバリウスで、日本財団の助成を受ける日本音楽財団から貸与されている。財団は現在計20器の弦楽器を保有しており、樫本大進さんや諏訪内晶子さんら、国際的に活躍する演奏家たちに無料で貸与してきた。財団によると、ヤンケさんは貸与証明書と楽器の写真、保険証書などを一式携帯していたが「欧州連合(EU)内で売る可能性がないとは言い切れない」との理由で押収されたという。

 財団の塩見和子理事長は「私たちはドイツを含む世界中の演奏家に貸与している。国際交流の礎にと思っているのに、こういうことが相次ぎ残念」と語る。フランクフルト空港では8月、ベルギー在住の堀米ゆず子さんが愛器ガルネリを押収されている。(吉田純子)


<以下参考>
若きバイオリニスト 名器に「一耳惚れ」 有希・マヌエラ・ヤンケさんインタビュー
2012.9.27 産経ニュース

 「楽屋が和気あいあいとしていて、仲間からも学ぶことが多く、毎回楽しみなコンサートです」

 ドイツ・ミュンヘン出身のバイオリニスト、有希・マヌエラ・ヤンケ(25)はそう言って、日本では5年に1回の開催となる「ストラディヴァリウス・コンサート2012」の中身を話し始める。

 このコンサートは、世界最高峰の弦楽器、ストラディヴァリウス11挺による夢の共演である。アントニオ・ストラディヴァリ(1644~1737年)は約1200挺の名器を製作。現存するのは約600挺で、そのうち日本音楽財団が18挺所有。同時に国際的に活躍する演奏家に無償貸与している。

 ヤンケは、1736年製の「ムンツ」を使用。ストラディヴァリが最晩年に製作した楽器のひとつで、2007年11月に出合ったという。

 「ベルリンで受け取りました。低音が下から支えるような温かさで、音色の幅も広い。特徴的な線も入っています。一目惚れならぬ、一耳惚れですね」

 「でも、魅力を最大限に引き出せるのは、それから2年くらいたってからですね。最初はそこまでスキルがありませんでした。ストラディヴァリウスは、長年使い続けることで最高の音色を引き出せるようになります」

 三大名器と呼ばれるガルネリ、アマティとはどう違うのだろうか。

 「ガルネリは2004年に弾く機会があったのですが、率直な楽器で、誰とでも仲良くできる感じ。あくまで個人的な意見ですが」

 ■日独ハーフの音楽一家

 ドイツ人の父と日本人の母の音楽一家に生まれ、流暢な日本語のほかにドイツ語と英語も堪能。祖母は兵庫県西宮市に住んでいるという。ソリストとしての活動のほかに姉、兄2人とヤンケ・ピアノカルテットを結成している。

 「小さい頃から兄のバイオリンで遊び、いろんな音楽にふれていました。家の中でみんなが練習していたから、特に反抗期もなく『ああ、自分も練習しなきゃ』って。昔はけんかもよくしましたが、今は一番の理解者ですね」

 07年にチャイコフスキー国際コンクールで3位を受賞したが、1990年に優勝した先輩バイオリニスト、諏訪内晶子とも親交がある。

 「パリの演奏会でご一緒させていただいたことがあります。すごくいい方できれいで…天は二物を与えていらっしゃる」とうらやましそうだ。

 ヤンケはこの8月に、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)の初の女性コンサートマスターに就任したばかり。

 「これからはオペラの勉強をはじめ、オーケストラそのものも考えていかなくてはいけません」

 世界で活躍する若きバイオリニスト。周囲からの期待は大きい。 (文:松本明子)

<以下追加引用> ドイツ政府機関の内部対立へ
<ドイツ>バイオリン返還で財務相を告発 税関職員
2012年10月9日 毎日新聞

 ドイツ・フランクフルト国際空港の税関で8月に音楽家の堀米ゆず子さん(54)の高額バイオリンが押収された後、財務省の指示で無償返還されたことに対し、押収した税関当局の職員が、返還を決めたショイブレ財務相を「音楽家の脱税行為を助けた」として脱税ほう助の疑いで検察当局に告発した。

 独メディアは、9月に同空港で差し押さえられた有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)の高額バイオリンについても返還指示が出たと報道。一連の押収騒動は財務省と下部組織の税関との内部対立に発展している。

 同空港では、8月にベルギー在住の堀米さん、9月にドイツ在住のヤンケさんの愛器が押収された。税関などによると、430ユーロ(約4万3000円)以上の価値を持つ高額物品を欧州連合(EU)域内に持ち込む場合には申告が必要だが、2人とも無申告で税関を通過しようとしたため、密輸などの疑いを持たれたという。

 堀米さんは評価額1億円の名器ガルネリを押収され、約1900万円の関税支払いを求められたが、その後正当な購入証明書などを提出し、無償で返還された。評価額6億円の名器ストラディバリウスを押収されたヤンケさんは約1億1000万円を払うよう求められ、返還に向けて交渉を続けている。

 同税関は「取材には回答しない」としているが、独ビルト紙は一連の税関の対応にショイブレ財務相が立腹していると伝えている。【ベルリン篠田航一】

<以下引用>
バイオリン、また無償返還 ヤンケさん使用の名器
2012年10月9日 共同通信

 ドイツ在住のバイオリニスト有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)が使用し、フランクフルト国際空港で税関当局に差し押さえられていたバイオリンの名器ストラディバリウスが9日、無償で返還された。所有者の日本音楽財団(東京)が明らかにした。ヤンケさんは同財団から貸与を受けており、日本での演奏会を終えて帰国した9月28日に差し押さえられた。ヤンケさんは「ほっとしている。演奏に専念したい」としている。

<以下追加引用>
<バイオリン>愛器、独で相次ぐ押収…税関厳格化に戸惑い
2012年10月18日 毎日新聞

 演奏家がいきなり愛器を奪われ、億単位の金を請求されたら−−その驚きは察するに余りある。独フランクフルト国際空港の税関で、日本からドイツに入ったバイオリニスト2人が相次いで遭遇したケースは謎が多い。なぜこんなことが起きたのか。【梅津時比古、ベルリン篠田航一】

 ◇日本「狙い撃ち」は否定

 ベルギー在住の堀米(ほりごめ)ゆず子さん(54)は8月に愛器「ガルネリ」を、ドイツ在住の有希(ゆき)・マヌエラ・ヤンケさん(26)は日本音楽財団が貸与した「ストラディバリウス」を9月に押収された。密輸などの疑いをかけられ、堀米さんは19万ユーロ(約1900万円)、ヤンケさんは118万ユーロ(約1億2000万円)の関税支払いを求められた。

 欧州連合(EU)域内に430ユーロ(約4万4000円)以上に相当する物品を持ち込む場合、税関への申告が原則必要だ。フランクフルト国際空港の税関などによると、2人は無申告で通過しようとし、堀米さんは所有を証明する書類も持っていなかった。楽器は財務省の指示で無償返還されたが、今月に入って押収した税関職員がショイブレ財務相を脱税ほう助の疑いで告発したと報じられた。

 日本のバイオリニストが国際空港の税関で申告しているかはまちまちだ。「毎回申告している」という人がいる一方、「一度も申告していないが、問題にされたことはない」という人も少なくない。東京交響楽団の田村勝弘元副楽団長は「バイオリンもビオラも全員申告なしで出入国している」と話し、事件を「あり得ない」といぶかる。複数の大手音楽事務所も「楽器がなければ演奏できない。転売することはないと黙認されていたはず」との認識で、税関の対応に戸惑っているのが実態だ。

 同空港は年間5600万人が利用する欧州のハブ空港の一つ。中東・アジアへの接続便も多く、出入国審査の厳格さは以前から知られていた。ドイツ与党関係者は「欧州では最近、アルバニア系マフィアなどの密輸やマネーロンダリング(資金洗浄)の問題もあり、取り締まりが厳格化している。国境警備を担当した職員が(EU拡大に伴い)配置転換されて税関にいる場合があり、彼らは非常に厳しい」と解説する。

 一方、古い楽器は高額骨董(こっとう)品でもあり、バイオリンはとりわけ高価。日本は「弦の国」と言われ、優秀な弦楽器奏者が多いと同時に高価な楽器が集まっている。17〜18世紀イタリアで制作されたストラディバリウスやガルネリは1丁1億円を下らず、最高のものは20億円近い。バブル経済期には日本が高価な楽器を買い集め、値をつりあげたと批判された。

 フランクフルト国際空港の税関は「取材には回答しない」としながらも「高価な物品は申告が必要。購入証明書類も携帯しなくてはならない。我々は通常の仕事をしただけ」と説明、日本への“狙い撃ち”説を否定する。2010年にはスイスのチューリヒ空港でモルドバ出身のバイオリン奏者がガルネリを押収され、後に所有者側に返還されており、独メディアも堀米さんらのケースは「運が悪かった」(ウェルト紙)との見方が一般的だ。

 バイオリニストの水野佐知香(さちか)さんは堀米さんのケース以来、申告するようにしているという。「教え子にも所有を証明する書類と楽器の写真を常に持ち、必ず申告するよう指導しています」

 実はパソコンやカメラなども申告額を超えれば申告が必要。日本の外務省は今月、ホームページで「税関手続きを甘く見てはいけません!」と注意を掲載。職業で使う物品は、国際条約に基づき税関手続きを容易にし免税扱いが受けられる通関手帳「ATAカルネ」(一般社団法人・日本商事仲裁協会が発行)の取得・携行を勧める。

<以下追加引用>
バイオリン差し押さえ問題、EUが再発防止策
2013年11月14日 読売新聞

 ドイツ・フランクフルト国際空港の税関で日本人音楽家のバイオリンが差し押さえられた問題で、欧州連合(EU)が関税法規則を改正し、今月21日から職業用具としてEUに一時的に持ち込む楽器については税関申告義務が免除されることになった。

 再発防止策の導入を求めていた日本の欧州連合(EU)代表部が13日、発表した。

 代表部によると、430ユーロ(約5万7000円)を超える価値がある物品を持ち込む場合は申告が必要だが、改正により、楽器を職業用に携帯する場合は例外扱いとなる。空港税関では申告品がない場合に利用する緑色のゲートを通過できる。【ブリュッセル=寺口亮一】


Waxman: Carmen Fantasy (Yuki Manuela Janke)
by negitoromirumiru | 2012-10-04 11:19 | 音楽 | Comments(0)


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