うつ病学会、安易な薬使用に警鐘 医師向けに初の指針
2012/07/27 共同通信社
日本うつ病学会は27日までに、多様化するうつ病を適切に治療するための医師向け指針をまとめた。次々に開発されている抗うつ薬の有効性や副作用に関する情報を盛り込み、軽症者の安易な薬物療法に警鐘を鳴らしたのが特徴だ。学会が指針をつくるのは初めて。
厚生労働省の推計によると、国内のうつ病の患者数は1999年の約24万人から、2008年には70万人を超え急増。年間3万人を超える自殺の主な原因ともされている。同学会は最新の医学的知見を盛り込み、現在の医療体制や現場の実情を考慮した指針が必要と判断した。
(春之介のコメント)
この指針の元となっているのは、安易な診断と投薬指示で回復するどころか悪化してしまっているのではないかという現状に対する精神科医の苦悩がある。
昨今のうつ病増加により、精神科専攻以外の医師でも、心療内科や神経科を標榜して診療を行っている現状がある。
それが、病名診断の間違いや過剰投薬につながっている現状に対する憂いがある。
従来、内科医にプライマリケアとして精神疾患の簡便な判定を期待していた旨もあるが、昨今の状況は異常であるといるという判断もありうるのだろう。
以下に示した番組で、双極性障害(躁うつ病)治療の第一人者である加藤忠史医師が出演し治療の現状について話をした。
それによると、流行りの新型うつ病については、加藤医師は正式な分類でなく社会的な呼称であると言明した。
精神科医は、安易にうつ病であると鑑別しているわけでないことや、一般的に「うつ状態」と診断書には書くけれど、それは病名を診断したというよりは状況を判断したということだ。
ただ、それを見る会社の人事担当は、うつ病だとか新型うつ病と決めつけて処遇してしまっているという。
加藤医師によると、脳内神経伝達物質の欠乏という従来の仮設よりは、神経の樹状突起部の問題が大きいという最近の研究結果を述べていた。
また、患者死後脳の研究が決定的に不足しており、うつ病者の生態的な研究の必要性があるという。
うつ病、躁うつ病、身体病による抑うつ等々、いろいろな状況因子を総合的に判断し適切な治療を図ることが求められており、残念ながら脳血流の検査や血液検査でのうつ病の判断は、補助的なものに過ぎないことを銘記しておきたい。
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日本うつ病学会 http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/index.html
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日本うつ病学会治療ガイドライン
Ⅱ.大うつ病性障害の治療ガイドライン Ver.1 PDF
<以下引用>
私も一言!夕方ニュース
2012年7月25日放送 NHKラジオ第一
ここに注目「"新型うつ"と基礎研究」
ゲスト:加藤忠史 (精神科医・
理化学研究所脳科学総合研究センター 精神疾患動態研究チーム)
谷田部 雅嗣 解説委員