終末期医療 患者の意思尊重は半数
2012年5月17日 NHK
高齢者が受ける終末期の医療について、患者の意思が尊重されていると感じている患者の家族は半数程度にとどまっていることが病院団体の調査で分かりました。
この調査は去年、民間の病院でつくる全日本病院協会が、終末期医療への意識を調べるため、病院や介護施設にいる高齢患者の家族およそ5000人と、病院や施設の職員およそ8000人を対象に行ったものです。
それによりますと、終末期の医療に患者の意思が尊重されているかどうかを家族に尋ねたところ、十分尊重されていると答えたのは49%と半数にとどまり、何とも言えないが45%、十分尊重されていないが6%でした。
また患者をみとったことがある病院や施設の職員のうち、「どうみとるのか患者本人の意思確認が不十分だ」と感じている職員は40%を超えました。
調査した全日本病院協会では「終末期の医療は患者本人の意思が分からないときが多い。このため患者が望んでいるような医療になっているのか、家族も職員も葛藤を抱えている状況が浮かび上がった」と分析しています。
全日本病院協会の木下毅常任理事は「元気なときに本人の意思を示してもらうことや、意思表示がない場合にどう医療を提供するかを医療機関も指針をまとめ提案する必要がある」と話しています。
(春之介のコメント)
終末期における調査としては網羅的に行われており注目したい。
記事以外にも、さまざまな切り口があるので報告書を見て頂きたい。
平成23年度老人保健事業推進費等補助金
「終末期の対応と理想の看取りに関する実態把握及びガイドライン等のあり方の調査研究」報告書 PDF
2012.04.13 全日本病院協会
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全日本病院協会 http://www.ajha.or.jp/
<以下引用>
病院の3分の2、終末期医療の指針使わず 全日本病院協会
2012/5/16 日経新聞
全国の病院の3分の2が終末期医療に関するガイドラインを使っていないことが社団法人「全日本病院協会」(東京)の調査で分かった。ガイドラインは厚生労働省や医師会などが作成しており、延命治療を中止する際などの手続きを定めている。これらに基づかない場合、患者側の意思が十分に尊重されない恐れがあり、同協会は「利用率を上げる必要がある」と指摘している。
調査は昨年10月、病院、介護老人福祉施設、訪問看護ステーションなど、全国の7184施設を対象に実施し、27%にあたる1941施設が回答した。施設職員と患者の家族も調査し、それぞれ7869人(回収率22%)と5215人(同15%)から回答を得た。
終末期医療に関するガイドラインの使用状況を聞いたところ、「利用している」と答えた病院は33.3%。内訳は、病院が独自に作成したものが16.4%で最も多く、厚労省と日本医師会が作ったものはそれぞれ4.9%と6.4%だった。
病院の66.7%、介護保険施設の47.2%、グループホームの52.5%、訪問看護ステーションの63.9%では使っていなかった。
「ガイドラインは必要か」との問いには、全体の約7割の施設が「あった方がいい」と回答した。必要性が認識されながら、導入が進んでいない実態が浮かんだ。
ガイドラインは、厚労省と日本医師会のほか、全日本病院協会や日本救急医学会なども作成している。施設の職員を対象にした調査では、全体の7割以上がこれらの内容などについて、「知っているものは特にない」と答えた。職種別では、介護職82.6%、看護師72.2%、医師49.5%などだった。
患者の家族に対する調査では、本人の意思を生前に書面化する「リビングウィル」について、約7割が「聞いたことがない」と回答した。
<以下追加引用>
患者が望む「終末期ケア」実現へ相談員 まず10病院に
2013年9月7日 朝日新聞
病気の回復する見込みがなくなった終末期に、患者本人が望むケアを受けやすくする事業に厚生労働省が乗り出す。どこで過ごすか、人工呼吸器や栄養補給はどうするかなどの意思決定を支える相談員を10病院に置き、普及を目指す。
終末期でも、望めば延命治療を受け、家で過ごせる。一方で、管を通じた栄養補給が苦痛になることもある。厚労省が2007年に作った指針は、医師らから適切な説明を受け十分話し合い、本人が決めることを原則とする。だが経験豊富なスタッフが必要で、実現できている所は少ない。担当医と家族の間で方針が決まることも多い。
厚労省は、モデルとなる10病院の人件費など5400万円を来年度予算の概算要求に盛り込んだ。看護師や社会福祉士らが終末期相談支援員になり、患者の希望の実現に導く。先行して相談事業に取り組む国立長寿医療研究センター(愛知県)がマニュアルやDVDを作り、連携をはかる。
三浦久幸・在宅連携医療部長は「事業を通じ、本人が決める考え方が社会に広がれば」と期待する。【辻外記子】