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<里親>家庭不和で4分の1が委託解除 なじめぬ里子も多く 里親側にも問題あり

<里親>家庭不和で4分の1が解除 なじめぬ里子も多く
2011年10月5日 毎日新聞

 厚生労働省が全ての児童養護施設と乳児院約700カ所に里親支援の専門担当職員を配置するため予算要求した背景には、里親と里子の関係悪化が目立ち始めたことがある。全国の児童相談所(児相)所長会の調査では、養子縁組への移行などを含む委託解除総数のうち、里子との関係がこじれるなどして解除されたのは約4分の1。里子が里親宅になじめないなど養育の難しさが浮かび、専門家は支援の大切さを訴えている。【野倉恵】

 「今日もおねしょしなかったのか。3日連続だな、えらいな」「うん」。東日本の児童養護施設の施設長と小学生の男児は、最近まで数年間、ほぼ毎日声をかけあってきた。幼いころから長く続いた夜尿が、最近ようやく収まってきた。

 自閉的傾向のある男児は2歳までの一時期、里親家庭で暮らした。10年以上前、その里親家庭の母親は、実子の子育てが落ち着いたとして、人を介して施設長に相談に訪れ、里子を育てる希望を熱心に語った。「赤ちゃん返りや思いがけない行動も出てくる」。施設長は懸念を伝えたが「うちは大丈夫」と母親は繰り返した。夫婦はほどなく里親に登録、児童養護施設から男児が引き取られた。

 「体の状態から虐待されている」。男児の通う保育園から児相に通告があったのは約半年後。男児は排せつの習慣が十分身についておらず、いら立った里親にたたかれていた恐れがあった。男児は肛門に指を突っ込んでは家の壁に便を塗り付け「(里親の)期待とは逆の行動」(施設長)を繰り返していた。里親は児相の訪問を拒否。児相は里親の養育委託を解除し、男児は施設で暮らすことになった。

 おねしょを責めず、しない日数が週1回から次第に増えると、男児の問題行動はなくなった。「自分の好みの子供が来るわけではない。実子でできたことができるわけではない」。施設長は振り返る。

 全国の里子は3836人(10年3月)で、10年間で約1.8倍に増えた。児相所長会が10年4~11月に養育委託を解除した647人について調べたところ、養子縁組に移行したり問題なく実親家庭に戻った場合などを除き、里親との関係が不調になり、里子が児童養護施設や別の里親家庭に移ったケースが79人。やはり里親との関係が不調で実親家庭に戻ったのが25人。問題行動など子の側に問題が生じたり、里親の高齢化など里親側の問題が明らかになり施設などに移ったのが52人いた。

 この156人について里親側の問題点を複数回答で尋ねると、養育の負担感が増したり拒否感が生じたケースが17.2%、里子との関係悪化が16.2%、養育力不足が9.2%だった。里親による虐待やその疑いも6.1%でみられた。

 里子養育での困難さについては、里親宅への不適応が12.7%、里親への反発・反抗が8.8%、「子の生活の乱れ」と「情緒不安定」が各5.7%。

 156人の内訳は0歳1人、1~2歳11人、3~6歳12人、7~12歳50人、13~15歳45人、16歳以上37人で、中学生年齢では里親宅への不適応が22人と半数近くあった。

 日本社会事業大学大学院の宮島清准教授は「里子を育てる難しさが関係悪化を生み、子供の問題行動につながる。負の循環をできるだけ早く発見し、食い止める支援が必要だ」と話している。

(春之介のコメント)
こうした調査は初めて見たが、思った以上に里親制度は難しい。

一部報道で、事件化する事例もあり簡単ではない。

里親、里子ともに関係性の再構築が難しいことは予想されることだが、どの時点で介入するのかが微妙な問題である。

非常なデリケートな問題なので、児童相談所、児童養護施設などとの関わりが大事であろう。

今では家族単位が減少し、大家族で相互に助け合うようなモデルは期待できない。

毎日新聞は、このところ生活報道部の記者が良い視点で記事を提供してくれている。
by negitoromirumiru | 2011-10-07 11:38 | 福祉 | Comments(0)


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