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もう募金は必要ないはずだ!?

発信箱:たくさんの10円玉
=磯崎由美(生活報道部)
2010年1月6日 毎日新聞

  「社会を欺いていいのか」「ちゃんと説明しろ」。東京にある「あしなが育英会」の事務局に、こうした電話が増えている。会は病気や自殺で親を亡くした遺児の進学を街頭募金などで支えてきたが、今春から高校授業料が無償化されるため、もう募金は必要ないはずだ、との声だ。

 奨学金を受ける遺児母子家庭の約半数は既に授業料を減免されているが、通学費や教材費の負担も大きいので奨学金を借りざるを得ない。授業料無償化の恩恵は乏しく、むしろ裕福な家庭との格差が広がるといった懸念もある。

 でも「納得してもらうのは難しい」と、同会の束田(つかだ)健一さん(39)は無力感を口にする。電話口でいくら説明しても「自分だって苦しいが、誰も助けてなんかくれない」という憤りは収まらない。街頭募金中は学生にも厳しい言葉が投げかけられた。「親がいないことがそんなにつらいのか」と言ったのは、親を介護中の人だったという。

 束田さんによれば、募金箱の中身も様変わりした。以前はたくさんの人から10円玉が集まった。最近は100円玉や500円玉が目立つが、総額はそう変わらない。継続的に寄付する人は高齢者が減り、意外にも20~30代が最も多い。教育格差の深刻さを身近に感じるからだろうか。

 生活苦がさまざまな立場へ広がり、出口を想像できないことが社会保障への関心を高める。高齢者も育児世代も若者も、セーフティーネットが十分とは言い難い。すべて底上げすることも望めない。

 だからこそ、募金で学生の進学を保障するような人と人とのセーフティーネットが尊い。不況とはいえ、自分の損得ばかり考える世の中では大切なものを失ってしまう。

(春之介のコメント)
遺児母子父子家庭にまで目配りできる余裕がすでにない社会となった。

どの階層も厳しさを実感していることだろう。

一番懸念されなくてはいけないのは、弱者が弱者の足を引っ張り合うことだ。042.gif

介護家庭も別の意味で大変な状況である。

高校授業料無料化や子育て手当により恩恵を受けるのは、子育て世代。

若年の世代、中高年の世代、高齢者世代は対策が遅れているのは、優先順位の問題があるからだ。

子どもたちにこそ、集中的に援助を加えることが日本の国家戦略だということを説明し納得させる努力をしてもらいたい。
by negitoromirumiru | 2010-01-06 20:28 | 福祉 | Comments(0)


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