(4)「光不足」原因 冬季うつ
秋も深まり日が短くなるにつれ、何もやる気がしなくなってくる。そんな人は日照時間が短くなることで発症する「冬季うつ」かもしれない。
冬季うつでは、〈1〉朝起きにくく日中も眠気が強い〈2〉炭水化物が無性に食べたくなる〈3〉物事への意欲・興味がなくなる――などの症状が表れる。食べる量が増え、冬だけ体重が数キロ増える場合が多い。一方で悲哀感は少ない。目から入る光の刺激が減り、脳内で気分を調節する神経伝達物質セロトニンの分泌量も落ちるのが原因とみられている。
国立精神・神経センター部長の三島和夫さんによると、別表のチェックリストで12点以上だと、冬場に発症する可能性が高い。8~11点は予備軍で、国内でも緯度が高い地域に引っ越したり、室内での仕事時間が増えたりすると発症する恐れがあるという。
症状は早ければ9月後半に始まり、翌年4月ごろまで続くが、光を秋から積極的に浴びることで発症を防いだり症状を和らげたりできる。三島さんは曇りの日でも30分以上、散歩などで外出することを勧める。天候不良で外に出られない日は、窓際で1時間程度屋外を見続けよう。
肉、魚、豆乳、ナッツ類、バナナなどを食べることも大切だ。これらの食べ物には、セロトニンのもとになるアミノ酸「トリプトファン」が多く含まれている。
日本大医学部教授の内山真さん(精神医学)は「球場のマウンドを上回る5000~1万ルクスの光を発する市販の照明器具の活用も冬季うつの対策になる」という。秋冬も夏と同じだけ光を浴びられるよう、早朝や夕方に机の脇などに置くといい。ただ、深夜に使うと目がさえて寝付きが悪くなるので避けたほうがいい。 (高田真之、米山粛彦)
【冬季うつチェックリスト】
Q 季節によって各項目はどのくらい変化しますか。当てはまる点を( )内に書いてください。
なし:0点、少し:1点、中程度:2点、かなり:3点、極端に:4点
・睡眠時間( )
・人とのつきあい( )
・全般的な気分の良さ( )
・体重( )
・食欲( )
・活動性( )
評価:合計点が12点以上だと冬場に発症の可能性が高い。8~11点だと予備軍。
(2009年9月12日 読売新聞)