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抗精神薬の処方差

精神科 薬の使い方に施設差 (2009年8月2日 読売新聞)

諸外国に比べ低い単剤化率

 精神科の受診者が増えている。厚生労働省の患者調査によると、推定の外来患者数は1999年の170万人から、2005年には268万人と、6年間で1・6倍に増加。なかでも、うつ病などの「気分障害」の患者は42万人から90万人へと倍以上に増えた。強い不安感や動悸(どうき)に突然襲われるパニック障害、高齢者の認知症などの増加も背景にあるとみられる。

 また入院患者では、幻覚や妄想などを主な症状とする統合失調症が全体の6割を占め、次いで、アルツハイマー病などの認知症患者が多い。

 読売新聞は今年5月、日本精神神経学会の研修施設(民間の精神科病院は急性期治療病棟、救急入院料病棟を持つ施設)計708病院に対し、08年(または08年度)の治療実績などをアンケートし、282施設から回答(回答率40%)があった。一覧表には、精神科医がいない施設などを除く256病院について、年間の新規外来患者数、精神科医の人数(回答時点、非常勤含む)、平均入院日数などを載せた。

 精神科の病気は、画像検査などの診断法が確立されていないため、特に初診では、時間をかけて患者の話を聞く必要がある。患者が多いのに、精神科医が少ない施設では、診察時間が短くなりがちだ。

 今回の調査では、精神科医が多い施設は、入院患者に出す薬の量が少なく、人数が少ない施設では薬の量が多い傾向も見られた。

 横浜市大病院精神科教授の平安(ひらやす)良雄さんは「短い診察時間では誤診を招く恐れがある。また医師や看護師が少ない施設は、個々の入院患者にじっくり対応できないため、多くの薬を使うことで、患者の行動を抑制せざるを得ないのが実情」と指摘する。

 平均入院日数は、重い統合失調症や、認知症が多い精神科病院で長く、1年を超える病院もあった。国は、急性期患者用の病棟で入院期間が長引くと病院の収入が減る方策を取っており、統合失調症で急激な症状が表れて入院した患者では、3か月以内の早期退院に取り組む施設が増えている。

 一覧表の最後に示した「抗精神病薬の単剤化率」は、統合失調症の患者のうち1種類の薬だけで治療を行っている患者の割合だ。一般に、この割合が高いと、適切な治療が行われていると言える。アンケートは入院患者を対象にした。

 抗精神病薬は、幻覚や妄想を抑える反面、過剰に働くと、手の震えや歩行困難などの副作用が現れる。近年は副作用が比較的出にくい薬が使われるようになったが、複数の薬を合わせて使ったのでは、従来の薬と同様に副作用が強まる。

 欧米や、中国、台湾などでの調査では、単剤化率は80%前後が多い。これに対し、日本では「治療効果が高まる」として、複数の薬を出す場合が少なくない。今回の調査でも、30%台の施設が最も多く、施設間の差が激しかった。平安さんは「抗精神病薬は1種類が原則。薬を変更する際に一時的に複数の薬を使うことはあるが、片方は徐々に減らして1種類に戻すべきだ」と話している。(佐藤光展)

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by negitoromirumiru | 2009-10-17 15:28 | 躁鬱 | Comments(0)


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