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訪問看護師「暴力受けた」が半数 利用者や家族に セクハラ被害も 神戸市看護大調査→全国実態調査へ

訪問看護師の5割「利用者、家族から暴力受けた」 「抱きつかれた」セクハラ被害も 神戸市看護大が調査
2016.6.18 産経WEST

 利用者の自宅でケアをする兵庫県内の訪問看護師を対象にした調査で、50%が「暴力」を受けた経験があると回答したことが18日、分かった。暴力を振るったのは、利用者が7割超で、家族・親族も約2割あった。調査した神戸市看護大のグループが明らかにした。

 調査では、身体的な暴力だけでなく、言葉での侮辱や威圧的な態度なども「暴力」としている。

 訪問看護現場の暴力を調べた研究は少ない。グループの林千冬教授(看護管理学)は「自分の対応が悪かったのが原因と思い、暴力と認識しない場合もあり実際にはもっと多いはず。行政の相談窓口設置など対応が必要だ」と指摘している。

 調査は、平成27年12月から28年1月、兵庫県内の訪問看護ステーション83施設の600人に質問状を送り、358人が自身の経験に基づき回答した。

 暴力を受けた経験があると回答した人(180人)に暴力の内容を複数回答で聞くと、威圧的な態度が49%、言葉での侮辱が45%、身体的暴力が28%などだった。

 言葉の侮辱としては「ばか女死ね」「はさみで刺す」などと言われたほか、身体的暴力では「つえでたたかれる」「生傷が絶えない」など。

 セクハラ被害もあり「抱きつかれた」「利用者が訪問中にアダルトビデオをずっと見ていた」などの回答があった。

 暴力を振るったのは、利用者が71%、利用者の家族や親族が24%、利用者と家族ら両方からも2%あった。年齢は60~69歳が32%、70~79歳が23%だった。

 暴力への対応では「相手の言い分をただただ傾聴した」が23%と最多。15%が「やめるよう伝えた」と答えたが、「我慢した。あきらめた」も同じ割合だった。9割近くは上司に報告していたが、予防策が「ある」としたのは22%にとどまった。

 林教授は「利用者の自宅で一対一になり、身体的な接触も多い。暴力を予測することは難しい」と分析している。

◇訪問看護 民間の訪問看護ステーションから、看護師らが病気や障害のある人の自宅を訪問し、生活の介助や医療処置など在宅での療養をサポートするサービス。利用者は増えており、約?万人が利用している。介護保険と医療保険のいずれかから費用が出る。利用したい場合は、主治医に相談して病状や要介護度などが書かれた「訪問看護指示書」を交付してもらう必要がある。全国訪問看護事業協会によると、昨年4月現在、全国に約8200のステーションがある。

(春之介のコメント)
他紙でも報道があり、いずれも共同通信社配信記事を使用している。

この調査の詳細が分からないが、一般病院での入院・外来、また看護学生に対する暴力等と同じ傾向であることは訪問看護においても同様であろうことは予想の範囲内である。

記事でも触れられているが、単独で訪問する看護者、介護者にとって密室での暴力行為等は封印される要素がある。

調査では9割が上司に相談していたという健全さを感じたので、これが10割になること、そして訪問看護の契約時に衛生管理とともに暴力行為についても警告文書を交付する狡猾さが必要であろう。

記事に「利用者が訪問中にアダルトビデオをずっと見ていた」という回答があるが、訪問看護や訪問介護という設定で作ってあるアダルトビデオも多数あり、利用者にいらぬ妄想を与えかねない。

こうした暴力行為等に対しては毅然とした態度しかなく、場合によってはケアマネや役所、そして警察に通告もやむなしである。

こうしたことで訪問看護や訪問介護に従事する方々が職を止めていくのはもったいないことだ。

事業管理者らは、こうしたこともきちんと相談・報告できる雰囲気作りを醸成し泣き寝入りしない事業所を作って欲しい。

そして看護系養成校では、学生時からきちんとした対応の仕方を教育すること、そして社会に問題を提起することも引き続きお願いしたい。


<以下追加引用>
訪問看護トラブル調査へ 利用者から暴力・セクハラ
2017年10月1日 東京新聞デジタル

 在宅での医療や看護を担う訪問看護師が、利用者らから暴力や暴言、セクハラ被害に遭うトラブルが起きていることを受け、全国の訪問看護事業者の団体「全国訪問看護事業協会」(東京)は、実態を把握するための初の全国調査を本年度中に実施することを決めた。
 
 訪問看護師が受ける暴言や暴力の実態を調べた例は少なく、事業者によって対応もまちまちで、看護師が報告できずに抱え込むことも多い。
 
 調査結果は、新たに作る被害への対応手引書に反映する。海外事例などの文献も分析し、ガイドラインもまとめる。協会の上野桂子副会長は「看護スタッフや施設の管理者が安心、安全に仕事ができる環境をつくりたい」としている。
 
 協会の会員の約五千五百事業所にアンケートをし、回答を事業所の管理者や研究者、弁護士を交えた委員会で分析する。手引書やガイドラインは、協会のウェブサイトに掲載したり、研修会で配布したりする予定。
 
 訪問看護を巡るトラブルについては、神戸市看護大のグループが二〇一五~一六年、兵庫県内で調査した結果、回答した三百五十八人のうち約半数が暴力を受けた「経験がある」との結果を公表している。全国各地で同様のトラブルが起きている可能性が高いという。
 
 ◇ 
 「つえでたたかれた」「はさみで刺してやると言われた」「利用者がアダルトビデオをずっと見ていた」。女性が多い訪問看護師が巻き込まれるトラブルは深刻だ。関係者は「自分の対応に問題があったのかもしれない」と考え、我慢することも多いと指摘する。
 
 神戸市看護大のグループが二〇一五~一六年に行った兵庫県内の訪問看護師へのアンケートで、百八十人が「暴力を受けた経験がある」と答えた。
 
 暴力の主な中身は「威圧的な態度」「言葉での侮辱」「身体的暴力」。「『ばか女死ね』と言われた」「生傷が絶えない」「抱きつかれた」との回答もあった。
 
 これに対し「(暴力や暴言を)やめるよう伝えた」という看護師がいる一方で、相手の言い分を聞き続けたり、諦めたりする看護師も多い。
 
 神戸の調査メンバーで、訪問看護ステーションで所長を務める藤田愛さん(51)は「対策を進める根拠のデータが集まる」と全国訪問看護事業協会による全国調査に期待を寄せる。


<以下関連エントリー>
院内暴力・暴言などの対応とは!? 看護学生の6割が、患者からの暴力を経験 2007年実態調査から
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by negitoromirumiru | 2016-06-19 11:22 | 医療 | Comments(0)

薬効きにくい「対人恐怖症」、認知行動療法で改善 2016年4月から保険適用に

①薬効かない対人恐怖症、認知行動療法で改善 宮崎大と千葉大
 2016/6/7 日経新聞

 宮崎大学の吉永尚紀講師と千葉大学の清水栄司教授らのグループは7日、薬が十分に効かない社交不安症(対人恐怖症)を認知行動療法で改善できることを臨床試験で確かめたと発表した。薬物療法などに、医師との対話を通じて考え方や行動を変えていく認知行動療法を併用したところ、約半数で症状がほとんど見られなくなった。

 社交不安症は人前で食事ができない、人の注目を浴びるのが怖いといった恐怖にかられ、登校や就業が難しくなる。治療には抗うつ薬が用いられるが、患者の7~8割は十分に改善しない。

 研究グループは抗うつ薬の効果がみられなかった患者42人を2グループに分け、一方は抗うつ薬を中心とした通常の治療を続けた。もう一方には抗うつ剤に加えて、医師が対話を通じて問題や改善の方向を患者に考えてもらう認知行動療法を週に1回実施した。

 4カ月間続けたところ、認知行動療法を併用したグループでは86%が改善し、症状が消えた人も48%に上った。薬だけで治療で改善が見られた人は10%にとどまった。

 社交不安症の患者数はわかっていないが、米国では12%に上ると報告されている。
 
②一般的な抗うつ剤、子どもや十代の若者らに効果なし 研究
 2016年6月9日 AFPBB News

 最も入手しやすい抗うつ剤は、深刻なうつ病を患う子どもや10代の若者に対して効果がなく、一部は安全でない恐れもあるとする研究論文が9日、発表された。

 英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された論文によると、有効成分を含有しない偽薬と比較した際、より高い抗うつ作用がみられたのはフルオキセチンのみだったという。

 一方、ベンラファキシンは、偽薬や5種類の他の抗うつ剤と比べて、自殺願望や自殺衝動のリスク増加と関連性があると指摘した。

 さらに、これらの薬剤が若者に及ぼす影響について適切に計画された臨床試験が十分に行われていないと警告。国際研究チームは、若者が抗うつ剤を服用する場合、特に治療を開始したばかりの時期には、薬の種類を問わず若者から目を離さないよう勧告した。

 論文によると、抗うつ剤を服用している子どもや10代の若者の割合は、2005年から2012年の間に、米国では1.3%から1.6%に、英国では0.7%から1.1%に上昇したという。

 研究では、9~18歳の5260人を対象に行われた34件の臨床試験を調査した。

(春之介のコメント)
ほぼ同時期に出たニュースであるが、いろいろと考えさせられる。

そもそも②にあるように、抗うつ剤そのものが有効なのかという前提に疑問があり、さらに①のように抗うつ剤を使用しても改善しない対人恐怖症患者に対しての認知行動療法の有効性を問うた観察結果ということだ。

対人恐怖症は青年期に頻発する症状であり、特に日本では文化との関わりがあり欧米諸国とは違った見解がある。

見落とされがちだが、日本には森田療法という精神療法があり、認知行動療法が盛んになってからは下火になってしまっている。

森田療法は従来から薬物療法を補助的に利用するもので、メインはカウンセリングと生活改善である。

つまり、今回の①のような結果はすでに森田療法では周知のことであろう。

森田療法では、認知行動療法のように心理メカニズムを解説することもあるが、それよりも日常の行動体験を重視していくところに特徴がある。

その点では、より日本人にとって相性が良いという評価もできると思うが、認知行動療法のようにシステム的な完成度が低いような感じがする。

どちらにしても薬で社会生活を改善することそのものにアプローチできるわけでなく、あくまでも現実場面への考え方、現実との接触、具体的な反応とフィードバックという道筋を具体的に体験しながら地道に行っていくしかない。

対人恐怖症など、以前は「神経症」と呼ばれていた症状は考え方や行動の仕方で大きく改善できることが再度確認された研究結果ということができるだろう。

さらに、この症状での認知行動療法が今年4月から保険適用されたということも朗報である。

認知行動療法においても、森田療法においても、対人恐怖症改善は、なかなか根気のいるものなのだ。


<以下引用>
対人恐怖症 「認知行動療法」プラスで8割以上改善
2016年6月8日 毎日新聞

 人前で話をしたり、人と関わったりすることに過度の不安や怖さを感じる対人恐怖症(社交不安症)について、抗うつ剤が効かない患者でも、医師と話をしながら自身の行動を考えていく「認知行動療法」を加えると8割以上が改善したとの研究結果を、宮崎大や千葉大の研究チームがまとめた。欧州の医学専門誌に論文が掲載された。

 対人恐怖症の標準治療は抗うつ剤の服用だが、これで症状のよくならない患者が7割以上いる。宮崎大の吉永尚紀講師(精神神経科学)らは、投薬治療が効かない患者42人を4カ月間、投薬のみと、投薬と週1回の認知行動療法に取り組むグループに分けて、症状の変化を調べた。

 その結果、症状が出た時の自らの動画を見ながら、患者が医師と一緒に原因や対処法を考える認知行動療法を受けたグループは、86%が改善し、半数近くは症状がほぼなくなった。投薬のみのグループの改善は10%にとどまった。

 同療法は4月に保険適用され、治療が受けやすくなった。ただし、適切な対応ができる専門家は全国に100人程度しかいない。吉永講師は「より多くの人が受けられるように専門家を育てることが課題」と指摘する。【野田武】

<以下参照>
(対人恐怖)を認知行動療法が改善 ~世界初 千葉大学プレスリリースPDF

薬効かない社交不安症に認知行動療法が有効 医療保険適用に マイナビニュース
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by negitoromirumiru | 2016-06-13 14:12 | 躁鬱 | Comments(0)