羽曳野市 有料老人ホーム 研修を受けずに医療的ケア行為等を行う 職員らを書類送検 全国初 →不起訴に

大阪 有料老人ホーム 違法な医療行為で書類送検へ
2015年10月2日 NHK

大阪・羽曳野市の介護つき有料老人ホームで、専門の研修を受けていない介護職員らが、入所者の鼻から栄養剤を補給する医療行為などを行っていたとして、警察は施設を運営する会社と元施設長や介護職員ら合わせて22人を、医師法違反などの疑いで2日にも書類送検する方針です。

書類送検されるのは、大阪・羽曳野市の介護つき有料老人ホーム「グランパ羽曳野」を運営する会社と、43歳の元施設長や介護職員ら合わせて22人です。

警察によりますと、「グランパ羽曳野」ではおととしから去年にかけて、口から食事が取れない入所者に鼻から管を通して栄養剤を補給する「経管栄養」などの医療行為を専門の研修を受けていない介護職員らに行わせていたということです。

「経管栄養」などの医療行為は、以前は医師や看護師にしか認められていませんでしたが、3年前に法律が改正され、50時間以上に及ぶ専門の研修を受ければ、介護職員も行えるようになりました。

しかし、この施設では介護職員らに研修を受けさせないまま、元施設長らの指示で、こうした医療行為を日常的に行わせていたということです。調べに対し、元施設長らは、「費用がかかるので、研修を受けさせていなかった」などと話し、容疑を認めているということです。

警察は2日にも、施設を運営する会社と、元施設長や介護職員らを医師法違反や介護福祉士法違反の疑いで書類送検する方針です。NHKの取材に対し、この会社は、「何も答えられない」と話しています。

警察によりますと、介護職員らが専門の研修を受けずに医療行為をしたとして、高齢者の介護施設が摘発されるのは、全国で初めてだということです。

元介護職員「従わざるをえなかった」
この施設の元介護職員は、研修を受けずに医療行為をするのは違法だと知っていたが、上司の指示に従わざるをえなかったと話しています。

元介護職員は「怖かったが上からの圧力があり、やらざるを得なかった。私だけが絶対しないとは言えない空気で、知識がないまま見よう見まねでやっていた。研修を受けることも考えたが、欠勤扱いで行ってくださいという感じで、その期間は給料も下がるので受けられなかった」と話しています。

専門家「命に関わる事故も」
大阪・北区にある介護職員を対象にした研修機関で講師を務めている、東孝至さんは、「鼻から管を入れる経管栄養は、飲み込む力が弱っている高齢者が対象になることが多く、食べ物が誤って肺に入ってしまうリスクもある。場合によっては命に関わる事故につながることを認識し、研修で専門的な知識と技術を身につけることが重要だ」と話しています。

(春之介のコメント)
2012年に研修制度が始まって3年目で初の摘発となった。

NHKの報道を皮切りにし報道各社が伝えている。

問題となっているのは、「経管栄養」を二人に入所者に、「インスリン注射」を別の二人の入所者に、施設側が指示して介護職員に行わせたことである。

「経管栄養」は医療的ケアとして研修を受けることで介護職員にも実施可能。

「インスリン注射」はもともと介護職員はできない。

定員30名で昼間は看護師一名配置されているが、看護師のいない時間帯や夜間などは介護職員がすべてに対応していたのだろう。

この施設は「現段階では何も話せない。あす、弁護士が会見して説明する」としています。(NHK) ⇒施設を運営する会社の社長らが、3日、弁護士と会見し、弁護士は、「警察の捜査に協力する。ご迷惑をかけたことをおわびしたい」と述べました。警察のその後の調べで、去年9月に大阪府などが施設に立ち入り調査した際、元施設長や課長が、およそ20人の職員に対し、「介護職員は医療行為をしていない」と事実と異なる説明をするよう指示していたことが、捜査関係者への取材で分かりました。(10/3NHK)

元施設長の女(43)ら2人と運営会社「エス・エッチ・エー」(羽曳野市)を介護福祉士法違反の疑いで近く大阪地検堺支部に書類送検する。起訴を求める「厳重処分」の意見を付ける方針。(毎日新聞)

施設の職員が昨年9月、羽曳野市に通報して不正が発覚した。(産経新聞)

記事にも触れられているが、多額の費用と時間がかかる研修を施設側が避けただけのことだが、この施設規模からすると厳しい現状があったことだろう。

介護職員はこれらの行為を無理強いされた格好で内部通報に至ったということだ。

ただ昨年9月の内部通報から、すでに一年が経過しており、その間の市役所や警察の動きについて詳細は不明である。

医療的ケアの研修については、都道府県によって実施の温度差が大きく、加えて施設側の姿勢も関わってくる。

医療行為は論外としても、医療的ケアに関しては費用をかければできるにしても、莫大な費用を誰が負担し実施させるのかということは問題となるところだ。

さて今回の事件が起訴されていけば他の現場に対するプレッシャーは強まる。

当然、必要な人員と研修を受けさせることが必要ではあろうが、それができない事情があることは研修制度がはじまる以前からあったことだ。

その研修を受けることすら十分にできない現状がどの程度のものなのかを把握し、都道府県が積極的に支援できる余地は残されている。

昨今の介護施設での虐待報道で現場スタッフの質が落ちていることは間違いないことで、加えて入所者の命に直結した医療行為・医療的ケアについても懸念される。

医療的ケア全般の成立経緯について今まで詳細に書いてきただけに、このような事態は十分に予測されることで、何のための研修制度だったのだろうと改めて感じる。

この施設だけの問題なのか、報酬カットで職員の質を低下させている厚労省の政策が問題なのか、十分に研修制度を運用しない都道府県の問題なのか、おそらく全てに欠陥があるのだろう。

追記
 3日、大阪市内で会見を開き、「途中で違法行為と分かったが、日々の業務に追われ放置してしまった」と釈明した。説明では、12年12月に肺炎で入院していた入所者が施設に戻った後、家族や看護師から毎日2回経管栄養を受けていたが、家族から「施設でしてほしい」と要望され、違法行為の認識がないまま職員が担当。インスリン注射については、認知症になるなどして自力でできない入所者に代わって介護職員がするようになったという。施設側は「違法行為に対する認識が甘かった」とし、26人いる入所者には現在、同様の行為はしていないという。(10/4朝日新聞)

定員30人の同施設は現在26人ということで、この利用者4人は退所した・させた!?ということか。

経緯は上記のように介護度が悪化して施設側がやらざるを得ない状況になり、かつ介護職員を育てる費用を捻出できなかったという言い分になるのだろう。

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<以下引用>
介護士ら研修受けず医療行為か 大阪・羽曳野の老人施設
2015年10月2日 朝日新聞

 介護士が必要な研修を受けないまま入所者に栄養剤注入などの医療行為を施したとして大阪府警は2日、大阪府羽曳野市の介護付き有料老人ホーム「グランパ羽曳野」の元施設長(43)ら計22人を医師法違反などの疑い、運営法人を社会福祉士及び介護福祉士法違反の疑いで書類送検した。府警への取材でわかった。

 羽曳野署によると、元施設長のほかに書類送検されたのは介護計画の作成担当者(66)と看護師1人、介護士19人。2013年1月~14年9月、介護士が法的義務がある研修を受けないまま、入所者2人に対し、鼻に管を入れて栄養剤を注入する「経管栄養」を計659回実施し、別の入所者2人に計1365回、糖尿病のインスリン注射をした疑いがある。

 厚生労働省福祉基盤課によると、経管栄養の実施は医師や看護師らに限られていたが、12年の社会福祉士及び介護福祉士法改正で、専門の研修を受ければ介護職員らも可能になった。現場のニーズが高く、介護施設側から「職員でもできないと現場が回らない」と強い要望があったという。インスリン注射は研修の有無にかかわらず、医療行為として介護職員らが行えば違法行為にあたる。

 大阪府豊中市の介護士研修機関「ベストウェイケアアカデミー」によると、経管栄養は手順や操作を誤ると胃の残留物が食道に逆流するなどし、窒息などを引き起こすリスクがある。研修には約50時間の座学と現場実習などがあり、期間は半年~1年、費用は1人あたり10万~20万円かかるという。

 元施設長は府警の調べに対し、「研修にお金がかかる。施設経営を赤字にできなかった」と供述。介護士らは「いけないことだと分かっていたが、指示されたので仕方なくやった」と述べているという。

 グランパ羽曳野によると開所は05年10月。定員30人で現在は男女25人が入居している。日中は看護師1人が常駐し、夜間は介護職員2人が勤務している。現在の施設長は取材に対し、「今は何も答えられない」と話した。

<以下追加引用>
研修せずに医療行為 老人ホーム職員ら22人、全員不起訴
2016.7.15 産経WEST

 大阪府羽曳野市の介護付き有料老人ホーム「グランパ羽曳野」の職員が無登録で医療行為をしていたとして大阪府警に書類送検された事件で、大阪地検堺支部は15日、社会福祉士・介護福祉士法違反や医師法違反容疑で書類送検された元施設長や介護職員ら22人と、施設の運営法人を不起訴処分とした。同支部は不起訴とした理由や処分の内容を明らかにしていない。

 府警は、必要な研修を経ていない職員らが平成25年1月~26年9月、入所者に鼻からチューブで栄養剤を補給する「経管栄養」や糖尿病のインスリン注射などの医療行為をしていたとして、昨年10月に書類送検していた。


<以下関連エントリー>
無資格・経管栄養の有料老人ホーム、利用者を車いすで拘束放置16時間も・・・ 大阪府行政処分
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by negitoromirumiru | 2015-10-02 06:08 | 福祉 | Comments(0)


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