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女子受刑者専用施設の拡大、刑務官の職場環境の問題解決に 女性刑務官採用増へ

女性刑務官200人増へ 採用枠拡大し「離職率半減」、高校生向けパンフ2万部
2015年5月4日 産経新聞

 法務省が女性刑務所で働く女性刑務官を今後3年間で約200人増やす方針を固めたことが3日、分かった。慢性的な要員不足を補うためで採用枠も大幅に拡大する。初めて女性刑務官向け採用パンフレットも作成、今月から全国の高校などに配布する。「3年間で30%」という高い離職率についても、3年後に男性刑務官並みの15%を目指す。

 同省によると、全国には女性受刑者向けの施設が10カ所あり、3月1日時点で約1400人の女性刑務官が勤務している。同省はここ数年、毎年110~130人程度の女性刑務官を採用してきたが、今年から総人員が約60~70人ずつ増えるよう採用枠を拡大する。定年退職者などを見込んだ上で3年後には約200人増員し、女性刑務所への配置を増やす方針。

 全国の女性刑務所では、今年2月末時点で計4370人の女性受刑者を収容している。収容率(既決囚)は平成25年末に98・7%となり、記録を確認できる13年末以来初めて100%を下回ったものの、依然として高収容率が続いている。

 一方、労務環境からくる女性刑務官の離職率の高さが、女性受刑者の処遇に影響を与えかねない事態も生じている。同省の調査では、22年までの3年間に採用された女性刑務官の離職率は約30%。結婚、出産や親の介護など事情はさまざまだが、今年1月に麓(ふもと)刑務所(佐賀県)で開催された女性刑務官の座談会では、参加した上川陽子法相が「自分の求める仕事と現場とのギャップも大きな壁になっている」と指摘した。

 「受刑者を更生させるために就職したのに、実際には監視する仕事ばかり」「受刑者から心ない言葉を言われた」。こんな女性刑務官の声は、就職前の仕事のイメージと実際の業務内容のズレが離職を招いている実情をうかがわせる。さらに、交代制勤務のため休みが取りづらく、人里離れた職場に官舎暮らしという環境が若い女性には物足りないようだ。

 これを受け同省は女性刑務官の仕事の実態を伝える採用パンフレット2万部を初めて作成した。現役の女性刑務官が就職のきっかけや求められる資質、プライベートな生活との両立などについて語る座談会を収録。夜勤部長や工場担当らが仕事内容を紹介し、長期的なキャリアステップについても説明する。今月から全国の高校や専門学校などに配布する予定だ。

 これに加え、同省は女性刑務所付近の医療や福祉の専門家から助言・指導を受ける「地域支援モデル事業」を促進するなどし、3年後の女性刑務官の離職率半減を目指す。

 同省矯正局は「パンフレットで仕事のミスマッチを防ぎ優秀な女性を採用したい」と期待を寄せている。

(春之介のコメント)
女性刑務所にも受刑者の高齢化が訪れており、更生というよりも終の棲家の状態もあるという。

男性刑務官に比べて離職率が倍ということだが、これは警察官や自衛官などと比べてどうなのだろうか。

法務省は、仕事の魅力をアピールすべくパンフレット作成し配布するようだが、男性以上に厳しい環境であることは伺える。

このところ矯正施設で働く医師の問題が大きく取り上げられており、人気がない状態にある。

医師の場合は、待遇面や研修などが問題の要となっているが、刑務官の場合はどうなのだろう。

本来の目的である更生が難しくなる一方で、困難な問題を抱えている受刑者と、指導監督する刑務官等の関係が少しでも改善することを期待したいものだ。


<以下追加引用>
豊橋刑務支所が女子専用に
2015年05月11日 NHK名古屋

岐阜県の笠松刑務所など、全国に7か所ある女子受刑者専用の施設のうち6か所で、定員を上回る状態が慢性的に続いていることから、愛知県豊橋市の男子用の施設が、来年度から、女子専用として運用されることになりました。
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女子受刑者専用の施設は、岐阜県の笠松刑務所など、全国に7か所ありますが、このうち、6か所では、定員を上回る状態が慢性的に続いています。
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これを改善するため法務省は、愛知県豊橋市にある男子用の豊橋刑務支所を平成29年1月から、女子専用として、運用することになりました。

変更にあたって女子用のトイレを増やすほか、シャワー室や育児室を新たに設けるなど、5億円をかけて、今後、施設の改修を進めるとしています。また、新たに女性刑務官19人を採用する方針です。
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名古屋矯正管区豊橋刑務支所準備室の杉本美紀事務官は「過剰収容に加えて、高齢の受刑者も増えているため、施設の運営が難しくなっている。再犯防止を適切に行うための環境を整えたい」と話しています。

<以下参考>
出産する女性受刑者、悩む刑務官、課題多き「女子刑務所」の今…「やり直したい」という受刑者の言葉がやりがい
2015.2.11 産経ニュース (外部リンク)

<以下追加引用>
刑務所で出産、子育ては無理? 母子、離される現実
2015年5月30日 朝日新聞

 刑務所にいる間に出産する女性受刑者が、年間に20人以上いることがわかった。制度上は刑務所内での育児は許されているが、実際には離ればなれになるのが大半。「母子は一緒に暮らすべきだ」との指摘を受け、法務省は近く検討に乗り出す。一方、「塀の中」での子育てには疑問の声もある。

 同省によると、妊娠した女性受刑者は、統計を取り始めた2012年度が27人、13年度が25人。覚醒剤などの薬物使用で逮捕され、拘置所や刑務所で妊娠に気づいたケースが多い。大半の受刑者はその後、出産したとみられる。

 刑事収容施設法は、刑務所長が認めれば、受刑者と子どもは最長で1歳6カ月まで、所内で一緒に過ごせると定める。全国10カ所の女性刑務所には、「保育室」などの名称で母子が一緒に入る部屋もある。

 しかし、実際に所内で子どもを育てた例は「最近は聞いたことがない」(同省矯正局)という。母親が養育を希望しても、子育てができる状態にないと判断されるケースが多く、子どもの大半は乳児院や親族に引き取られている。

 刑務所側の受け入れ態勢も整っていない。

 近年は薬物事件などで女性受刑者の数が増え、11年末には過去最高の4654人に。このため、房が足りず、保育室なども一般受刑者の収容に使われている。また、受刑者が子育てをすれば刑務官の負担が増すため、現場では受け入れに消極的な意見が根強い。

 こうした現状に対し、女性刑務所の環境改善を提言する民間の有識者会議「女子刑務所のあり方研究委員会」は13年6月、子どもの権利保護の観点から「妊産婦や出産後の受刑者と子どもの支援を充実させるべきだ」と指摘。委員長の堂本暁子・元千葉県知事は「離ればなれよりも子どものために良く、母親の再犯防止にもつながる。短期間でも母子が一緒にいられる環境をつくるべきだ」と話す。

 指摘を受けて法務省は、刑務所内での育児が可能かどうか、内部で検討を始める。交代勤務で厳しい労働環境にある刑務官に、母子への対応という新たな業務ができるのか。受け入れには保育や福祉のスタッフも必要で、人員確保なども課題になるとみられる。(北沢拓也)

<以下参考> 外部リンク
〈ニュースを問う〉 受刑者の出産時に手錠
2015年2月22日 中日新聞


<以下関連引用>
常勤医「ゼロ」困った…不法滞在者収容の入国管理センター
2015.2.26 産経新聞

 不法滞在の外国人を収容する全国3カ所の入国管理センターで、常勤医師が一人もいない事態になっていることが25日、入管当局への取材で分かった。いずれも非常勤医師が輪番で対応しているが、夜間帯の緊急対応の不備や外部医療機関の利用に伴う診療費の増加などが問題となっている。昨年3月には収容中の外国人2人が相次いで死亡しており、関係者から「医療態勢を充実すべきだ」という声があがっている。

 入国管理センターは現在、東日本(茨城県牛久市)▽西日本(大阪府茨木市)▽大村(長崎県大村市)-の3カ所で、常勤医師の定数は各1人。不法滞在の外国人が帰国するまでの間、施設内で健康管理や病気、けがの診療を行う。

 入管当局によると、東日本では平成24年3月、常勤医師が退職した後、後任が見つかっていない。大村でも25年4月から不在。唯一残っていた西日本でも昨年末に常勤医師が辞めたため、年明けから全国で「ゼロ」となった。

 いずれも、近隣の民間医療機関などの医師が輪番で勤務しているが、入管当局の幹部は「土日や夜間でも相談できる常勤医師がいないと困る。救急の場合など、外部医療機関への搬送が増える」とこぼす。外部へ搬送するには、逃走防止のため職員数人が交代制で付き添わなければならない上、健康保険が適用されず高額の医療費がかかってしまう。

 各センターでは、隣接の医師会へ呼びかけるなどして募集しているが、一向に集まらない。背景には、民間医療機関の医師と比較した給料の低さや最先端の医療から取り残される不安があるという。

 一方、昨年3月には東日本でイラン人男性が食べ物を詰まらせて死亡したほか、カメルーン人男性も病死。そのため、有識者の第三者機関「入国者収容所等視察委員会」は11月、「医療体制の見直し」を求めた。法務省入国管理局も同月、ハローワークへの求人登録などを行うとともに、週末や夜間でも非常勤医師に相談できる態勢の構築を目指す方針を示した。

 全国の刑事施設では昨年、常勤医師数が過去最低を更新。同省ではフレックス制の導入や兼業許可手続きの簡略化などを盛り込んだ新法案を準備中だ。入管幹部は「新法が管理センターにも準用されるのでは」と期待を寄せている。

 ■入国管理センター

 不法滞在で強制退去を命じられるなどした外国人を帰国まで収容する施設。収容者数(2月20日時点)は東日本290人(定員700人)▽西日本12人(同300人)▽大村23人(同800人)。西日本は収容者数の減少から今年9月に閉鎖する。更生作業のある刑務所と違い、収容者は施設内で自由に活動できる。東日本では平成25年、フィリピン人116人▽トルコ人66人▽中国人42人-らが入所していた。

<以下追加引用>
女性刑務所、定員超過ゼロへ 男性用から女性用切り替え
2017/2/18 産経新聞デジタル

 かねて収容率の高さが問題となっていた全国の女性刑務所で、定員超過が恒常的に解消される見通しになったことが18日、分かった。今年1月から、愛知県の男性用施設で新たに女性受刑者の受け入れが始まったためだ。もともと受け皿が少なかった女性用の矯正施設は、受刑者数の高止まり傾向を反映して近年は高収容率が常態化し、生活環境や更生支援への悪影響が懸念されていた。専門家は「再犯率の低下にもつながるのではないか」と評価している。
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 女性刑務所はこれまで全国に10カ所あり、昨年12月時点で3800人の受刑者を収容していた。法務省は安定した施設運用の目安を収容率80%としているが、同時点では8施設でこれをオーバーし、全国平均も85・8%だった。このうち麓刑務所(佐賀県鳥栖市)は101・7%と定員を超過、栃木刑務所(栃木県栃木市)も100%に達していた。

 女性の場合は男性の処遇と違って原則、罪種などで刑務所の振り分けをしておらず、出所後の帰住地などを考慮して収容しており、地域による偏りもあった。

 定員を超過すると、たとえば6人部屋に7、8人を入れることになるが、受刑者のストレスがたまりやすくトラブルの原因になるほか、刑務官1人当たりの対応人数が増え、業務上の負担が増えるという問題があった。

 一方で刑務所の新設は地元の理解を得るのが難しく予算上の制約もあるため、法務省は男性用刑務所の女性用への切り替えを推進。近年では松山刑務所西条刑務支所(愛媛県西条市)が平成26年、四国で初めての女性用として改修された。

 今年1月からは従来、男性専用だった名古屋刑務所豊橋刑務支所(愛知県豊橋市)で女性受刑者の受け入れがスタート。男性受刑者の割合を徐々に減らしていくとともに、トイレや風呂の改修を進めている。現在入所する女性は1人のみだが、30年7月をめどに定員260人程度の完全な女性専用の刑務所となる予定。

 法務省は豊橋での施設運用が始まったことを受け、移送などを含めた収容者の配置の見直しを検討するとみられ、すべての女性刑務所で収容率80%未満を目指すとしている。


by negitoromirumiru | 2015-05-11 20:46 | 生活 | Comments(0)


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