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医療・介護法:参院で可決・成立 特養入所厳格化、介護保険2割負担の人も、一部サービスを市町村事業へ

医療・介護確保法案:衆院委で可決、15日に衆院通過へ
2014年5月14日 毎日新聞

 自民、公明両党は14日の衆院厚生労働委員会で、地域医療と介護保険制度を一体で見直す「地域医療・介護確保法案」を賛成多数で可決し、15日の本会議で衆院を通過する見通しとなった。全野党が反対する中、採決を「強行」したことで議場が一時紛糾した。

 在宅医療推進のための医療法改正や介護保険サービスの負担増につながる介護保険法改正など合計19本の法案を一まとめにしている。内容は、国が904億円を投入し各都道府県に基金を設置して医療・介護サービスへ財政支援▽介護が軽度な「要支援者」向けの事業を3年かけて市町村に移管▽年収280万円以上の人の介護保険の自己負担を1割から2割に--など。【中島和哉】
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医療・介護推進法案が衆院通過
2014年5月15日 時事通信社

 介護保険利用者の自己負担の一部引き上げなどを盛り込んだ医療・介護総合推進法案が15日の衆院本会議で、与党の賛成多数で可決、参院に送付された。今国会で成立する見通し。

 同法案は、増え続ける介護費用の抑制を図りながら、高齢者が住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けられる環境を整えるのが狙い。年金収入280万円以上の人の介護保険の自己負担について、2015年8月から、現行の1割から2割に引き上げる。また、医療提供体制の整備に向け、都道府県に基金を創設する。 


<以下引用>
地域医療・介護法案が審議入り 高齢患者、難民化も
2014/4/5 中日新聞 朝刊

 「地域医療・介護総合確保推進法案」が衆院で審議入りした。実は、高齢者支援を目的としたこの法案が成立すると、介護サービスの低下を招きかねないという。今月から8%になった消費税の増収分五兆円のうち、社会保障制度には五千億円しか回らない予定だ。増税の目的は社会保障の充実ではなかったのか-。

 「理念自体の理屈は通っていても、福祉施設の増設など受け皿をつくろうとしていない。最後まで自分のお金で賄えというのなら、行き場のない高齢者が難民化する恐れがある」

 特定医療法人・神戸健康共和会の藤末衛理事長は問題点を指摘した。

 政府はこの法案で、高齢の入院患者を減らし、在宅医療に切り替えることを狙っている。

◆36万床増が必要

 背景には、増え続ける医療費の問題がある。厚生労働省の推計では、患者の自己負担を除く医療費は二〇一一年度の三十五兆円から、団塊世代が七十五歳以上に達して後期高齢者医療制度の対象となる二五年度には五十四兆円に膨らむ。現状の体制を維持すると、医療機関のベッド(病床)数は二五年度には、現状よりも約三十六万増の二百二万床が必要だ。

 厚労省は今後、病床を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つに区分する方針を示している。救急患者が命に関わる症状を脱したら、回復期、慢性期の病床に移す、というイメージだ。

 一二年に厚労省の宮島俊彦老健局長(当時)が「急性期以外の病院はなくなるのが理想」と発言した流れに沿った内容。このやり方で、病床数を百五十九万床に抑えられるという。

 最も削減したいのが、医療費がかさむ重症患者ら七人を看護師一人が担当するいわゆる「七対一病床」だ。まずは一四年度から二年間で九万床減らして二十七万床とし、将来的には半減を目指す。

 もともとは、高度医療と集中看護で患者の入院日数を減らす狙いだったが、多くの病院が導入したため医療費が逆に増え、本来の趣旨から外れた軽症の患者まで入院するケースも目立ってきたという。ただ、医療現場では短期間での厚労省の方針転換に、不満や混乱が広がる。

 この法案を評価する見方もある。伊関友伸城西大教授(行政学)は「社会保障費を大幅削減した小泉政権は、医療現場の実情を無視した急激な改革を進め、地方の病院が経営破綻するなどの医療崩壊を招いた。その反省で、その後の自民、民主政権は方針を転換し、限られた財源で国民皆保険制度を存続させるために今回の法案をつくった」と話す。

 だが、無理に退院させられても、一人暮らしや不自由な体で自立生活が難しい高齢者は少なくない。民間の医療機関でつくる全日本民主医療機関連合会事務局の担当者は「病床数や入院日数を減らすことで、どんどん患者が地域に出てくる。特別養護老人ホームや老人保健施設の増設、在宅医療の充実といった受け皿が必要だが、不十分なままだ」と批判する。

 特養ホームへの入所を希望しているのに入所できない「待機者」が約五十二万四千人に上り、高齢化の進展で施設整備が追いつかない実態が、厚労省が三月に公表した集計で明らかになったばかりだ。

 それでも厚労省は、診療報酬改定によって医療機関を誘導しようとももくろむ。法案成立により、退院した患者の比率を示す「在宅復帰率」に応じて、各病院の診療報酬を下げることも可能になるからだ。

 法案には、全国一律の高齢者向け訪問・通所介護サービスを市町村の事業に移すことも盛り込まれている。在宅医療と介護の連携を進める「地域包括ケアシステム」を築くという。

 医師でもある阿部知子議員(無所属)は「地域包括」の考え方に危うさを感じるという。「地域はそれぞれ、沿革も違えば、施設や人員など医療・介護体制も違う。誰が地域包括ケアの核になるかすら明らかではない。地方に財源や権限を移すのなら、自治体とも話し合う必要がある」

◆難しい人材確保

 そもそも人材を確保できるのか。団塊世代が七十五歳以上となる二五年度に、地域包括ケアシステムで在宅サービスを充実させるには、二百四十万~二百五十万人の介護スタッフが必要と、厚労省は推計する。

 現在は約百五十万人。介護の仕事の離職率は17%程度と、14%台の全産業平均と比べて高く、スタッフ確保は難しい。半数以上が仕事内容には満足とする一方、賃金面で満足しているのは二割というアンケート結果もある。

 審議入りした一日の衆院本会議。民主党の柚木道義議員は「介護の世界では『寿退社』は男性の話だ。(結婚を機に)やりがいはあっても家族を養えず転職する」と指摘した。「日本ホームヘルパー協会」(東京)の担当者も「人材確保は容易でない」と話す。

 それにしても、医療と介護はこれまで別々の法律で規定されてきた。今回、政府はなぜ改定する内容を一本の法案にまとめたのか。

 民主党の中堅議員は「厚労省は本来十九本の法案を一本にしたと説明している」と明かし、「政府・与党が審議時間短縮を狙っているのは間違いない。与党が強行採決をする姿を国民に見せないようにする意味もある」と批判した。

 「法案の内容は多岐にわたり、個別には賛成できるものもある。所得の多い高齢者の介護保険サービス利用料の自己負担割合の引き上げなどだ。政府・与党は『一つの総合法案とすれば、野党も賛成に回る』と考えたのかもしれない」

◆乱暴な一括審議

 一日の衆院本会議では、質問に立った二人の医師出身議員が不快感をあらわにした。日本維新の会の清水鴻一郎議員は「医療事故を調査する、いわゆる医療版事故調の新設まで含まれている。一括審議は難しい」。みんなの党の中島克仁議員も「持続可能な社会保障を確立するといって消費税増税をしているのに、医療・介護の問題を丁寧な議論の場を持たずに進めようとしている」と切り捨てた。

 今回もまた、安倍晋三首相の「国会軽視」の表れという非難も出る。

 阿部議員は「安倍政権は特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認などの議論に続き、医療・介護の面でも立法の空洞化を進めようとしている。法改正のたびに医療・福祉の現場は大きな影響を受ける。そうした現場を見ていない」と指摘した。法案は今国会で、衆院本会議と各委員会の質疑に安倍首相の出席を求める「重要広範議案」となっている。審議を尽くすことが求められている。(出田阿生、篠ケ瀬祐司)


<以下追加引用>
◆<地域医療介護法案>18日成立へ 「要支援」地域格差も
 2014年6月17日 毎日新聞

 介護保険と地域医療体制を同時に見直す「地域医療・介護確保法案」は17日の参院厚生労働委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決された。18日の参院本会議で成立する見通しだ。同法案には、介護の必要度が低い「要支援」向けサービスの市町村事業への移行や、介護保険の自己負担増など暮らしに影響するメニューが並び、介護保険利用者らの不安の声は強い。【中島和哉、遠藤拓】

 同法案は医療、介護に絡む19の改正法案を1本にまとめたものだ。野党は「十分な審議をさせないですべて成立させることを狙った国会対策だ」と反発した。与党が衆院で採決を強行したことでさらに態度を硬化させ、全野党が反対に回る事態となった。

 中でも、介護保険で最も軽度な「要支援1・2」の人(約150万人)を対象とした、ヘルパーによる家事援助、デイサービスセンターでの食事や入浴といった訪問・通所介護サービスを、2015年度から3年で市町村事業に移す構想には多くの不安が寄せられている。国はボランティアの活用なども想定しており、全国一律だった事業が市町村に移ることで、サービス内容に地域間格差が生じるのではないか、との懸念だ。

 「北海道男性介護者と支援者のつどい」の小番(こつがい)一弘代表(55)は「認知症の人は『要支援』になっても徘徊(はいかい)などでかなりのサポートが必要な場合が少なくない。市町村に移し、(サービスが縮小されて)家族に負担を強いることになれば、介護者は疲れ果て、虐待や無理心中にもつながりかねない」と不安を口にする。

 17日の参院厚労委では、社民党の福島瑞穂氏が「地域に移して本当に必要なサービスが受けられるのか」と追及した。だが、安倍晋三首相は「サービス抑制ありきではない」とかわした。

 同法案には、特別養護老人ホーム(特養)への新規入居者を、原則「要介護3」以上の中・重度者に絞り込むことも盛り込まれている。比較的入居料の安価な特養は、入居を待つ人が52万人に達し、都市部を中心に整備が追いつかない状況にあるためだ。

 金沢市の田畑吉廣さん(64)は同居する父(89)、母(88)がともに要介護2で認知症。両親を自宅で介護しながら、特養の空きを待つが、待機はすでに6年に及ぶ。田畑さんは生活への不安から定年退職後もフルタイムで働くことを望んだものの、父母の世話に追われ、1日4時間程度のアルバイトがやっとだ。田畑さんは「入所が『要介護3以上』となれば、順番待ちから外されるかもしれない。特養以外の施設は高額で使えない。財政難を理由に締め出すのはおかしい」と訴える。

 制度の見直しには、年金収入が年280万円以上の人の介護保険の自己負担割合(一律1割)を、15年度から2割に引き上げることや、医療事故を第三者機関に届け出て調査する制度の新設なども含まれている。

◆医療・介護法案が参院委通過 18日に成立へ
 2014年6月17日 産経新聞

 参院厚生労働委員会は17日、医療法や介護保険法の改正案を一本化した地域医療・介護総合確保推進法案を与党の賛成多数で可決した。18日の本会議で可決、成立する見通し。

 採決に先立ち安倍晋三首相に対する質疑が行われ、首相は介護人材の確保について「社会保障と税の一体改革で必要な財源を確保し、処遇改善を進める」と強調した。民主党の森本真治参院議員への答弁。

 法案は、高所得者の介護保険の負担割合を1割から2割に引き上げ、特別養護老人ホームへの入所を原則として要介護3以上の人に限定するなどの内容。介護施設に入所する低所得者への食費などの補助は預貯金が1千万円を超える単身者らを対象から外す。

<以下追加引用>
◆<医療・介護法>参院で可決・成立 利用者負担が2割の人も
 2014年6月18日 毎日新聞

 地域の医療提供体制と介護保険制度をセットで見直す「地域医療・介護確保法」が18日午前、参院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決、成立した。介護保険の自己負担割合(現在一律1割)を、一定所得(年金収入で年280万円を想定)以上の人は2割に引き上げることや、一部介護サービスの市町村事業への移管、医療事故を第三者機関に届け出て調査する制度の創設などが柱だ。

 同法は、社会保障制度改革の工程を定めたプログラム法に列挙された個別項目を実行に移す第1弾。「年齢を問わず、高齢者でも所得がある人には応分の負担を求める」という新たな政府方針に沿った内容となっている。

 介護では2015年8月、一定所得層以上の自己負担割合をアップする。00年度の制度創設以来初だ。同時に、多額の預貯金(単身者で1000万円超を想定)を持つ介護施設入居者を、食費や部屋代の補助対象から外す。15年度から3年かけて介護の必要度が低い要支援1、2の人向けの家事援助サービスなどを市町村事業に移すほか、15年4月以降、特別養護老人ホームへの新規入所を要介護3以上の中重度の人に限定する。

 医療では、15年10月に医療版事故調査制度をつくる。患者が死亡した医療事故の第三者機関への届け出や、原因究明に向けた院内調査を全医療機関に義務づける。また、介護と共通で使える財源として、在宅医療推進のための基金(公費ベースで総額904億円)を各都道府県に設置する。

 同法は医療、介護の幅広い分野の法律計19本を一本化しており、野党は「強引だ」と反発した。参院で審議入りした5月21日、趣旨説明を記した厚生労働省の資料にミスが見つかり、田村憲久厚労相が陳謝。6月2日に趣旨説明をやり直す事態となった。【中島和哉】

 ◇地域医療・介護確保法のポイント

【医療】
・重症患者対応か、慢性病患者中心かなど、医療機関が自らの役割を都道府県に報告する制度の新設(2014年10月)
・都道府県による地域医療ビジョンの策定(15年4月)
・医療事故を第三者機関に届け出て調査・報告する制度の新設(15年10月)

【介護】
・「要支援1、2」向けの通所・訪問介護サービスを市町村事業へ移管(15年4月)
・低所得高齢者の保険料軽減を拡充(15年4月)
・特別養護老人ホームへの入所者を原則「要介護3」以上に(15年4月)
・一定所得以上の人の自己負担割合を1割から2割に引き上げ(15年8月)
・多額の預貯金を持つ介護施設入居者の食費や部屋代の補助打ち切り(15年8月)

【医療・介護共通】
・消費増税分を財源に、各都道府県に在宅医療・介護を推進するための基金を設置(14年度)
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◆医療・介護法が成立 介護保険負担2割に、特養入所厳格化も
 2014年6月18日 産経新聞

 医療法や介護保険法の改正案を一本化した地域医療・介護総合確保推進法が18日午前、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。介護保険と地域医療の見直しに向け、社会保障制度改革の実施スケジュールを定めたプログラム法(昨年12月成立)を実行に移すための内容を盛り込んだ。

 介護分野では、介護保険の自己負担割合(現行1割)を、年間年金収入が280万円以上の人に限って2割に引き上げる。特別養護老人ホームの入所要件を厳格化し、原則「要介護3」以上に限定。比較的軽度の「要支援1~2」の人に対する訪問介護と通所介護は、段階的に市町村事業へと移管する。介護施設入所者への食費などの補助は、預貯金が1千万円を超える単身者らを対象から外す。

 医療分野では、医療事故を調査する第三者機関を平成27年10月に設置。在宅医療・介護を推進するため、消費税増税分を活用した基金を各都道府県に創設することも盛り込んだ。

 民主党など野党は、負担増や介護サービス低下につながると反発。医療、介護という異なる分野の法改正を一本の法律で行うことにも、「丁寧な議論の場を持たずに進めようとしている」と批判が相次いだ。

 同法をめぐっては、参院本会議で審議入りした5月21日、厚生労働省が議員に配布した趣旨説明の資料にミスが発覚し、野党の反発によって本会議が中断、6月2日に趣旨説明をやり直すトラブルがあった。

<以下引用>
「要支援」介護のボランティアに補助へ
2014年7月28日 NHK

現在、全国一律に提供されている介護の必要性が比較的低い「要支援」の高齢者向けの介護サービスが、来年4月から市町村の事業に移されるのに伴い、厚生労働省はサービスの担い手として期待されるボランティアの活動費を補助する方針を決めました。

介護の必要性が比較的低い「要支援」と認定された高齢者が利用する「通所介護」と「訪問介護」の2つのサービスは、現在、全国一律に提供されていますが、来年4月からは市町村がサービスの内容や料金を設定できるようになります。

新たな制度では地域の高齢者などのボランティアを活用し、買い物の代行やごみ出しなどの市町村独自のサービスを提供する計画です。しかし、地域によっては人材の確保が難しいことも予想されるため、厚生労働省はボランティアの活動費の一部を補助し市町村を後押しする方針を決めました。

ボランティアの活用は膨らみ続ける介護費用を抑えるねらいもあり、厚生労働省は、「元気な高齢者など市町村の人材を生かして利用者のニーズに合ったサービスを提供してほしい」と話しています。


<以下関連エントリー>
介護保険から「要支援」を分離①市町村が受け皿へ ⇒法案閣議決定 ⇒市町村移行は通所・訪問介護のみへ修正
by negitoromirumiru | 2014-05-15 01:27 | 福祉 | Comments(0)


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