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生活保護法の改悪に反対する研究者らが共同声明(全文) ⇒2013/10/27現在 賛同者1103名

生活保護法改正案に反対 研究者1000人超 声明賛同
2013年10月25日 東京新聞

 生活保護費の抑制策を盛り込んだ生活保護法改正案に反対する学者など研究者による共同声明の賛同者が千人を超えた。呼び掛け人代表の三輪隆埼玉大名誉教授、後藤道夫都留(つる)文科大名誉教授、布川日佐史(ひさし)法政大教授が二十四日、厚生労働省で記者会見して明らかにした上で「日本の社会に貧困が広がり、深刻な状況になっている」と訴えた。(上坂修子)

 賛同者は千八十七人。呼び掛け人が改正案の国会提出に反対する声明案を発表した九月十三日には四百四十人だった。その後、政府が今国会に改正案を提出し、成立させる方針を明確にしたのを受けて急増した。内訳は社会保障・福祉分野が二百二十五人、教育学百五十二人、憲法・行政法などが百三十八人など。幅広い分野の研究者が賛同した。

 声明は改正案について「安全網を切り縮めることは、自由で民主的な社会の基盤を掘り崩す。生活困窮者だけでなく全ての人々の生存権に対する攻撃だ」と批判している。

 申請時に資産や収入に関する書類の提出を義務付けた規定に関し「申請への門前払いが横行するのは目に見えている」と指摘。親族らの扶養義務強化に対し「一層多くの人が迷惑をかけたくないとの理由から生活保護の利用を断念する」と懸念を示している。

 政府は五月、改正案を国会に提出。与党や民主党による修正を経て衆院を通過したが、参院選前の与野党対立のあおりで廃案になった。政府は修正を踏まえ、今国会に再提出した。

◆呼び掛け人(五十音順)
 浅倉むつ子早稲田大教授(労働法・ジェンダー法)、伊藤周平鹿児島大教授(社会保障法)、井上英夫金沢大名誉教授(社会保障法)、遠藤公嗣明治大教授(社会政策学)、大門正克横浜国立大教授(歴史学)、小沢隆一東京慈恵会医科大教授(憲法学)、木下秀雄大阪市立大教授(社会保障法)、木本喜美子一橋大教授(社会政策学・ジェンダー研究)、後藤道夫都留文科大名誉教授(社会哲学・現代社会論)、竹信三恵子和光大教授(労働社会学)、布川日佐史法政大教授(公的扶助論)、本田由紀東京大教授(教育社会学)、三輪隆埼玉大名誉教授(憲法学)、世取山洋介新潟大准教授(教育学)、和田肇名古屋大教授(労働法)

(春之介のコメント)
その声明全文を調べてみたが、多くの研究者の方々が賛同されている。

それにしても大学教員やOBらは、日本にこんなにいるんだ。

今まで、こうした動きがなかったことが不思議なくらい。

声明を見ても、特に学者らしい見解もなく難しさはないし小さくまとまったかな。

ただ報道したのが毎日新聞と東京新聞らに限定していることが危惧だ。


<以下参考>
第185回国会(臨時会)提出法律案 (厚労省、外部リンク)

<以下参考> 声明に賛同した研究者一覧と共同声明内容
いのちと生活を守ろう! 
生活保護法の改悪に反対する研究者の共同声明
 (HP)

生活保護法の改悪に反対する研究者の共同声明
10.24.発表 共同声明

 先の国会で廃案となった生活保護法改正案が今国会に提出された。この法案は、不正受給を防ぐためと称し、第1に、生活保護申請時に所定の申請書と資産・収入・扶養の状況などに関する書類の提出を義務づけると共に、第2に、親族の扶養義務を生活保護の事実上の前提要件としている。 これは自由で民主的な社会の基盤であるセーフティーネットとしての生活保護を脅かすものであって、私たちはけっして許すことはできない。

 第1の問題点については、悪名高い「水際作戦」による門前払いを合法化するものだとの指摘を受けて、先の国会では「特別の事情があるときはこの限りではない」と修正された。しかし、「特別の事情」を判断するのはこれまで「水際作戦」を進めてきたような行政の窓口である。政府は「運用はこれまで通り」「申請の意思があれば受理しなければならない」とし、「門前払いにならないように各自治体に通知する」と言っている。だが、「特別の事情があるときはこの限りではない」と認めたとしても、書類提出が原則となれば、申請にたいする門前払いが横行するのは目に見えている。

 「運用はこれまで通り」であるならば、口頭申請も可能であることが法文に明記されるべきである。そもそも、このようは書類の提出は申請の後で済むことであり、裁判判例も申請は口頭でよいことを認めている。ギリギリの生活を迫られている人たちには、保護申請すること自体を簡素化し容易にすることこそが切実に求められる。これはまた、第50会期国連社会権規約委員会も我が国に対して勧告していることである。

 第2の問題点については、まったく修正されていない。親族への通知を義務付ける条文や、親族の収入や資産の状況の報告を親族本人はもとより金融機関や雇い主などにも求めるという条文が新設されている。親族関係は多様である。夫への通知・調査を怖れるDV被害者だけでなく、親族に「迷惑がかかる」ことから申請をためらう人は現在でも少なくない。法改正によって、一層多くの人が親族に迷惑をかけたくないという理由から生活保護の利用を断念することになる。親族に「共助」を厳しく求めることは国の責任転嫁に他ならない。

 この他にも、法案は、ジェネリック医薬品の使用義務づけ、保護受給者の生活上の責務、保護金品からの不正受給徴収金の徴収を定めている。保護受給と引き換えに生活困窮者にこのような責務を課すことは、性悪説に立って保護受給者を貶め、その尊厳を著しく傷つけるものである。

 以上、この改正案は全体として生活保護を権利ではなく「恩恵」「施し」として生活困窮者とその親族に恥と屈辱感を与え、劣等者の烙印を押し、社会的に分断排除するものといわねばならない。
 生活困窮者は少数であり、常に声を上げにくい当事者である。しかし、セーフティーネットは、現に生活に困窮している人々を救うためだけの制度ではない。それは自由な社会のなかで生きる人々が、様々なリスクを抱えつつも、幸福な暮らしを安心して追求していくことができるための必須の条件である。セーフティーネットを切り縮めることは、自由で民主的な社会の基盤を掘り崩すものといわざるを得ない。これは生活困窮者だけの問題ではなく総ての人々の生存権に対する深刻な攻撃である。

 このような問題点をもつ生活保護法改正に私たちは強く反対するものである。
以上、声明する。


<以下引用>
生活保護:住宅扶助も見直しへ 厚労省
2013年10月04日 毎日新聞

 厚生労働省は4日、生活保護の一つで家賃を実費支給する「住宅扶助」など三つの扶助や各種加算制度を見直す方針を、厚労相の諮問機関、社会保障審議会の生活保護基準部会に示した。生活保護は8月に生活費にあたる「生活扶助」の減額が始まったばかりだが、今回の見直しも全体では引き下げとなる見通し。主なものは来年度以降に実施する。

 今後見直すのは、住宅扶助に加え、仕事に必要な技能を習得するための「生業扶助」、生活扶助の一部で受給開始時の衣服費などをまかなう「一時扶助」など。同部会は消費実態に関する統計や自治体へのアンケートを分析し、支給水準を検討する。また、生活扶助の切り下げが受給者に及ぼす影響も議論する。

 生活保護を巡っては、自民党の意向を受け8月から生活扶助のカットが始まった。3年かけ670億円を削減する。96%の受給世帯で減額となり、削減幅は世帯によって最大1割に及ぶ。しかし、財務省は一層の給付カットを求めている。

 7月の生活保護受給者は約215万人、約158万世帯で、世帯数は過去最多を更新した。受給者や支援者からは、「部会の議論がさらなる切り下げにつながるのでは」との声も上がっている。【遠藤拓】

<以下引用>
生活保護法改正案など決定
2013年10月15日 NHK

政府は15日の閣議で、生活保護の不正受給の罰則強化などを盛り込んだ生活保護法の改正案と、仕事と住まいを失った人に対し家賃を補助する制度を恒久化するなどとした生活困窮者自立支援法案を決定しました。

このうち生活保護法の改正案は、生活保護を受給している間に受給者が働いて収入を得た場合、現在は減額されている保護費について、受給者の労働意欲を高めるため、減額した分の一部を地方自治体が積み立て、受給者が生活保護から脱却したときに給付金として支給する制度を新たに導入するとしています。

その一方で不正受給を防ぐため地方自治体の調査権限を強化し、「受給者を扶養できない」と答えた親族に、理由を報告するよう求められるようにするとともに、不正受給に対する罰則を「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げるなどとしています。また生活困窮者自立支援法案は、仕事と住まいを失った人に対し、一定期間、家賃を補助する制度を恒久化するほか、地方自治体に相談窓口を設置することなどを定めています。

これらの法案は、先の通常国会でも審議が行われましたが、ことし6月の国会閉会に伴って廃案となっており、政府は臨時国会での成立を目指すことにしています。

<以下引用>
生活保護費:切り下げで異議1万人超
2013年10月11日 毎日新聞

 8月からの生活保護費切り下げで、自治体側に異議を申し立てる「審査請求」を行った受給者は最終的に1万191人(世帯主ベース、把握分)に上ったことが、支援団体のまとめで分かった。団体側は11日、田村憲久厚生労働相らに切り下げの撤回を求める要望書を提出した。

 「生活保護基準引き下げにNO!全国争訟ネット」と「全国生活と健康を守る会連合会」などが7月から1万人の参加を呼び掛けていた。団体側によると、参加者は47都道府県で8月下旬以降、各知事に審査請求。家族を含めれば1万3000人前後に膨らむとみられる。審査請求が退けられれば、希望者を募って再審査請求や行政訴訟に移行する方針。

 厚労省によると、生活保護関連の審査請求は2009年度の1086件が過去最多で、これを大幅に上回った。団体側は要望書で「国は当事者の声の重みを真摯(しんし)に受け止めなければならない」と訴えた。【遠藤拓】

<以下追加引用>
改正生活保護法が成立=受給者の自立支援強化
2013年12月6日 時事通信社

 生活保護受給者の自立を後押しする給付金の創設を柱とする改正生活保護法と、経済的に困窮している人を早期に支援する生活困窮者自立支援法が、6日の衆院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。いずれも先の通常国会で廃案になり、今国会に参院先議で再提出されていた。

 改正生活保護法で新設する給付金は、受給者が働いて得た収入の一部を積み立て、保護が終了した際に生活費として支給する。保護脱却への意欲を高めてもらうのが狙い。

 不正受給対策の強化も盛り込んだ。罰金を引き上げるほか、就労実態や経済状況に関する福祉事務所の調査権限を拡大。保護を申請した人に扶養義務者がいる場合、扶養可能とみられるのに応じなければ、自治体が説明を求められるようにする。このほか、保護費の約半分を占める医療費の抑制に向け、後発医薬品(ジェネリック)の使用を促す方針を明記した。 
by negitoromirumiru | 2013-10-28 16:45 | 福祉 | Comments(0)


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