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社会保障制度改革のヒアリング団体等の論調とは!? 社会の望ましいあり方を巡って あなたは!?

①社説:社会保障改革 政治が応える番だ
 2013年08月03日 毎日新聞

 政府の社会保障制度改革国民会議が改革案をまとめ公表した。「負担は現役世代、給付は高齢者へ」という年齢を軸にした現行制度を見直し、能力に応じた負担と給付への転換を打ち出したのが特徴だ。

 具体的には低所得者の国民健康保険料、介護保険料を軽減する一方で、高齢層でも所得の高い人には介護保険サービスの自己負担増、基礎年金給付の減額のほか、公的年金等控除や遺族年金への非課税措置の見直しにも言及した。現役世代も財政に比較的余裕のある国保組合への公費定率補助の廃止、平均年収の高い企業の従業員負担が重くなる「総報酬割り」の実施が盛り込まれた。

 全体的に厳しい内容だ。高齢者の反発を招きそうな改革から逃げ続けている政治にできるだろうか。70〜74歳の医療費自己負担を1割から2割へ上げることすら、決めておきながら実施できないのである。ねじれ国会が解消され、しばらく国政選挙がない時期にできなければ、痛みを伴う改革などできないだろう。

 個々の負担ばかりに目を奪われるが、今回の目玉は医療・介護の改革だ。民主党政権下の一体改革では消費増税に伴い基礎年金の税負担を2分の1へ引き上げ、子育て支援の拡充が決められたが、年金以上に費用が膨張する医療や介護は手つかずだった。年金給付費の対国内総生産(GDP)比は2012年度の11・2%から25年度は9・9%と低下するが、医療給付費は7・3%から8・8%へ、介護給付費は1・8%から3・2%へと増加するのである。

 日本の医療の特徴は病床数が多く入院期間が長いことだ。改革案は「病院完結型」から、医療・介護・住まい・自立生活などの支援がつながる「地域完結型」への転換を提示し、医療供給体制の改革を本丸と位置づけた。都道府県が医療機能ごとの必要量を示す地域医療ビジョンを策定し、医師・診療科や高額医療機器の偏在の是正を図るとともに、医療法人と社会福祉法人の再編や統合を容易にして医療と介護を切れ目なく提供できる体制整備を進めることを求める。

 年金については現行制度の手直しが基調で、抜本改革派からは「踏み込み不足」などの批判もあるが、社会保険方式の意義、世代間公平論や連帯のあり方、家族や雇用の変化との関連にも踏み込み、現行制度に対するさまざまな批判や疑問に答えている。年金制度自体が複雑で、わずか8カ月の議論でまとめた同会議の報告書も専門用語があって平易とは言い難いが、年金を政争の具にせず現実的な改革の実行を求める研究者らの意欲は感じられる。やはり問われているのは政治である。

②社会保障改革/全国一律から地域実践型へ
 2013年08月09日 河北新報社説

 「負担は現役世代、給付は高齢者」という年齢輪切りを転換、経済能力に応じた全世代負担型とする。政府の社会保障制度改革国民会議の最終報告書を大づかみに言えば、子ども世代へのつけ回しを減らすため、高齢者に我慢を求めるものだ。少子化で人口構成が一層いびつになる中で、遅きに失したとも言えよう。将来不安の高まる年金分野も、長期的課題として緩やかな方向性を示すにとどまっている。70~74歳の医療費引き上げなど医療と介護で改革案をいくつか盛り込んだが、膨らむ社会保障費の抑制が主眼で大胆な切り込みに欠ける。安倍政権には、高齢者に痛みを伴う施策の着実な遂行とともに、根本の制度改革に踏み込むよう指摘しておきたい。

 さて、国民会議後半の議論で、地方分権につながる項目が加わった点に注目したい。まず、病院機能の再編や幅広く診察する総合診療医などの医療体制を都道府県に担わせる案だ。高齢化といっても地域差があり、実態に合ったサービスを整えることに異論はない。

 しかし、国民皆保険制度の下、医療政策は国が一律に行っている現実がある。診療報酬の改定もそう。医師育成は国立大医学部が中心になって、人材面から地域医療を支えている。国の細かい規制や補助金システムは時として壁になる。東日本大震災で海水をかぶった病院を復旧再開させようとしても、手続きや説得に苦労したという現場の訴えは記憶に新しい。

 改革案は、消費税増税分を元手に基金を設けて病院整備やスタッフ確保に資金を出し、配慮するというが、単なるばらまきにならないか。現行の仕組みを含め、総合的に権限移譲しない限り、絵に描いた餅となろう。

 もう一つは介護保険サービスから軽度の「要支援」を外し、市町村事業に移す取り組みだ。重い要介護者の増加に歯止めをかけようと、いまは要支援の段階から予防のための体操などケアプランを作成している。

 ところが、高齢者の増加で業務量が増大し、サービス拠点の地域包括支援センター(社会福祉法人など)に負担がのしかかった。支援センターの主な役割は、町内会を通じた高齢者の健康把握、自宅訪問など。負担軽減され、自由裁量が広がって地域に目配りできるようになれば、好ましいことである。移行後はNPOやボランティア活用も見込んでおり、財政力のある自治体と弱い市町村とで、サービスにばらつきが出る恐れはある。自治体の連携、民間活用を通じ、フォローできる体制をつくってほしい。

 改革は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を念頭に置いている。退院後のリハビリ、在宅医療、介護といった地域完結型社会はまさにこれからだ。時間的余裕はあまりない。全国一律から地域主体の取り組みを実現する肉付けを急ぎたい。

(春之介のコメント)
ネット上には様々な団体・個人の意見が並んでいて壮観である。

これほど大きな議論を招くのは、やはり自分たちの生活基盤にかかる激変を避けるためだろう。

一つの報告書をもとにして、さまざまな観点から議論をすることはこの国にとって非常に重要なこと。

それが年金・医療・介護といった生活に結びついていればいるほど、切実な問題となり立場の違いがはっきりとする。

議論をしなくても書けるような結論であり、先送りとなってしまった年金以外は期限を決めて増税分を使って何とかまわしていこうという筋がみえる。

それが財務省主導なのか官邸主導なのかは分からなくとも、この国が2025年という一点のみを見つめていることに危惧を覚える。

100年安心年金プランというのがあったと言われて、ああそうかなと思いだした。

狡猾な人たちの作り出す言葉に酔ってしまい、何かに流されていくのが我々の現実である。

果たして100年後の子孫に、大きなツケを残していないだろうかという問いはない。

どのような社会を作るのか、作りたいのか、生活したいのかを語ることがあってもいい。

識者たちが頭で考える社会とは、大きく違った社会の構想もできるのが私たちなのではないだろうか。

社会は崩壊し国家は潰れても生きなければならぬことは確かであり、戦後の闇市のように狡猾に生きぬくのが日本人かもしれない。

生活の苦しさは徐々に浸透し、精神的な荒廃を招くことなり、ついには社会の体制を維持していくことが困難となる。

そんな未来図が来ないように、2025年の煽られた危機よりも日本人がどのような民族として見られたいのかということを誰もが自分に問うてみることから、新しい時代は始まることになるのだろう。


<以下参考>
社会保障制度改革国民会議 最終報告書の評価 ヒアリング団体等 PDF等

【第 4 回】平成25年2月19日
  <議題> ヒアリング・意見交換(日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会

【第 5 回】平成25年2月28日
  <議題> ヒアリング・意見交換(1)地方団体(全国知事会全国市長会、全国町村会)(2)財政制度等審議会

【第 7 回】平成25年3月27日
  <議題> 関係者を交えての議論(四病院団体協議会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人福祉施設協議会、民間介護事業推進委員会、(日本医師会))

【第 8 回】平成25年4月4日
  <議題> 関係者を交えての議論(健康保険組合連合会全国健康保険協会、国民健康保険中央会、全国後期高齢者医療広域連合協議会)

【第 9 回】平成25年4月19日
  <議題> 委員からのプレゼンテーション及び議論、関係者を交えての議論(日本医師会)

<以下引用>
自民 社会保障制度改革の報告書で議論
2013年8月6日 NHK

政府の社会保障制度改革国民会議の報告書がまとまったのを受けて、自民党の社会保障に関する会合が開かれ、出席者からは、国民に新たな負担を求める内容が盛り込まれたことについて、政府はより丁寧な説明を行うべきだなどという意見が出されました。

政府の社会保障制度改革国民会議は、超高齢社会を見据えて、消費税率の引き上げ分を財源に医療や介護の充実を図る一方、高齢者にも経済力に応じて負担を求めるなどとした報告書をまとめ、6日、安倍総理大臣に提出しました。

これを受けて自民党は社会保障に関する会合を開き、報告書の内容について議論しました。

この中で出席者からは、「報告書は所得の高い人にさらなる負担を求めているが、すでに多くの税金を納めている人たちに必要以上の負担を求めるのは理解が得られない」とか、「国民に新たな負担を求める内容が盛り込まれたことについて、政府は、より丁寧な説明を行うべきだ」といった意見が出されました。

そして会合では、政府が、国民会議の報告書を踏まえて、改革の工程表を定めた「プログラム法案」の骨子をまとめた段階で、改めて社会保障制度改革の進め方について議論することを確認しました。

<以下追加引用>
社保審 入院日数の短縮など重視を
2013年8月9日 NHK

厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会は、9日、来年度の診療報酬の改定にあたっては、病院での入院日数を短縮することや高齢者を対象に十分な在宅医療を提供することなどを重視すべきだとする基本方針の中間整理案をおおむね了承しました。

社会保障審議会の部会では、来年度の診療報酬の改定にあたっての基本方針の中間整理案が示されました。中間整理案は、先の政府の医療制度改革国民会議の報告書の内容を踏まえて、医療機関の役割分担と連携強化を進めていくべきだとしています。

そのうえで、緊急性が高い患者を受け入れている病院では、入院日数の短縮を図り、ほかの病院への転院を進めることや、高齢者を対象に、一人暮らしであっても住み慣れた地域でできるだけ長く暮らせるような十分な在宅医療の提供などを重視すべきだとしています。

出席者からは「医療保険財政の厳しい状況を踏まえ、医療費を抑制する方向性を明示すべきだ」という意見や、「転院などの結果、患者の負担を増やさない配慮が必要だ」といった指摘が出ましたが、中間整理案はおおむね了承されました。そして、年末の基本方針のとりまとめに向け、議論を進めていくことを確認しました。
by negitoromirumiru | 2013-08-12 18:25 | 福祉 | Comments(0)


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