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心肺蘇生 「心臓マッサ-ジだけ集中で」高救命率に 日本循環器学会が分析結果をまとめる

心臓マッサ-ジだけに集中で高救命率
2012年12月31日 NHK

突然心臓が止まった人に行う心肺蘇生について、人工呼吸と心臓マッサージを併用するよりも、心臓マッサージだけを行うほうが、救命率が高くなるという分析結果を、日本循環器学会がまとめました。

専門家が作った心肺蘇生のガイドラインでは、胸の真ん中を強く押して、血液の循環を維持する「心臓マッサージ」のほか、可能であれば、口から空気を吹き込む「人工呼吸」を行うことが求められています。

しかし、人工呼吸をしている間は心臓マッサージができず、血液の循環が止まることから、日本循環器学会は効果を検証するため、平成21年までの5年間に、誰かの前で倒れて心肺蘇生が行われ、さらに電気ショックで心臓の動きを元に戻すAEDが使われたケース、1376例について詳しく分析しました。
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その結果、心肺蘇生で人工呼吸と心臓マッサージが併用されたケースは63%あり、心臓マッサージだけが行われたケースは37%でした。
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しかし、1か月後に社会復帰できた人の割合は、人工呼吸と心臓マッサージが併用されたケースは33%だったのに対し、心臓マッサージだけが行われたケースは41%で、心臓マッサージだけのほうが救命率が高いことが分かりました。
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これについて、分析を行った京都大学健康科学センターの石見拓講師は、「人工呼吸を行わない、心臓マッサージだけの心肺蘇生とAEDの電気ショックという組み合わせが、最も心停止になった人を救える可能性が高い。心臓マッサージとAEDを使った措置を行う人が増えれば、救命率はもっと上がると思う」と話しています。

(春之介のコメント)
心肺蘇生法については、身近な話題であるだけに誰もが簡単にできる方法を繰り返し学ぶ必要がある。

心肺蘇生に関しては、国際的なガイドラインがあるようで、そのガイドライン2005 から2010 (2010年10月19日発表)への改訂があったようだ。

専門でないので分かりにくいが、市民向けと称していることから、専門家には別の対処法もあるのかもしれない。

この記事だが、市民向けに現行で行われている方法について、その施行結果から、従来の推奨されていた方法よりも単独で心臓マッサージを行った方が救命率が上がるという。

この結果が、国際的な基準の今後の変更にも影響を与えていくことになるかもしれない。

それにしても関連する学会や組織は、おそらく山のようにあるのだろう。

なおNHKの放送原稿で「しかし」という単語をあまり見かけないが、今回は2回も多用している。

常識が変わることになるわけではあるが、まだ国際的な標準にまでなったわけでもない。


日本循環器学会  http://www.j-circ.or.jp/

日本救急医療財団  http://www.qqzaidan.jp/

日本蘇生協議会  http://jrc.umin.ac.jp/

日本救急医学会  http://www.jaam.jp/index.htm

日本救急医学会 市民のための心肺蘇生  http://aed.jaam.jp/index.html


<以下参考> 現行、市民が行う救急蘇生法の手順
救急蘇生法(心肺蘇生法)の手順が一部変更になりました! (外部リンク)
 2012年02月01日 横浜市消防局 警防部救急課

AEDの使用方法を含む、救急蘇生法の指針2010(市民用)のとりまとめについて(通知) PDF
 医政指発1031第1号 平成23年10月31日
 厚生労働省医政局指導課長


「ガイドライン2010」に基づく心肺蘇生法


<以下追加引用>
人工呼吸、省略OK? 変わる心肺蘇生法 京都市消防局が救命講習
2015年4月4日 産経新聞

 人工呼吸は省略してもOK-。救急車の到着前に行う心肺蘇生法について、全国の消防本部が行う講習が様変わりしている。経験がない人には難しい印象が強い人工呼吸を省略することで、とっさの場合に、居合わせた人が取り組みやすい心臓マッサージなどの応急手当てを行うケースを増やそうというのが狙いだ。(永山準)

 ■胸骨圧迫が重要

 「人工呼吸をためらう場合は、やらなくていいですから」 

 京都市南区の市民防災センターで市消防局が行った市民向けの救命講習で、指導員の中根光司さん(64)がこう語りかけると、参加者約20人の中には意外そうな表情を浮かべる人もいた。

 代わりに中根さんが強調したのは「胸骨圧迫」、いわゆる心臓マッサージの重要性だ。救急車が到着するまでの間、1分当たり少なくとも100回のペースで続ける。できるだけ同じリズムで繰り返し、周囲に人がいれば助け合って交代することも勧めた。

 見た目以上に力が必要な“重労働”。それでも、講習に参加した同市伏見区の保育園職員、藤岡利也さん(39)は「人工呼吸のプレッシャーがない分、以前より取り組みやすくなっている」と感想を話した。

 ■ガイドライン

 以前は「真っ先に必要」とされていた人工呼吸が必須でなくなった背景には、国際基準の変化がある。

 現在、市民向けに教えられている心肺蘇生法の講習は、世界の最新の研究報告を分析する国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が平成17年と22年にまとめた報告書が根拠となっている。これを元に、調査研究を行う日本救急医療財団と啓発を担う日本蘇生協議会が、日本で取り組みやすい方法を考案し、23年に新たなガイドラインを策定した。

 以前のガイドラインでは、人工呼吸2回と胸骨圧迫30回を繰り返す方法を推奨していたが、23年のガイドラインでは胸骨圧迫を最優先とするよう変更。胸骨圧迫を中断して行う人工呼吸については、省略が可能になり、呼吸しやすい姿勢を保つ気道確保とともに後回しにされた。今年はILCORの報告書の改訂年に当たり、ガイドラインがさらに変化するかも注目されている。

 ■迅速な処置

 総務省消防庁によると、傷病者が倒れるのが目撃され、心肺停止が確認されたケースのうち、現場に居合わせた人が応急手当てを行った実施率は44・9%にとどまる。一方で1カ月後の生存率は、応急手当てがなかった場合に比べ約1・6倍も高まる。

 救急車が119番通報から現場に到着するまでの所要時間は平均8分30秒。この時間は年々延びており、その間、傷病者を目の前にした市民が協力し合い、心肺蘇生法を行えば、より多くの命が救われる。そのためには、心肺蘇生法の内容自体を単純にし、手順の正確さよりも迅速な処置を呼びかけることで、市民が「何もしない」という事態を避けるのが理想だ。

 京都市消防局の担当者は「救助する人の心理的な負担を軽減するためにも、人工呼吸の省略は必要だ」と指摘する。一方で「ガイドラインは人工呼吸の有効性を否定しているのではない。できるのであれば当然すべきだ」とも話しており、救急隊員が居合わせた場合は、従来と変わらず適切な方法で人工呼吸を行っているという。

<以下追加引用>
心停止?迷ってもすぐ心臓マッサージを 学会など新指針
2015年10月18日 朝日新聞

 意識や呼吸がない人を助ける心肺蘇生法の新たな指針を、救急医学の関連学会など25団体でつくる日本蘇生協議会が16日、発表した。一般の人にも救命措置を呼びかけ、倒れた人が心停止状態なのか判断に迷っても、すぐに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を始めるよう求めた。

 これまでの指針は、迷った場合の記述はなかったが、明記した。岡田和夫名誉会長は「迷う5秒、10秒のロスをなくして救命につなげたい。心臓が動いている人にしても害にはならない」と話す。

 新指針では、倒れている人を見つけたら、119番通報後、心臓マッサージを「ただちに開始する」とした。周囲に人がいれば、通報や自動体外式除細動器(AED)の手配を頼み、AEDが届いたらすぐに操作を始める。AEDを試みた後は救急隊員が到着するまで、心臓マッサージを続けるとした。AEDは心臓が動いている人に使った場合、自動的に電気ショックは不必要と判断される。

 また、119番通報した際に通信指令員に心停止の判断を相談できることや、心臓マッサージで相手の胸の骨が折れるなどしても法的な責任は基本的に問われないことを記した。

 協議会は5年ごとに指針を改定。ウェブサイト(http://jrc.umin.ac.jp/)に掲載している。(竹野内崇宏)
by negitoromirumiru | 2012-12-31 12:45 | 医療 | Comments(0)


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