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東京医科大学茨城医療センター 診療報酬不正請求、5年間保険医療機関の指定取り消し処分 地域医療に影響

大学病院が不正受給で指定取消
2012年9月21日 NHK水戸放送局

阿見町にある東京医科大学茨城医療センターが診療報酬計8千万円あまりを不正に得ていたとして、関東信越厚生局はこの医療センターの保険医療機関の指定を取り消すことを決めました。取り消されると医療費が全額自己負担になり患者への影響が大きいため、関東信越厚生局は取消処分を12月1日から発効するとしています。
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関東信越厚生局によりますと、東京医科大学茨城医療センターは、平成20年4月から21年5月までの間、退院患者のうち治癒した人などが4割を超えると診療報酬が加算される仕組みを悪用してデータを水増しして4割を超えるように見せかけるなどして報酬を請求していたということです。

これまでの監査で、センターが不正に得ていた診療報酬は、件数にして3万件余り、金額にして8284万円に上るということです。不正を重くみた関東信越厚生局は、東京医科大学茨城医療センターに対し健康保険を使って診療ができる保険医療機関の指定を取り消すことを決めました。

指定が取り消されると医療費が全額自己負担になって患者への影響が大きいため、関東信越厚生局は取消処分をことし12月1日から発効するとしています。

地域医療の中核を担う大学病院が保険医療機関の指定を取り消されるのは異例だということです。
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東京医科大学茨城医療センターの松崎靖司・病院長は県庁で会見し、「患者や関係者の信頼を裏切り、ご迷惑をおかけし申し訳ありません」と謝罪しました。

不正請求が行われた背景については「病院が赤字だったことに加え、法律を守ろうという意識に欠けチェック体制にも不備があった」と述べました。

指定が取り消される12月以降の病院経営については「地域医療を維持するため、県などと相談しながら検討していきたい」と述べました。病院では21日以降、入院患者や外来患者に対して、保険医療機関の指定が取り消されたことを掲示などで説明するとともに、問い合わせの窓口を設けて対応することにしています。

(春之介のコメント)
入院患者約400人、外来患者は一日1000人規模という大学病院の保険医療機関取り消しという極めて厳しい処分となった。

病院側もデータを偽るなど不正請求と認めているようで、誰の指示で行われたのかも問われよう。

保険適用がなくなれば、ほとんどの患者が転院を余儀なくさることになるし、救急医療や疾患の拠点病院としての機能がなくなることは地域医療に大きな不安を与えることになる。

私立医科大学でも伝統ある東京医科大学だけに、ダメージも大きい。

私立医大では、専門に特化した外来などを運営しており成果を上げている例が多く、茨城県民のみでなく影響を与えることになる。

過去にも不正があったのかも含めて大学病院側も経緯の説明をきちんとし再起をかけることしかない。

追記
東京医大茨城医療センターは、2次救急やがんなど特定疾患の診療を担う県南地域の拠点病院。県は地域医療への影響が大きいとみて、週明けから同センターなどと協議し、早期の保険医療再開へ向けた方策を検討する方針だ。

同センターの調査では、今回の不正請求の対象患者は約9600人で、患者負担分を含めた総額は約1億2千万円に上る。同センターは不正請求の事実を認め、不正受給分を返還する方針。

指定取り消しの理由として、関東信越厚生局は「故意に虚偽の請求をした点で悪質性が高いと判断した」と説明。取り消し期間の短縮については「現時点で考えていない」とし、「過去に早期に再指定を行った事例もあり、県から要望があった段階で判断する」と述べた。(茨城新聞)


という地元紙の記事もあり、茨城県が厚労省に陳情すれば、取り消しの早期再指定も可能!?である含みをもたせている。

調べてみるとかなり根の深い問題であることが分かる。

今回の措置は、以下の東京医大再生委員会の報告を踏まえての諸問題に対する行政側の意向ということだろう。

なお、東京医大は2013年度から医学部看護学科(定員80人)の設置許可申請中であり、文科省は、これら学園運営全般を含めて検討することになるかもしれない。

追記
 再指定までの期間は原則5年だが、2000年に国立療養所岩手病院(当時)が3か月で、07年には静岡県の藤枝市立総合病院が1か月で、再指定されている(岩手病院は一部診療科のみ)。県から再指定の要請を受けた場合に、厚生局が早期に再指定の判断をすることはあるが、「非常にまれなケース」という。(キャリアブレイン)

なお、厚生局の監査は3年もかかっているということで細かく調べたとも言えるし遅いとも感じる。

上記の記事ではウルトラCもありうると言えるのだが、大学法人は売却も視野に入っている!?ということらしい。

医療施設を、稼働しない状態で維持することは困難だろうし職員の雇用問題もある。


東京医科大学茨城医療センター   http://ksm.tokyo-med.ac.jp/
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関東信越厚生局  http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/
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<以下引用>
◆保険医療機関指定取り消し 東京医大医療センター長が謝罪 茨城
 2012.9.22 産経ニュース関東

 ■「地域医療の崩壊懸念」

 診療報酬約8300万円を不正に請求したとして、21日に厚生労働省関東信越厚生局から大学病院としては異例の保険医療機関の指定取り消し処分を受けた東京医大茨城医療センター(阿見町中央)。処分により、12月1日から医療費が患者の全額負担となる。地域の中核病院として501床を抱える同センター。地域医療への影響は大きく、関係機関には早急な対応が求められている。(今仲信博)

 「多大なるご迷惑をかけ、心よりおわび申し上げます」。同日午後、県庁で開かれた記者会見で、同センターの松崎靖司センター長らは深々と頭を下げた。

 同センターは、がんや肝疾患の拠点病院に指定されており、患者数は外来では1日約1千人、1カ月の入院は延べ約1万1千人。2次救急医療機関として、年間約3300台の救急車を受け入れるなど、県南地域の医療を担っている。

 松崎センター長は「懸念することは地域医療の崩壊。地域医療の維持を最優先し、県など関係機関と協議していきたい」と話した。

 同センターには現在約400人が入院しており、同日午後から職員10人態勢で不安を持つ患者らへの対応に当たっている。

 東京医科大は都内にも大学病院を持つが、松崎センター長は「施設に来ている人は地域の人。都内に行ってくれというのは難しい。近隣の病院にお願いしなければならない状況も、念頭に置かなければならない」。ただ、今後については県と調整していくと繰り返し、具体策は示されなかった。

 県保健福祉部の森戸久雄次長は、「これまでにない事例で深刻。県の医療の停滞になる」と強調。その上で「今後、医療がどのような形で確保できるのか、対応について検討を進めていきたい」と述べた。

◆東京医大茨城医療センター、指定取り消しへ- 保険医療機関、大学病院では異例
 2012年09月20日 キャリアブレイン

 関東信越厚生局が、東京医科大茨城医療センター(茨城県阿見町、501床)を保険医療機関の指定取り消し処分にする方向で調整を進めていることが20日、キャリアブレインの取材で分かった。週明けにも正式発表するとみられる。同センターでは、診療報酬を不正に請求していたことが2009年に発覚しており、同大本部では「(これを受けて)行政の調査を受けていたのは事実」と話している。厚生労働省によると、大学病院が保険医療機関の指定取り消し処分を受けたケースは、確認できる範囲では前例がない。

東京医科大茨城医療センター(茨城県阿見町)  複数の関係者によると、19日に開かれた「関東信越地方社会保険医療協議会」の総会で、同センターへの処分を審議した。同厚生局が、同協議会の意見を踏まえて最終判断する。保険医療機関の指定を取り消されると診療報酬を請求できなくなり、原則5年間は再指定されない。

 問題になっているのは、08年4月から09年5月ごろにわたる診療報酬の不正請求。「医師事務作業補助体制加算」や「入院時医学管理加算」など3つの加算を、要件を満たさないのに請求したというもので、同センターでは同年7月、不正請求額を約1億1870万円と発表した。

 「医師事務作業補助体制加算」では、医師の指示で事務を行う職員は「専従」が算定要件だが、申請した7人はいずれも専従ではなかった。「入院時医学管理加算」については、治癒したかどうか分からない退院患者についても「治癒」と数え、算定要件である治癒患者の割合を大幅に水増ししていた。

 同センターは09年4月、霞ヶ浦病院から名称を変更。現在では、地域がん診療連携拠点病院、肝疾患診療連携拠点病院などに指定されている。

<以下参考引用>
学校法人東京医科大学 再生プロジェクトチーム委員会報告書  PDF
 平成23年3月29日

 1 学長長期不在問題について
 2 学位審査に係る金品授受問題について
 3 公的研究費の不適切使用問題について
 4 茨城医療センターにおける診療報酬の不正請求問題について
 5 八王子医療センターにおける生体肝移植問題について

4 茨城医療センターにおける診療報酬の不正請求問題について

 (1) 問題の所在
  本問題は,平成 20 年度中に行った茨城医療センターの診療報酬請求のうち,3種類の診療報酬加算の届出が,いずれもその加算要件を満たしていないことが判明したというものである。その背景には,医療収入増加に向けた同センター長の意向が強く働いたものとされている。

 (2) 改善策
  ① 診療報酬請求管理の強化
  従来,診療報酬に関する事項の確認と検証は,担当部署内のみで行っていたが,その後は,「医療保険対策委員会」を設置し,同委員会において客観的に確認・検証することとした。

  ② 医療保険制度への具体的理解の強化
  医療保険制度全般に対する職員の知識を涵養するため,保険の基礎から本件診療報酬加算の根拠となった診断群分類包括評価(「DPC」)適応疾患に至るまでを解説した小冊子を制作・配布し,その教育の徹底を図った。また,診療報酬の改定が行われる3月には専門家を招いて,その改訂内容の講義を受けることとした。

  ③ 法人による管理体制の強化
  本件の背景として,センター長による独断専行が指摘されたことに鑑み,その相互のチェック体制を強化するため,3 病院長会議を設置し,これを毎月 1 回開催することを通じ,日常的に相互牽制を行うこととした。

  また,平成22年7月1日付け寄附行為の改正をもって,3 病院長を本来の業務を持ったまま病院を代表する職責理事とすることとし,これによって病院長の本学の経営全般に対する責任を明確にし,その説明責任を尽くさせることとした。

 (3) 検証
  本問題は,同センター長の個人的色彩が強いとされているが,これを十分チェックできなかったことは,法人全体のガバナンス上の問題であり,引き続きその強化を図る必要がある。


東京医科大学をめぐる諸問題の調査検討結果の報告及び提言  PDF
 平成22年7月13日 東京医科大学第三者委員会

東京医科大学  http://www.tokyo-med.ac.jp/
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<以下追加引用>
保険取り消しで3首長 知事に期間短縮要望へ
2012年9月25日 埼玉新聞

診療報酬の不正請求により東京医科大茨城医療センター(阿見町中央)が12月から保険医療機関の指定を取り消される問題で、稲敷市、阿見町、美浦村の首長が橋本昌知事に対し、取り消し期間の短縮を国へ働き掛けるよう要望することが24日、分かった。3市町村長は27日、橋本知事を訪ねる予定だ。

茨城新聞の取材に対し、阿見町の天田富司男町長が明らかにした。

天田町長は「処分は誠に遺憾だが、患者のために一日も早い指定取り消し処分の解除を、地元自治体としてお願いしたい」と話している。

3市町村は同センターを事務局とする「稲敷地域医療連絡協議会」を構成、地域医療ネットワークづくりに取り組んでいる。同センターの松崎靖司病院長は24日、同町役場を訪れ、天田町長に今回の処分を受けたことについて謝罪した。
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<以下追加引用>
非保険指定でも保険者が給付する制度適用か- 茨城医療センター対策会議初会合で県が提案
2012年09月27日 キャリアブレイン

 東京医科大茨城医療センター(阿見町、501床)の保険医療機関の指定取り消しが周辺住民に及ぼす影響を最小限にとどめるため、茨城県は27日、「関係市町村等対策会議」の初会合を開いた。県側は近隣市町村の担当者らに対し、保険医療機関以外で受診した分の医療費を例外的に保険者が給付する「療養費払い制度」の適用を提案した。

 同制度は、海外旅行中などに急病を患った被保険者が、費用を全額負担して受診した場合などに限り、受診を証明する領収書などを保険者に後日提示して、自己負担分を除く額の給付を受けるもの。保険者らが制度の適用を認めれば、指定が取り消されてから同センターを受診した患者の自己負担増を防ぐことができる

 ただ、制度の適用が認められれば、保険医療機関を指定する意味が失われかねない。県側はこうした懸念から、制度の対象にする患者を限定すべきだとして、病院を変えるのが難しい地元の透析患者や、救急で運ばれた患者などに限る案を示した。

 初会合には、同センター近隣の10市町村のほか、県の後期高齢者医療広域連合、国民健康保険団体連合会などから担当者が集まった。対策会議は数回会合を開き、10月中に制度適用の是非を決める方針だ。

<以下追加引用>
茨城医療センター、来月以降の診療方針公表- 救急やがん患者など対象
2012年11月09日 キャリアブレイン

 診療報酬を不正に請求したため、保険医療機関としての指定が12月1日付で取り消されることが決まっている東京医科大茨城医療センター(阿見町、501床)は8日、指定取り消し以降も診療対象とする患者の基準を公表した。重症度や緊急度、地域性を考慮し、診療を継続する患者は、救急、がん、肝疾患、難病疾患の患者などに限定した。

 患者基準について、外来では、▽救急受診の患者▽透析患者▽周産期患者▽他医療機関からの紹介患者▽がん、肝疾患、糖尿病、心疾患患者▽特定疾患の患者―など、入院では、▽12月以前に入院していて、転院搬送により病状が悪化すると思われる患者▽周辺医療圏の病院が受け入れ困難な患者▽周産期患者▽他医療機関からの紹介患者―などとしている。

 同センターは、松﨑靖司病院長名で、「12月1日以降の診療体制」として、指定取り消し後に診療対象となる患者の基準を公開している。ホームページ上で確認することができる。

<以下追加引用>
茨城医療Cあす指定取消し
2012年11月30日 NHK水戸放送局

診療報酬を不正に受給したとして、保険医療機関の指定を取り消される茨城県阿見町にある東京医科大学茨城医療センターで30日、職員が参加して12月1日からの患者などへの対応について確認するリハーサルが行われました。

東京医科大学茨城医療センターは8200万円余りの診療報酬を不正に受給したとして、12月1日から保険医療機関の指定を取り消されます。

1日から患者はセンターを受診した際に医療保険が使えなくなり、原則として費用が全額自己負担になることから、30日は窓口業務が終わった午後5時過ぎから150人の職員が参加して患者への対応について手続きを確認するリハーサルが行われました。
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医療センターでは1日からはできるかぎり他の医療機関を受診するよう呼びかけていますが、人工透析を受けている患者やがんや心臓病など医療センター以外での治療が難しい患者、それに救急患者は受け入れることにしています。
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このためリハーサルでは1日以降訪れる患者への対応や医療費の負担を従来通りにするために必要な書類の記入の仕方などを確かめていました。

松崎靖司センター長は「処分をしんしに受け止めている。患者さんに少しでも迷惑がかからないように対応していきたい」と話していました。医療センターは1日も午前8時半から通常通り診療を続けることにしています。

<以下引用>
重大ニュース・茨城医療センター指定取消- 「茨城モデル」、監査行政の潮目となるか
2012年12月26日 キャリアブレイン

 大学病院の保険医療機関指定取り消し-。東京医科大茨城医療センター(阿見町、501床)のニュースは、前例のない事件として医療関係者に衝撃を与えた。9月20日に明らかになった指定取り消し処分の現実は、12月1日の取り消し日、それ以降の限定した診療など、今も続いている。「患者の混乱なく処理でき、『茨城モデル』が確立されれば、厚生局は、今まで力が強すぎて抜けなかった『伝家の宝刀』が抜けるようになるのではないか」。保険医療機関の事案に詳しい弁護士の井上清成氏は、今回の処分を、厚生局による監査行政の潮目になると見ている。【大島迪子】

■持久戦に入ったセンターと保険者-処分発表から指定取り消しまで

 「その後の影響が大きいから処分できない、ということではない。健康保険法に照らし合わせて判断した」

 関東信越厚生局茨城事務所の手島正行所長は9月21日、2年以上に渡る監査の後に下した処分について、記者会見でこう述べた。取り消し日に向けて残された時間は2か月と1週間。処分を受けたセンターや関係者は、この日から対応を迫られた。

 「対応」といっても、500床規模の地域中核病院に関しては、前例がほとんどない中での模索。県はまず、患者への対応を急いだ。患者が医療費の10割を負担することになるのを避けるため、保険者が保険者負担分を通常通り支払う「療養費受領委任払い制度」を保険者に要請。取り消し日までに市町村国保、共済組合、協会けんぽがこれを了承した。

 残るのは、大企業が加入する健康保険組合との調整。センターによると、12月下旬の時点では、窓口の健康保険組合連合会(健保連)から大筋で了解を得て、今後個別の健保組合と対象患者などを決めるという。転院促進や入院抑制を進めた結果、入院患者は病床数の4割となる200人程度となり、このまま年越しとなる。早期再指定に向けた動きとしては、「県の指示を受けながら、診療科ごとの地域にとっての必要性を示すものなど、再指定の申請書類を準備している」(センター広報)。具体的な厚生局へのアピールはまだできていない。

■見えてきた「茨城モデル」-厚生局の裁量権拡大となるか

 「指定取り消しの期間、病院は赤字を垂れ流すことになる。これは、法律外の課徴金を課すのと同じ。厚生局は病院がつぶれない程度にけじめを付けさせ、再指定の時期を決めることができる」-。

 井上氏は、厚生局の考え方をこう説明する。療養費受領委任払い制度の運用や厚生労働省への陳情では、県、県医師会、市町村が連携してきた。

 「これで患者さんに実害が及ばず、病院が誠意を見せ、つぶさないタイミングで再指定となれば、みんなよく頑張ったということになり、みんながハッピーだ」(同氏)。

 厚生局の指定取り消しが地域関係者の連携を生み、病院には不正請求のけじめをつけてもらい、つぶれない程度の期間で再指定。このような「茨城モデル」が確立されれば、今後、他の病院で指定取り消しになった際にも、「お手本」となる。厚生局も指定取り消しがしやすくなる。「厚生局は悪役にならずに済む」と井上氏は強調する。

 さらに、実例を重ねることで、「不正の悪質性や、病院の経済的体力を勘案し、再指定までの期間を微調整することができる」と井上氏。保険者の療養費受領委任払いも、「変な運用ではあるが、保険者にとってどうせ(患者が他の医療機関に行けば)払うもの。実質的にはプラマイゼロ」。指定取り消し後も譲渡せず、再指定を目指す病院の「茨城モデル」の実現性は高いと見る。

■伝家の宝刀を抜いた背景-井上氏の深読み

 12月3日には、東海北陸厚生局が、「岡崎三田病院」(愛知県岡崎市、222床)と「はまなこ病院」(浜松市、116床)の指定取り消し処分を発表。運営する医療法人豊岡会(愛知県豊橋市)は譲渡の方針を発表した。井上氏は、「もしこの譲渡が、妙な噂が立つことなく、クリーンなイメージで行うことが出来れば『譲渡モデル』もできる」。厚生局が責めを負わない形で決着するか、成り行きに注目する。

 茨城医療センター、豊岡会の2病院と、大型の指定取り消し処分が続いたことに、何か背景はあるのだろうか。井上氏は、「社会保険庁解体と、それに伴う(08年10月の)厚生局への指導監査業務の移管が転換期ではないか」と読む。「社会保険庁の汚名を払拭をするには、やはり診療所よりもニュース性の高い病院。病院には時間がかかる、となれば、08年ごろに手を着けた案件が、今の時期に出てくることは考えられる」。弁護士業務の中でも、指定取り消し案件が増えている感触があるという。

 茨城医療センターの指定取り消しを発端に、厚生局の裁量性が高まる動きを、井上氏は「法律家としては、法律の拡大解釈と言わざるを得ない。もし、省令や要綱などで定められたとしても、私は、行政処分を増やす流れは好ましくないと思う」と述べる。

 代わりに、長期的に目指す方向は、「権力によって規制するのではなく、保険医療機関としての自浄作用での解決ではないか」とアイデアを披露する井上氏。「診療報酬を上げるのは一致団結し、もらったパイの分け方では不正を見逃しているのはおかしい」(同氏)。不正請求の責任は、保険医療を担う医療界にもあると、井上氏は考える。

 「かつていくつかの医療事故がその後何年か大きな影響を与えたように、この件もそうなるだろう」(同氏)。大きな潮流がどこへ向かうのか。来年は、よりはっきりと道筋が見える年になりそうだ。


<以下追加引用> 再指定に
東京医大茨城医療センター 3/1から保険医療機関に再指定 取消期間は原則5年だが今回は3か月間に!
by negitoromirumiru | 2012-09-22 10:07 | 医療 | Comments(0)


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