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*骨まで愛CDって♬*10 チェリビダッケのブルックナー全集 廉価CDボックスセット時代の夜明け

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チェリビダッケ・エディションVol.2 ブルックナー・チクルス
CD (1998/8/26)
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Bruckner: Symphonies 3-9, Te Deum, Mass in F Minor [Box Set]
CD (2011/10/24)

(春之介のコメント)
今回は、チェリビダッケの演奏についてではなく、昨今のクラシックCDボックス廉価販売についての述懐ということで一言書いておく。

普段、金欠生活なのでフルプライスCDを買うことは滅多にない。

狙い目は、中古CDとナクソスなどの価格の安いCDとなってきた。

ところが最近のCDボックス廉価販売で様相も一変としている。

事情をご存知の方はお分かりと思うが、チェリビダッケは生前は録音を拒否し、EMIやDGから正規盤が出ることを大いに期待し喜んだものだ。

海賊盤は、それこそ出回っていたが、正規盤ならば音質が格段に良いだろうという思い込みがあったと思う。

そして、ベートーヴェンの交響曲を中心としてボックスセットに続いて、満を持してブルックナーの交響曲シリーズが発売された。

それも限定6000セットで日本盤では特典として第9番の別テイク・リハーサル風景CDがついていた。

別テイクとは、本セットにはもともと第9番のリハーサルが収められているからだ。

そしてLPサイズの紙ボックスと、当時としては話題性のあるものだが、高価な買い物となった。

むろん後日、分売されることになるだろうことは分かってはいても、別テイク・リハーサルCDは喉から手が出るほどほしい。

チェリビダッケが、どのように音楽作りをしていたのかを知りたいとファンならば思うことだろう。

そして購入してみたが、いくつか残念な思いがあった。

それはLPサイズの紙ボックスの収納に困るったことと取り出しにくい構造になっていること。

大型別冊解説もLPサイズの二段組み活字で、中身の割にはかさばるものだ。

ところで、事態が一変したのは、遠因としてEMIの業績不振が波及してきた近年の動きにある。

ボックスセットの動きは、新興メーカーが歴史的録音をボックスCDとして廉価で売り出したことに始まる。

まさか大手メーカーが、その市場にも打って出てくるとは思わなかった。

背景には、インターネットの普及やアップルの音楽配信事業が軌道に乗ってしまったことにあるだろう。

簡単にダウンロードできてしまい携帯に便利なプレーヤーの爆発的な普及に、音楽の聴き方が激変した。

それが周りにまわってクラシックCDにも及んできたということだろう。

加えてCD製造コストの低下や、高音質CDの普及もあり、過去の遺産を擁する大手メーカーは、廉価CDボックス製造に着手したということだろう。

EMIは、身売りするほどの業績不振となってしまい、テンシュテットやチェリビダッケという人気指揮者の録音を惜しげもなくボックスセットにしてしまった。

このチェリビダッケのブルックナー・チクルスと、同じ内容のボックスを発売したが、その価格は、日本盤の発売であった1998年に比べて、2011年(海外輸入盤)では何と12%しかしない。

せめて半額程度ならばと思いつつも、大きく値下がりして販売されることになった。

私も、必要ないけれど海外輸入盤を購入してしまった。

確かに日本語解説や特典CDはないにしても、この値下がりが、何かチェリビダッケの芸術をけなすように感じしまった。

音楽CDを有難いと思っていた時代もあったが、今では何か録音データという感じで味気ない思いがする。

いずれCDも姿を消し、クラウド収納されてしまうのかもしれないが、形のないものはさびしい感じがする。
by negitoromirumiru | 2012-09-10 11:42 | 音楽 | Comments(0)


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