県内介護施設、7割が法違反
2012年3月3日 中日新聞岐阜版
2011年に岐阜労働局が調査をした介護施設66施設のうち、7割に当たる45施設で、従業員への割増賃金の不払いなどの労働基準法違反があった。労働局は「介護職員が我慢してサービス残業などを行い、経営が厳しい施設がそれに甘える構図がある」と指摘している。
労働局は県内に約2000施設ある訪問介護やショートステイ、デイサービスなどから、過去に違反をしていた事業所など66施設を選んで調査を実施。68・2%の施設で違反があり、全業種の平均の違反率64・5%をやや上回った。
主な違反の内訳は、割増賃金の不払いが24件(36・3%)で最多。労使協定を結んでいない違法な時間外労働が15件(22・7%)、労働条件が書面で提示されていないことが14件(21・2%)、就業規則の未整備が13件(19・7%)と続いた。
割増賃金の不払いでは、労働時間を従業員に過少申告させたり、介護報酬の対象とならない訪問介護の移動やミーティングを労働時間から除いたりして、残業にならないようにしていた。
ある訪問介護の事業者は、複数の施設で従業員に労働時間を過少申告させ、96人分の残業代1548万円の不払いを指摘されて全額を支払った。
書面で雇用契約を結ばずに賃金などの条件を口頭で伝え、実際にはそれより低い賃金を支払っていた例もあった。是正指導には、ほぼすべての施設が応じたという。(石井宏樹)
(春之介のコメント)
記事によると過去に違反したことのある事業所などを対象ということで、この数字は高めなのかもしれない。
厚生労働省は、福祉行政と労働行政が統合されたので、本来は省内で検討すべき事項であると思う。
つまり基準法を守ると経営できない実態があるということだ。
本来であれば厳しい基準で行うべきものとしても、福祉業界は介護報酬など定められたものしか入らない。
不正を行っていない事業所であれば収益が出るかでないところにある。
あくまでも低賃金に働くように国からされているわけであり、そのしわ寄せが事業所に、そして職員にのしかかるということだ。
ただ不当に労働者を搾取するような事業所は例外である。
介護職員は、当然に労働者の権利を知り行使することは必要である。