人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人工呼吸器を装着した脊髄性筋萎縮症の女子児童が普通学級(小学校)へ 名古屋市で初めて

名古屋の難病女児、普通学級就学 両親が喜びの会見
2012年2月1日 中日新聞

「教室の活気エネルギーに」

 全身の筋肉が衰えていく脊髄性筋萎縮症のため、人工呼吸器を装着している名古屋市瑞穂区の林京香ちゃん(6つ)が市立小学校の普通学級への就学が決まったのを受け、京香ちゃんと、両親の智宏さん(36)、有香さん(36)が31日、市役所で記者会見し、あらためて喜びを語った。

 智宏さんによると、28日に就学通知が届き「(夫婦で)涙を流して抱き合った」という。名古屋市で人工呼吸器を装着した児童が普通学級へ進むのは初めてで「重い障害があっても可能性を信じて進んでいくことが大事。他の障害児の就学にも道が開けてほしい」と述べた。

 有香さんは「教室の光や音、同じ世代の子供たちの活気がエネルギーになる」と期待した。

 京香ちゃんは4月から地元の小学校に通う。河村たかし市長は30日の定例記者会見で、エレベーター設置など校内の改修や、医療的ケアを行う介助員を配置する新年度予算案を認めたことを明かした。

 林さん親子を支援してきた「名古屋『障害児・者』生活と教育を考える会」の川本道代代表は「今後、教育現場ではインクルーシブ(共に学ぶ)教育が主流になっていく。名古屋市の決定は医療的ケアが必要なすべての子供たちに希望になる」と話した。(酒井和人)
人工呼吸器を装着した脊髄性筋萎縮症の女子児童が普通学級(小学校)へ 名古屋市で初めて_e0151275_8401171.jpg

就学通知を手に喜びを語る林さん親子=名古屋市役所で

(春之介のコメント)
相当な困難もあろうが、子どもの将来のためにとの両親の決断と支援者や教育委員会の理解の賜物だろう。

教育的な効果という点で、普通学級で学ぶことは重要。


「障害児・者」生活と教育を考える会 愛知

はるこい広場  (同会ブログ)

SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会 http://www.sma.gr.jp/schoolcare2.htm

<以下引用>
難病少女:人工呼吸器装着の6歳、普通学級へ 名古屋市教委、初の決定
2012年1月28日 毎日新聞愛知版

 ◇両親「自立に道」

 難病のため人工呼吸器をつけた名古屋市瑞穂区の林京香ちゃん(6)が、4月に地元小学校の普通学級に入学する。京香ちゃんと両親の要望を受け、市教委が認めた。人工呼吸器装着の児童の普通学級通学は同市初のケースという。家族は「心の自立に向け、新たな道が開けた」と喜んでいる。【安達一正】

 京香ちゃんは全身の筋肉が衰えていく脊髄(せきずい)性筋萎縮症で、主に指と目の動きで意思を伝える。食事はチューブで胃に流動食を送り、介助者による痰(たん)の吸引も必要だ。

 市内の児童福祉施設に通うが、小学校入学を控えた昨年、父智宏さん(36)と母有香さん(36)が「学校生活を通して地域に根ざし、友達を増やしたい」と地元の堀田小の普通学級への入学を希望。市教委や学校と話し合いを重ねてきた。

 両親によると、27日に入学決定の知らせを聞いた京香ちゃんは、口元を緩めて笑顔で喜んだ。

 智宏さんは「市教委など関係者に親身に考えていただき、他の子どもと同じ環境に立てる。今後も通学例が増え、障害のある子どもの可能性が広がってほしい」と話す。

 両親は学校生活に向け、京香ちゃんが電子機器の文字入力機能などを使うなどして会話ができる方法も検討したいという。

 自立を目指すため、京香ちゃんが学校に慣れれば校内では付き添わず、看護師を配置するよう市教委に求めている。市教委も「予算の確保に努めたい」と配置に前向きだ。

 入学決定について、市教委指導室は「保護者の強い希望や、昨年成立した改正障害者基本法の趣旨を踏まえて判断した」としている。同法は国と地方自治体に対し、障害者と健常者が「可能な限り共に教育を受けられるよう配慮しつつ、必要な施策を講じなければならない」と定めている。

<以下追加引用>
【社説】障害児教育 入学前により分けるな
2012年7月12日 中日新聞・東京新聞

 どんな障害児でも望めば地域の学校で学べるようになるのだろうか。中央教育審議会の特別委員会は及び腰の結論を出した。障害のある人とない人が支え合う共生社会実現までの道のりはまだ遠い。

 全身の筋肉が衰えていく脊髄性筋萎縮症と診断され、人工呼吸器が手放せない名古屋市内の林京香ちゃん(7つ)がこの四月、地元の市立堀田小学校に上がった。

 話すことはかなわないが、目や指を動かしてコミュニケーションを取る。体を横たえられるストレッチャー型車いすを使い、三十四人の普通学級で障害のない子たちと学び、遊ぶ。

 給食をミキサーにかけてチューブで取ったり、たんを吸引したりと医療的ケアが欠かせない。校舎にはスロープが造られ、看護師がついた。障害のある子とない子が共に育つ環境こそ自然だ。互いの違いを認め合う力が養われる。

 周りの子の勉強の邪魔になるという批判は、むしろ障害児教育の改革の芽生えととらえたい。父の智宏さん(37)は「障害児の可能性が広がってほしい」と話す。

 とりわけ重い障害のある子は地域の小中学校に通いたいと思っても、市町村教育委員会や学校の多くは難色を示す。入学前の健康診断で、学校教育法施行令で定める障害の種類と程度に当てはまった子は、原則として特別支援学校に行く決まりだからだ。

 障害のない子とは違って地元の学校への就学通知は届かない。京香ちゃんの両親のように粘り強く直訴するしか手だてはない。

 五年前、日本は障害児と健常児の分け隔てのないインクルーシブ(包容する)教育をうたった障害者権利条約に署名した。今は批准に向けて法整備の途上にある。

 だが、障害児教育の在り方を検討してきた中教審の特別委は六月、実質的に今までの仕組みを続けるとの報告をまとめた。一定の障害のある子を事前により分け、市町村教委が学校を決める形だ。人々は障害とどう向き合うのかといった根源的議論は欠けていた。

 障害児を入り口で引き離して別扱いするのは条約の精神に照らして差別と言うほかない。障害の有無によらず、まず全ての子に地域の学校への就学通知を届け、望めば特別支援学校を選ぶ。

 そうやって従来の原則と例外をひっくり返さない限り、条約の批准はままなるまい。インクルーシブ教育には人手と金がかかる。しかし、それよりも大切なのはそこに携わる人々の意識改革だ。


<以下追加引用>
<不安に踊る>(3) 思いやりなき本音
2013年7月18日 中日新聞

 ある女の子をめぐるインターネットの掲示板が今月、また新しくなった。書き込みは千回ごとに一枚更新され、これで三十六枚目になる。

 女の子は、生まれつき全身の筋肉が萎縮する難病を患う「京ちゃん」こと名古屋市瑞穂区の林京香さん(8つ)。同市では初めて人工呼吸器を付けながら健常児と同じ公立小学校に通っている二年生だ。

 掲示板は頑張り屋の京ちゃんや父智宏さん(38)、母有香さん(37)を励ますため、ではない。「親の自己満足」「普通の子ごっこをしたいだけ」。並ぶのは三人への罵詈(ばり)雑言だ。

 掲示板ができたのは東日本大震災から半年が過ぎた二〇一一年十月。両親が京ちゃんの普通学級進学を河村たかし名古屋市長に要望したニュースが新聞、テレビで報じられたのがきっかけだった。

 書き込みは、すべて匿名で、文面から察するに障害児の親といった境遇が似通った人たちでもない。

 母有香さんは「いったい、どんな人がと思うと怖い。心が疲れちゃって、夫婦同士で、ささいなことでケンカになることも増えた」と打ち明ける。

 他者への思慮にかけた暴言の類いは昔からあった。が、東北大文学部教授(社会心理学)の大渕憲一さんは「ネットの普及によって表現形態が変化しているのでは」と話す。本来は隠すべき、恨みや憎しみ、ねたみといった負の感情が、反撃の恐れがないネットという手段で容易かつストレートに表出されるというわけだ。

 「みんな将来のこととか不満がたまってんだろうね。芸人から政治家まで、他人のことなんかお構い無しで、刺激的なことを言ってスカッとしようというくさい芸風が日本中にはびこってる」

 こう語るのは名古屋市中区の大須演芸場で長年、話芸のプロを見つめてきた席亭の足立秀夫さん(79)だ。

 例えば、お茶の間で人気を集める芸能人の「ぶっちゃけトーク」。相手の気持ちを考えず、きつい言葉をぶつけることが「本音」だとしてもてはやされる。

 橋下徹大阪市長が五月に従軍慰安婦について「当時(戦時中)は、必要だった」などと語った発言もそう。女性への差別発言などとして、世論の反発を招いたが、一部では「よくぞ本音を言った」とたたえる声も。そういえば、京ちゃんを中傷するあの掲示板には「橋下さんが市長なら普通学級への入学を許可しないはずだ」との書き込みが…。

 足立さんは二十年以上前、「天才漫才師」と呼ばれた故・横山やすしさんが若手芸人をしかる場面に居合わせたことがある。厳しすぎると心配したが、横山さんはこう言った。「あのくらいなら大丈夫やって、ワシかて計算してまっせ」

 「芸のある人は相手のことを考えて、言葉を使う。毒舌が売りだった、あのやっさんだって…」と足立さん。本音とは決して感情をむき出しにすることではない。

 京ちゃんの母有香さんは先日、体育の授業を見学して胸が熱くなった。ドッジボールで外野を務めた京ちゃん。同級生たちはボールが当たりそうになると前に立って守り、京ちゃんが厚紙に傾斜を付けてボールを転がす姿を「かっこいい」とほめてくれた。

 感情をむき出しにしがちな子供たちだって相手を思いやるすべは知っている。さて、手本となるべき大人たちは…。とがった言葉が飛び交うこの国で、参院選の舌戦が最終盤を迎えている。
by negitoromirumiru | 2012-02-06 08:40 | 医療 | Comments(0)


<< 精神保健行政の担当部局変更を-... 〈児童虐待〉初期段階から関係機... >>