介護士志望、減少続く 養成校の定員割れ最悪…富山
2011年12月7日 読売新聞
今年度 充足率6割
富山県内の今年度の介護福祉士養成校の定員充足率は6割で、統計を取り始めた2002年度以降、最低となったことが、県のまとめでわかった。
低賃金と労働環境の厳しさが背景にあり、高齢化が急速に進む中、深刻な人手不足に陥ることが懸念されている。県は、小中高校生ら若い世代に福祉と介護の重要性をアピールし、人材の掘り起こしを図る。
養成校は、富山短大、富山福祉短大、富山医療福祉専門学校、北陸ビジネス福祉専門学校の4校。今年度の定員計190人に対し、入学したのはちょうど6割の114人。入学希望者の減少や少子化に伴い、定員を03年度の250人から60人減らしたにもかかわらず、同年度の255人をピークに定員割れが続いている。
介護現場の人材不足は深刻だ。富山労働局によると、10月の介護関連業種の有効求人倍率は、2・16倍。同月の全業種の有効求人倍率0・88倍(季節調整値)と比べても、「売り手市場」は一目瞭然だ。県厚生企画課によると、08年秋のリーマン・ショック後、失業者や求職者が介護職を志向する傾向があったが、景気の持ち直しなどで再び、製造業などに人材が流れているという。
県内のある福祉団体は「仕事がきついのに給料が安い。それが敬遠される理由ではないか」と話す。厚生労働省の10年調査で、職種別の月給は、男性の福祉施設介護員が23万円で、男性の全職種の平均36万円を10万円以上下回った。女性も20万円で、女性の全職種平均より4万円少なかった。
職員の定着も課題だ。県健康・福祉人材センターの調査によると、10年度、体調不良などを理由に介護職を離職した人(2209人)のうち、勤続3年未満の正社員・非正規社員は59・2%(1308人)に上った。
県は、高校生らに老人ホームやデイサービスセンターなどで介護体験をさせる事業を行っており、今後も継続していく方針。また、勤続3年未満の職員の定着支援策の検討に入るとともに、給与水準の引き上げを国に要望していく。
県介護福祉士会の田中雅子会長は「介護はやりがいのある仕事。やる気がある人たちを支援したり、学生が介護に触れる機会を増やしたりすることが重要だ」と話している。
(春之介のコメント)
全国的な傾向であろうが、介護福祉士養成校の人気が低迷している。
繰り返して低賃金を報道され、加えて3K職場ということで敬遠されているのだろう。
厚労省は、来年度からの介護報酬アップを決めたようで多少は改善するだろう。
なお、大学や短大の定員割れも常態化しており、学生の奪い合いという構図もある。