人気ブログランキング | 話題のタグを見る

欧州合同原子核研究機関実験で「光より速いニュートリノ」計測 測定誤差の可能性も含めて精査・検証を

「ニュートリノ」光よりも速い? 相対性理論覆す測定結果
2011年9月24日 中日新聞

 物質を構成する最小単位の素粒子「ニュートリノ」が光よりも速く動いたとする測定結果を、名古屋大大学院理学研究科の中村光広准教授らの参加する国際研究グループが23日、発表した。

 光速を超える物がないことを柱とするアインシュタインの相対性理論と矛盾する結果。測定の正しさが証明されれば、現代物理学は根幹から覆る可能性がある。グループの研究者らは「安易に結論づけられない」として世界の研究機関での検証を呼びかけている。
欧州合同原子核研究機関実験で「光より速いニュートリノ」計測 測定誤差の可能性も含めて精査・検証を_e0151275_630754.jpg

 グループはセルン研究所(スイス・フランス国境)の加速器で人工的につくったニュートリノを、同研究所から発射し、730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所でとらえる実験を3年間で1万6千回繰り返して分析した。
 その結果、ニュートリノは、秒速30万キロの光よりも1億分の6秒速く両研究所間を進んでいた。グループは「間違いがあるのではないか」と、結果の検証を繰り返したが、誤りは見つからなかった。

 グループに参加する中村准教授や名大教養教育院の小松雅宏准教授は「科学界にとって衝撃的な結果。なぜこのような結果になったのか、理論的な説明がつかない。ほかの機関で、今回の観測結果が正しいのかどうか、精査してほしい」と話している。研究結果は26日に名大で開かれるセミナーで報告される。

 ■高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授…にわかには信じがたい結果。さらに検証をしてもらうしかない。
 ■東京大素粒子物理国際研究センターの山下了准教授…相対性理論が絶対なわけではなく、こういう研究は重要だ。今後、さらに実験データを慎重に検証することが必要だが、もし結果が正しいなら、タイムマシンで過去に戻れることになる。

(春之介のコメント)
こうした科学記事を、どのように読者に伝えるかが科学部記者の腕の見せ所だろう。

福島第一原発事故で明らかになったことは、放射線に対する知識がない記者が原子力災害においては正確な報道を行えなかったということである。

一番日本人が情報を信頼するNHKにおいても、原子力の専門といえる解説委員は1~2名、また、科学部記者も多いとは言えないだろう。

そう言えば、ノーベル化学賞の授賞対象となった「鈴木カップリング」の説明ができずに、鈴木名誉教授が呆れている図がテレビで流れました。

記者が理解できていないことを、読者が理解できるはずもなく、専門家のことばの引用さえ的を得ているのかも定かでないかもしれないということ・・・これが、科学立国・日本の現状ですね。

今回のニュートリノの速度観測が、物理学の基本たる相対性理論を覆す実験結果であることからも第一級の内容であるはずです。

それを、どのような切り口で見せるのかということが読者の関心を惹くことになるでしょう。


<以下引用>
◆光速超えるニュートリノ 「タイムマシン可能に」 専門家ら驚き「検証を」
 2011.9.24 産経新聞

 名古屋大などの国際研究グループが23日発表した、ニュートリノが光よりも速いという実験結果。光よりも速い物体が存在することになれば、アインシュタインの相対性理論で実現不可能とされた“タイムマシン”も可能になるかもしれない。これまでの物理学の常識を超えた結果に、専門家からは驚きとともに、徹底した検証を求める声があがっている。

 ■概念変わる?

 「現代の理論物理がよって立つアインシュタインの理論を覆す大変な結果だ。本当ならタイムマシンも可能になる」と東大の村山斉・数物連携宇宙研究機構長は驚きを隠さない。

 アインシュタインの特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。

 光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。

 それだけに、村山氏は「結果が正しいかどうか、別の検証実験が不可欠だ。実験は遠く離れた2地点の間でニュートリノを飛ばし、所要時間を計るというシンプルなアイデア。正確さを確保するには双方の時計をきちんと合わせる必要があるが、これはそれほど簡単ではない」と語る。

■新たな一歩に

 スーパーカミオカンデ実験を率いる東大の鈴木洋一郎教授も「別の機関による検証実験で、結果の正しさを確かめることが大事だ」と慎重な姿勢だ。

 鈴木氏は、昭和62年に小柴昌俊氏がニュートリノを検出した実験で、超新星爆発で出た光とニュートリノがほぼ同時に観測されたことを指摘。「両者の速度に今回のような違いがあるとすると、ニュートリノは光よりも1年は早く地球に到達していなければおかしいことになる」と語る。

 実験に参加した名古屋大の小松雅宏准教授は「実験に間違いがないかと検証を繰り返したが、否定できない結果になった。公表することで他の研究者による検証や追試が進み、物理学の新たな一歩につながれば」と話している。

◆根底崩れた?相対論…光より速いニュートリノ
 2011年9月23日 読売新聞

 名古屋大などの国際研究グループは23日、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表した。

 現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。

 この観測結果が得られたのは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の「OPERA実験」。ニュートリノ(ミュー型)を加速器という装置で打ち出し、約730キロ・メートル離れたイタリアのグランサッソー地下研究所へ地中を通して飛ばした。

 光はこの距離を0・0024秒で飛ぶが、今回の観測によって、ニュートリノは光より1億分の6秒早く到達していることが分かった。これは、光の速度より0・0025%だけ速く飛んだことを示している。

 ニュートリノの飛行速度を巡っては、2007年に米国の研究チームが論文を発表している。しかし、この時は誤差と区別がつかなかったため、「光速と差がない」と結論づけられた。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000個分の飛行速度を精緻に測定した。その結果、誤差を考慮しても、光速を超えていることが判明した。

 この観測結果は現代物理学では説明できない。観測に参加した名古屋大の中村光廣准教授は「物理学全体への影響が大きいため、解釈は加えないと研究グループ内で合意している」と述べ、他グループの実験による検証を求めるために発表に踏み切ったとしている。

  ◇ニュートリノ=電気的に中性で、物質を透過する。「電子型」「ミュー型」「タウ型」の3種類があり、飛行中にそれぞれ別の種類に変化するニュートリノ振動という現象を起こす。以前は質量がゼロと考えられていたが、故・戸塚洋二東京大特別栄誉教授らによる観測で、質量があることが明らかになった。

◆「光より速いニュートリノ」計測 国際研究グループ発表
 2011年9月23日 朝日新聞

 名古屋大や神戸大、宇都宮大などが参加する国際共同研究グループOPERAは23日、素粒子の一つニュートリノが、光より速く飛ぶことを示す実験結果を発表した。結果が正しければ、「光速より速いものはない」とするアインシュタインの特殊相対性理論など現代物理学の枠組みは大きく揺らぐことになる。

 研究グループは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の加速器から打ち出されたミュー型と呼ばれるニュートリノが、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ国立研究所の地下検出器に到着するまでの距離と時間を、全地球測位システム(GPS)を使って3年間・1万5千回以上、精密に計測した。
欧州合同原子核研究機関実験で「光より速いニュートリノ」計測 測定誤差の可能性も含めて精査・検証を_e0151275_6292429.jpg

 その結果、ニュートリノは光よりも1億分の6秒ほど早く到達し、速度を計算すると真空中の光速(秒速約30万キロ)を秒速7.5キロ(0.0025%)上回っていた。

◆ニュートリノの速度は光の速度より速い、相対性理論と矛盾 CERN
 2011年09月23日 AFP

 素粒子ニュートリノが質量を持つことの最終確認を目指す国際共同実験OPERA(オペラ)の研究グループは22日、ニュートリノの速度が光速より速いことを実験で見出したと発表した。確認されれば、アインシュタイン(Albert Einstein)の相対性理論に重大な欠陥があることになる。

 実験では、スイスの欧州合同原子核研究機構(European Centre for Nuclear Research、CERN)から730キロ先にあるイタリアのグランサッソ国立研究所(Gran Sasso Laboratory)へ、数十億のニュートリノ粒子を発射。光の到達時間は2.3ミリ秒だったが、ニュートリノの到達はそれよりも60ナノ秒ほど早かった(誤差は10ナノ秒以下)。ニュートリノの速度は毎秒30万6キロで、光速より毎秒6キロ速いことになる。

 OPERAのスポークスマンを務める物理学者のアントニオ・エレディタート(Antonio Ereditato)氏は、「ニュートリノの速さを知るための実験だったが、このような結果が得られるとは」と、本人も驚きを隠せない様子。発表に至るまでには、約6か月をかけて再検証や再テストなどを行ったという。

 研究者らはなお今回の結果には慎重で、世界中の物理学者らに精査してもらおうと、同日ウェブサイト上に全データを公開することにした。結果が確認されれば、物理学における理解が根本から覆されることになるという。

■物体を貫通するのに加速?

 ニュートリノは、太陽などの恒星が核融合を起こす時の副産物だ。電気的に中性な粒子で、極めて小さく、質量を持つことが発見されたのはごく最近のこと。大量に存在しているが検出は難しいことから「幽霊素粒子」とも呼ばれる。

 ただし、アインシュタインの特殊相対性理論に沿えば、物質は真空では光より速く移動することができない。

 ニュートリノは地球の地殻を含めて物体を貫通して移動しているが、「移動速度が(貫通により)遅くなることはあっても光速以上に加速することはあり得ない」と、データの再検証に参加したフランスの物理学者、ピエール・ビネトリュイ(Pierre Binetruy)氏は、疑問点を指摘した。

 2007年に米フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で同様の実験に参加した英オックスフォード大(Oxford University)のアルフォンス・ウィーバー(Alfons Weber)教授(素粒子物理学)は、光速より速いニュートリノが現行の理論と相容れないことを認めた上で、測定誤差の可能性を指摘し、同様の実験を行って結果を検証する必要性を説いた。

 フェルミで行われた実験では、やはりニュートリノの速度が光速をやや上回っていたが、結果は測定誤差の範囲内だったという。

■4次元とは別の次元?

 理論物理学者は、ニュートリノの予想外の速さを説明するための新たな理論を構築する必要に迫られるだろう。

 先のビネトリュイ氏は、ニュートリノが4次元(空間の3次元+時間)とは別の次元への近道を見つけたのかもしれないと話した。「あるいは、光速は最速とわれわれが思い込んでいただけなのかもしれない」

◆ニュートリノ、光速超えた? 相対論覆す可能性
2011年9月23日 共同通信

 素粒子ニュートリノのスピードは光より速い―。遠方から飛来するニュートリノを観測している名古屋大などの国際実験チームが23日、光より速いものはないとするアインシュタインの相対性理論の前提を覆すような測定結果を発表した。測定の正しさが証明されれば、現代物理学に根底から見直しを迫る成果で大きな反響を呼びそうだ。名古屋大の小松雅宏准教授は「衝撃的な結果だがデータの検証を尽くした上での数値だ」としている。

◆ニュートリノは光より速い?
2011年9月23日 NHK

名古屋大学が参加した国際研究グループによる実験で、素粒子の1つニュートリノが光より速いという結果が出たと発表されました。アインシュタインの相対性理論では、質量のある物質は光より遅いとされるため、これと矛盾する実験結果として今後、論議を呼びそうです。

この実験はCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関など、各国の研究機関で作る国際共同研究グループが行ったもので、日本からは名古屋大学などが参加しています。実験では素粒子の1つニュートリノをスイス・ジュネーブ郊外にあるCERNの研究所から発射し、730キロ離れたイタリア中部にある地下の研究所で観測して速度を測定しました。

2つの研究所の間の距離を精密に測り、時計も高精度に同期させたうえで、3年間、1万5000回に上る観測結果を解析したところ、光の速さで予想される時間よりも1億分の6秒=60ナノ秒早く到着しているという結果になったということです。アインシュタインの特殊相対性理論では、質量のある物質は光より速く移動することができないとされ、今回の実験はこれと矛盾する結果になっています。

また、なぜニュートリノが光より速いのか、理論的な説明も示していません。研究グループは「この結果が科学全般に与える潜在的な衝撃の大きさから拙速な結論や物理的解釈をするべきではない」とする異例のコメントを発表して世界の科学者や関係学会に実験結果の精査を求めており、今後、論議を呼びそうです。

<以下追加引用>
「光より速い素粒子」は誤りか
2012年2月23日 NHK

去年9月に発表され、アインシュタインの相対性理論と矛盾するものとして大きな議論を呼んだ「素粒子の1つ、ニュートリノは光より速い」とする実験で、機器に問題があったことが明らかになり、実験結果が誤っていた可能性が出てきました。

これは、実験を行った国際研究グループをまとめるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関が発表しました。実験は、素粒子の1つニュートリノをスイスにあるCERNから発射し、イタリアにある地下の研究所で観測したもので、1万5千回に上るデータを解析したところ、ニュートリノは光よりも1億分の6秒速く到着していたという結果になりました。この実験結果は、「光より速いものはない」とするアインシュタインの特殊相対性理論に矛盾するもので、去年9月に発表されると世界の研究者から大きな注目を集め、賛否の議論が巻き起こりました。

研究グループは、実験結果の検証を続けてきましたが、CERNは、23日、実験に使用したGPSデータの受信機と時計とをつなぐ光ファイバーの接続に緩みがあったことや、観測機器の時計に不具合があった可能性など、実験結果に大きく影響する2つの問題があったことを明らかにしました。このうち、光ファイバーの緩みの問題は、ニュートリノの速度を速くしてしまう実験結果につながるということです。

実験結果が誤まっていた可能性が出てきたことを受けて、研究グループは、5月に改めて実験を行うなどしてさらに詳しく分析し、結論を出すことにしています。

<以下追加引用>
◆ニュートリノ、「超光速」撤回 名古屋大などが正式に発表 再実験で判明
 2012.6.8 産経ニュース

 素粒子のニュートリノが光より速く飛ぶとの実験結果を昨年9月に報告した名古屋大などの国際研究チーム「OPERA」は8日、測定精度を高めた再実験の結果、ニュートリノの速度は光速と誤差の範囲で同じだったとして、「超光速」の当初報告を撤回した。京都市で開かれているニュートリノ・宇宙物理国際会議で正式に発表した。

 「超光速粒子」の報告は、質量を持つ物質は光速を超えないとするアインシュタインの相対性理論に反するため世界的な論争を呼んだ。科学者の多くは当初から懐疑的だったが、研究チームの撤回表明で論争は終結する見通しとなった。

 実験はスイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(CERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出。当初は光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告された。

 速度を測定するため、GPS(衛星利用測位システム)で時刻を合わせる時計を発射側と到着側に計3台設置。このうち到着側で地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続不良や、ニュートリノ検出器の精度が不十分だった可能性が見つかり、今年5月に再実験を行っていた。

 再実験では光ケーブルの接続を十分に確認した上で、地上と地下の時刻合わせを1ナノ秒単位で正確に監視。ニュートリノが検出器を通過する時刻も、誤差を従来の25分の1の1ナノ秒に抑えて確認できるように装置を改良した。

 超光速粒子をめぐっては昨年11月、同じ研究所の別の実験チームがノーベル賞学者の見解をふまえて反論したほか、今年3月には検証実験で否定。光ケーブルの接続不良問題も浮上したことで、超光速は誤りとの見方が広がっていた。

◆ニュートリノ「光より速い」撤回 国際チーム「測定ミス」 ケーブル接続部に隙間
 2012.6.9 産経ニュース

 素粒子のニュートリノが光より速く飛ぶとの実験結果を昨年9月に報告した名古屋大などの国際研究チーム「OPERA」は8日、測定精度を高めた今年5月の再実験の結果、ニュートリノの速度は光速と誤差の範囲で同じだったとして、「超光速」の当初報告を撤回した。京都市で開催中のニュートリノ・宇宙物理国際会議で正式に発表した。

 GPS(衛星利用測位システム)で時刻を合わせた時計を、ニュートリノの発射側と到着側に設置したが、到着側の地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続部に1・5ミリの隙間があり、接続不良による測定ミスが原因と判明。会見した名古屋大の小松雅宏准教授(素粒子物理学)は「ケーブルの取り付けを間違えた可能性がある。チェック不足だった」と釈明した。

 「超光速粒子」は、質量を持つ物質は光速を超えないとするアインシュタインの相対性理論に反しており、物理学を根底から覆す大発見かと世界的に注目された。だが科学者の多くは当初から懐疑的で、研究チームの撤回表明で議論は終結する見通しとなった。

 実験はスイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(CERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出。当初は光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告されていた。

 今年5月の再実験では、光ケーブルの接続や地上と地下の時刻合わせを正確に監視して行われた。
by negitoromirumiru | 2011-09-24 06:31 | 生活 | Comments(0)


<< 認知症介護・私を見て看護師さん 訃報 杉浦直樹(俳優) >>