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輸入盤 ドボルザーク:交響詩集 アーノンクール&コンセルトヘボウ

ドヴォルザーク:
・交響詩『水の精』op.107
・交響詩『真昼の魔女』op.108
・交響詩『金の紡ぎ車』op.109
・交響詩『野鳩』op.110

ニコラウス・アーノンクール指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

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チェコの国民詩人、K.J.エルベン(1811-1870)のバラードにインスパイアされたドヴォルザークの4つの交響詩(op.107-110)は、題材の異常なまでの残酷さ・凄惨さゆえ、『殺人交響詩』としても知られているもので、そこに求められるオーケストラの表現力にはかなりのものがあります。
 なにしろ、4曲中、最も穏やかな『真昼の魔女』ですら、魔女によって子供が殺されてしまうという残忍な内容で、最も残虐な『金の紡ぎ車』に至っては、バラバラ殺人が題材というとんでもない代物。タイトルが美しい『水の精』にも、子どもが真っ二つに引き裂かれて家のドアに叩きつけられるという場面があり、これもタイトルは穏やかそうな『野鳩』も、夫を毒殺した未亡人がやがて気が狂って自殺するという筋書きなのです。

(春之介のコメント)
実は、このCDなんですがブックオフで何気に買い込み、演奏のあまりの素晴らしさに興味を抱きました。

アーノンクール盤は交響曲第7-9番のライブ録音の付録のように、この交響詩集がありました。

この交響詩集を集めてCD化したのが本盤になります。

この作曲年代は、ドヴォルザークの晩年にあたるようで管弦楽は充実しています。

ただ、知らなかったのがこの内容です。

大手輸入のHPを見てビックリ仰天の始末。

きらびやかな曲かと思いきや、おどろおどろしい内容なのですね。

こうした題材を作曲してしまうのも、さすがです。

教訓話は、日本でも地獄絵巻とかあるから同じかもね。


〈以下参考引用〉
ドヴォルザークはアメリカに渡っている間に最後の交響曲である「新世界より」を作曲しましたが、その後再び母国のチェコに戻りました。帰国した翌年の1896から1897年にかけて作曲されたのが5曲の交響詩です。そのうちの4曲はチェコの詩人で民話の研究家でもあるカレル・エルベンの民族的バラード集から題材がとられています。いまでもチェコの子供たちに親しまれている昔ばなしを美しい音楽に表現したのが、このドヴォルザークの交響詩なのです。

「水の精」op.107  湖の近くに住む若い娘が誤って湖に落ちてしまう。彼女を助けた水の精は彼女を妻にする。やがて二人に子供が生まれる。彼女が里帰りをしたがるために、水の精は夕べの鐘が鳴るまでに帰るという条件で許す。ところがやっと戻ってきた娘を彼女の母親が再び湖に返そうとしない。怒った水の精は子供を連れて嵐の中を家にやってくる。ドアの音がドンドンと叩かれて異様な音がするので娘がドアを開けてみると、子供がドアに叩きつけられて息絶えていた、という話です。

「真昼の魔女」op.108  家事に追われる母親が、泣きわめく子を叱りつけて「真昼の魔女を呼ぶよ」とおどす。子供が泣き止まないでいると、本当に魔女が現れて「子供をもらってゆく」と言う。母親は魔女に憐れみを乞うが聞き入れられない。そのとき教会の鐘が鳴ると魔女は消える。安心した母親は子供を抱いたまま気を失う。夕方、夫が帰宅して彼女は意識を取り戻すが、子供はすでに死んでしまっていた、という話です。

「金の紡ぎ糸」op.109  狩りに出た若い王が、森のつむぎ小屋で水をもらった娘に一目ぼれして求婚する。娘は継母に付き添われて城に向かうが、継母は途中で彼女を殺して両足を切断し、遺体を森に捨ててしまう。そして自分の連れ子を娘に仕立てて城に連れて行き、気が付かない王と結婚させる。森の魔法使いの老人は、継母に金の紡ぎ車を送り、代わりに切断された娘の両足を受け取る。魔法使いは娘の体を元に戻して彼女を生き返らせる。王妃が王の前で金の紡ぎ車で糸をつむごうとすると、紡ぎ車は継母の悪事を歌いだす。驚いた王様は急いで森に行き、娘と再会して改めて妃に迎え入れる、という話です。

「野ばと」op.110  若く美しい未亡人は、実は夫を毒殺していた。やがてハンサムな若者が彼女に求愛したので、彼女は再婚する。一羽の鳩が亡き夫の墓の近くの樫の木に巣をつくり、悲しそうに鳴き続ける。彼女はその声を聞いているうちに自責の念にかられて自殺をしてしまう。すると死によって罪をあがなった女を憐れむように鳩が優しい歌を歌いだした、という話です。

「英雄の歌」op.111  最後の曲だけはエルベンのバラードからではなく、ドヴォルザーク自身の詩的な楽曲です。苦難を乗り越えての光明というテーマらしいですが、具体的な記述は残されていません。芸術家ドヴォルザーク自身のことだという見方も有りますので、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」みたいなものなのでしょうか。

5曲はどれもが幻想的でボヘミアの情緒いっぱいであり、円熟した管弦楽で書かれています。ヤナーチェクもエルベン題材の4曲を「最上にチェコ的な名曲」と激賞しています。
by negitoromirumiru | 2011-07-31 17:55 | 音楽 | Comments(0)


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