高齢者虐待1万5000件 09年度、施設職員関与も最多
2010年11月23日 中日新聞
65歳以上の高齢者に対する家族からの虐待件数は2009年度、4・9%増(前年度比)の1万5615件で、調査を始めた06年度以降で最多となったことが、厚生労働省のまとめで分かった。虐待による死者も8人増の32人で、最も多かった06年度に並んだ。
特別養護老人ホームやグループホームなど施設での職員による虐待も8・6%増の76件で最多。
相談や通報を受けた自治体が調べ、実際に虐待があったと確認した件数をまとめた。
厚労省は「実際に起きている虐待の大部分か氷山の一角か、明確には分からない。『虐待は市町村に通報する』という高齢者虐待防止法の趣旨が浸透してきた面もあるのではないか」としている。
家族や親族、同居人による虐待に関する相談・通報件数は7・9%増の2万3404件で、うち1万5615件の虐待を確認。被害者数は1件で複数の場合もあるため、1万6002人。女性が8割近くを占めた。
虐待の加害者は「息子」が41%で最も多く、次いで「夫」17・7%、「娘」15・2%。
一方、施設職員による虐待では、408件の相談・通報があり、76件を確認した。
施設別では「特別養護老人ホーム」30・3%、「グループホーム」22・4%、「老人保健施設」14・5%。内容別(複数回答)は「身体的虐待」69・7%、「心理的虐待」34・2%、「性的虐待」10・5%。
(春之介のコメント)
高齢者虐待も実数で増えている。
おおよそ予想の範囲であるが、専門職たる施設等でも起こることが理解しにくい。
<以下引用>
高齢者虐待、過去最高1万5千件…息子から4割
2010年11月22日 読売新聞
高齢者への虐待件数が2009年度、1万5691件(前年度比5%増)に上り、調査開始以来、3年連続で増加したことが、22日発表された厚生労働省の調査で分かった。
内訳は、家庭内での虐待が1万5615件、介護施設内が76件。家庭内の虐待者は息子が最も多く、41%(前年度40%)を占めた。
調査は、高齢者虐待防止法が06年度に施行され、虐待の発見者に市町村への通報義務が課されたのを受け、全国の自治体に件数などを聞いた。
家庭内虐待の場合、被害者の77%が女性で、80~84歳が最多の24%。被害者の少なくとも46%に認知症が認められた。
被害者と虐待者が同居しているケースが86%あり、世帯構成は「未婚の子と同居」が最多(38%)だった。息子に次ぐ虐待者は夫(18%)で、娘(15%)、嫁(8%)などが続いた。
【用語解説】
高齢者虐待防止法とは
2006年4月に施行。「身体的虐待」「介護・世話の放棄・放任」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の5行為を虐待と定義づけた。施設職員による虐待を発見した場合、職員に市町村への通報を義務づけた一方、施設側が通報を理由に、職員に解雇などの不利益な取り扱いをすることを禁止した。