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下がるばかり新司法試験合格率 法科大学院制度に疑問の声も

レベル上がらぬ法科大学院、下がるばかり新司法試験合格率 制度に疑問の声も 
2010年9月28日 産経新聞

 裁判官や弁護士、検察官を養成する全国74の法科大学院が、なかなかレベルアップしないことが問題となっている。新司法試験の平均合格率は下がるばかりで、業を煮やした文部科学省は合格率が低い大学院の補助金などをカットする方針を打ち出している。一方、法曹関係者からは「学校を作ったからといって簡単にレベルの高い人材を増やせるものじゃない」と制度そのものを疑問視する声が上がっている。(菅原慎太郎)

 「そんなに学生のレベルは低くない」「法科大学院だけをバッシングするのはおかしい」

 今月16日。法科大学院の改革を検討する中央教育審議会特別委員会では、25・4%という今年の平均合格率が報告された。過去最低の結果だが、委員からは批判よりも擁護論が相次いだ。

 確かに平均合格率は新司法試験が始まった平成18年の48・3%から毎年下がり続けている。加えて今年の合格者数は2074人で、政府目標の3千人を大きく下回った。しかし、3%程度だった旧司法試験の合格率に比べれば、はるかに高い。

 「合格者を決める司法試験考査委員も、柔軟に考えるべきだ」

 委員や文科省関係者ら出席者らからは、合格者を増やそうとしない新司法試験の採点法へのいら立ちや不満すら、感じられた。

 そもそも新司法試験は、年間500人程度だった合格者を3000人程度まで引き上げる司法制度改革で導入された。誰でも受験できる旧司法試験の方式を改め、実務家としての専門教育を受けた法科大学院の修了者に受験者を限定することでレベルを向上させ、合格者を増やすというプランだった。

 しかし、現実には狙い通り合格率が数十%となったのは、東大、一橋大や早慶といった有名大学など上位校ばかり。多数の法科大学院では合格者は低迷し、今年は、1けたの法科大学院が33校に上った。鹿児島大とともに合格者0人だった姫路独協大は、来年度、入学者の募集を停止している。

 「急に司法試験の合格者を増やそうとすれば、レベルが追いつかないのは当然のこと」

 ある法務省幹部は、こう自嘲(じちょう)気味に話す。上位校の合格率も伸び悩んでおり、司法制度改革のプラン自体に無理があったという批判は根強い。

 加えて、授業体制の不備など問題も続出した。大学評価・学位授与機構などが審査したところ、「不適格」とされた法科大学院は74校のうち24校。文科省の担当者も「経営のためにたくさんの学生を入学させることに腐心し、運営がおろそかになっている大学院もある」と認める。

 司法制度改革を推進してきたのは国だし、法科大学院には裁判官や検察官OBが教員を務めるケースも多い。その人件費のかなりの部分は、国の補助金や交付金でまかなわれている。

 文科省もこのまま放置できず、3年連続して平均合格率の半分未満が続いたケースなどには、平成24年度から補助金や交付金を削減するペナルティーを設ける方針を打ち出した。同省の小松親次郎審議官は「法科大学院の経営に大きな影響を及ぼす」と強調。低迷校の統廃合で改善を進めたいようだが、いまのところ、効果がどこまであるかは不明だ。

(春之介のコメント)
合格者を予定定員まで引き上げることは簡単であるが、質が著しく低下する。

法科大学院は、合格予定者が大幅に増えることを見越して設立されたが一気に法曹人口を増やすことができない経済環境になってきている。

25.4%という数字は難関という数ではないように見えるが、従来の誰でも受験できることに比べ高額な教育費を負担できる人たちによるレベル試験だから厳しいものがある。

受験回数が制限されることで、法科大学院修了者にとっては進路が定まらない。

旧制度は受験対策が出来上がったために詰め込み型の合格者を近年出してきたために、柔軟なリーガルマインドを持った法曹人の養成が急務となった。

しかし、現実的には弁護士の大幅増加は僻地と都市の格差を解消するどころか、弁護士事務所にすら就職できない弁護士という現実を生んでしまっている。

法曹改革の見直しが早くはじまり適正な市場規模から、合格者の水準を算出する作業をしないと受験で疲れ切った法律オタクを滞留させることになる。


〈以下引用〉
法科大学院、二極化恐れ 司法試験の合格者、都心や国立に集中
2010年9月14日 中日新聞
下がるばかり新司法試験合格率 法科大学院制度に疑問の声も_e0151275_1447563.jpg

 合格率が過去最低の25%となった今年の新司法試験。都心の有力大や国立大の大学院の修了者が合格する傾向が顕著となり、国の方針変更の逆風もあって中部地方の大学院は危機感を募らせる。
 合格者が昨年より1人減の3人にとどまった愛知学院大。芹田健太郎法務研究科長は「地方の中小規模の大学院は苦しい」と嘆く。
 同大学院は、大学で法学を専攻していない学生や社会人出身者らが中心。幅広い人材を法曹界に送り出す法科大学院の理念に沿っているが、合格率で劣るのが現状だ。実績の低い大学院への交付金を減らす文部科学省の考えに、芹田科長は「合格者がますます一部大学に集中し、地域の人材を育てる理念から離れていく」と訴える。
 大学院の再編・統合を求める声も政府などから上がっているが、南山大の榊原秀訓法務研究科法務専攻・専攻主任は「私大同士の統合は現実的に難しい。実際は廃止しろと言っているようなもの」と指摘する。
 法科大学院への受験者数は年々減少しており「このままでは優秀な人材が集まらなくなる恐れがある」と制度の見直しを求める。
 合格率で13位と健闘した愛知大。大林文敏法務研究科長は「上位でも油断できない。大学院間の二極化が固定化し、地方の小規模大学院は淘汰(とうた)される方向にある」と気を引き締める。
 一方、昨年より1人多い5人が合格した信州大の米田保晴法曹法務研究科長は「毎年1人ずつ合格者を増やしていきたい」と意気込む。同大は2年前の合格者がゼロだったことを受け、カリキュラムを改革。18人の入学者を19人の教員が指導する少人数教育など、大学をあげての支援強化策が実ったとみている。
by negitoromirumiru | 2010-09-28 14:48 | 生活 | Comments(0)


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