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光トポグラフィー(NIRS)検査-うつ病 脳血流の変化から判別 ⇒保険診療として実施へ 2014年4月1日より

保険適応のお知らせ
光トポグラフィ―検査は、2014年4月1日より、「抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」として、定められた施設基準を満たす医療機関にて、保険診療として実施されることとなりました。
(東大病院)


<以下経過> 現状と合わない点もあり、関係医療機関に問い合わせを!
精神疾患画像で診断…うつ病や統合失調症 脳血流の変化から判別
2010年4月8日 読売新聞

 うつ病や統合失調症などの精神疾患を脳の画像検査で診断する方法が実用段階に入ってきた。「近赤外光脳計測装置」(NIRS)を用いて脳血流の変化を測定し、それぞれの病気に特有のパターンを判別する検査法が、全国7施設の共同研究でほぼ確立した。東京大病院などは「先進医療」として実際の患者の診断に使い始めている。医師の面接に頼っていた精神科の診断に客観的なデータが加わることで、正確な診断に役立ちそうだ。

 精神科では、血液検査や画像のような客観的な診断手法が乏しく、同じ患者でも医師によって違う病名がつくことも少なくない。

 NIRSによる画像検査は、ヘルメット状の装置を頭にはめてもらい、「あ」で始まる言葉を声に出して挙げてもらう課題など簡単なテストをしながら、前頭葉の血流の変化を調べる。人体に害は全くない。

 群馬大、東大、国立精神・神経医療研究センター、鳥取大など7施設が2004年から研究を開始。健常者約1000人、精神疾患患者約500人の画像を蓄積。昨年末までの分析で違いの見分け方がほぼ確立した。

 健常者では血流量が急に増え、課題を終えた後、すぐに下がった。うつ病は反応は速いが、増え方は少なく、課題終了とともに急減した。統合失調症では、ゆっくり増え、課題をやめた後、減るが、一度急増する時点があった。そううつ病でも、うつ病と異なる特徴が見られた。それぞれの疾患の7~8割程度で、面接による診断と一致する結果になり、面接だけで疾患を判別がつきにくかった患者もほぼ区別できるという。

 東大など3施設は昨年度から保険診療と併用できる「先進医療」の承認を厚生労働省から受け、現場での利用を開始。近畿大病院(大阪府大阪狭山市)も近く先進医療を始める。東大病院は今月から週2人の入院検査プログラム(自己負担約7万円)を導入した。

 東大精神神経科の笠井清登教授は「面接だけでは診断が遅れたり、不適切な薬の処方で症状が悪化するケースもあったが、画像検査に従来の面接法を加えると、ほぼ確実に診断できる。目で見て自分の状態がわかることは、患者にとって安心につながっている」と話す。

 厚労省の調査では、国内のうつ病患者は約100万人、統合失調症は約70万人と推定され、とくにうつ病は年々増加。自殺の大きな原因ともなっている。

 東大の検査は6月末まで予約が埋まっている。以後の申し込み要領はホームページで確認できる。

『こころの検査入院プログラム』(東大病院)
 http://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/kokoro/index.html

(春之介のコメント)
あくまでも診断の補助ということで、NIRS検査をするということ。

入院のプログラムには、臨床心理士による心理検査・心理教育という時間が含まれており、総合的な判断を受けられる。

精神疾患の鑑別診断の補助といったことで、最終的には主治医に検査結果がフィードバックされて以後の診療に役立てるということだろう。

週2人ということで、まだまだこれからだ。

【追記】 NEW 058.gif
先進医療を実施している医療機関の一覧 厚生労働省 (外部リンク)
第2項先進医療技術 【先進医療A】 44
○平成26年3月1日現在 26施設


群馬県 群馬大学医学部附属病院
東京都 東京大学医学部附属病院
東京都 国立精神・神経センター病院
大阪府 近畿大学医学部附属病院
鳥取県 鳥取大学医学部附属病院

山口県 山口大学医学部附属病院
栃木県 自治医科大学附属病院
東京都 東京都立松沢病院
福島県 公立大学法人福島県立医科大学附属病院
新潟県 医療法人楽山会 三島病院

千葉県 学校法人日本医科大学 千葉北総病院
京都府 独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター
島根県 島根大学医学部附属病院
東京都 東京警察病院
石川県 金沢医科大学病院

東京都 昭和大学医学部附属東病院
奈良県 奈良県立医科大学付属病院
香川県 医療法人財団以和貴会 いわき病院
大阪府 大阪医科大学附属病院
沖縄県 琉球大学医学部附属病院

山梨県 山梨大学医学部附属病院
茨城県 茨城県立こころの医療センター
東京都 慶應義塾大学病院
鳥取県 独立行政法人国立病院機構鳥取医療センター
愛知県 医療法人 愛精会 あいせい紀年病院

大分県 大分大学医学部附属病院
東京都 東邦大学医療センター大森病院


追記
保険適応のお知らせ
光トポグラフィ―検査は、2014年4月1日より、「抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」として、定められた施設基準を満たす医療機関にて、保険診療として実施されることとなりました。
(東大病院)


なお、記事を読んで頂くと分かると思いますが、光トポグラフィーで診断できる段階にあるわけでなく、心理教育など総合的にプログラムをこなすことで、メンタルに関する認識を深めることが最大の狙いであります。

こうした丁寧な診療には当然に時間が必要で人数制限があるでしょうし、治療段階とは関係ないのでウツが治るわけではありません。従来の精神療法、薬物療法が中心であることは変わりありません。

そうした診断法の確立段階であることを知って利用されることをお勧めします。

なお、検査は各医療機関によって違っていると思われますので詳細は個別に問い合わせるしかありません。

光トポグラフィー(NIRS)検査-うつ病 脳血流の変化から判別 ⇒保険診療として実施へ 2014年4月1日より_e0151275_0242253.jpg

<以下参考引用> 東大病院・こころの検査入院プログラムから
光トポグラフィー(NIRS)検査-うつ病 脳血流の変化から判別 ⇒保険診療として実施へ 2014年4月1日より_e0151275_818724.jpg

光トポグラフィー(NIRS)検査-うつ病 脳血流の変化から判別 ⇒保険診療として実施へ 2014年4月1日より_e0151275_8181831.jpg

※光トポグラフィー(NIRS)検査による脳機能評価を精神疾患へ応用することで、うつ症状の背景疾患が示唆されることがわかりました。この客観的指標による評価で、うつ病(大うつ病性障害)・躁うつ病(双極性障害)・統合失調症のいずれの可能性が高いかが示唆されます。ただし、結果は確定診断ではなく、あくまで臨床症状にもとづく鑑別診断の補助として用います。 この検査は診断の確定や治療をするものではありません。)

★検査内容
  心電図、単純X線検査
  光トポグラフィー(NIRS)検査:うつ症状の原因疾患診断補助
  コンピュータ画像診断(CT)、脳波検査:器質性精神疾患の除外診断
  血液検査:合併症の除外、評価
  精神科診断面接(SCID)による、詳細な症状の評価
  心理検査:知能検査(WAIS-R)、人格検査(MPI・SCT)、各種臨床評価シートによる状態評価
  評価シートによる発達障害の簡単な評価
  核磁気共鳴診断(MRI)・単一光子放射断層撮影(SPECT):認知症などの除外診断(検査の必要がある場合)

★心理教育
 ①うつ病についての説明;生物学的な背景・治療の意義・薬物治療の意義・経過
 ②生活習慣の改善:行動記録表の制作・生活習慣改善の意義
 ③認知療法の簡単な説明
 ※原則、入院プログラム期間中は外来時の処方を継続し、薬物調整は行いません。

★検査内容について  

 Q:この検査入院で何がわかるのでしょうか?
 A:今後の治療方針などの参考となる臨床情報がわかります。
光トポグラフィー(NIRS)検査、心理検査、脳画像検査、詳細な病歴の再確認、症状評価など、普段の外来診療では十分に行うことのできない各種検査などを集中的に行い、それらの結果を整理します。これらの臨床情報を元に、現在の主治医が今後の治療方針を決定していくこととなります。

 Q:光トポグラフィー(NIRS)検査で何ができるのですか?
 A:うつ症状の原因となる病気の診断の正確性を高めることができます。
光トポグラフィー検査は、あくまでも脳の働きを反映する血液量変化を知る検査であり、治療効果はありません。
うつ病(大うつ病性障害)、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症に罹患されている方の光トポグラフィー検査のデータと臨床症状に基づく鑑別診断の結果の一致率は、それぞれ約7~8割です。ただし、この検査のみで診断・治療方針は決定せず、検査結果は他の多くの情報と併せ、総合的に判断する際の臨床情報の一つとして活用されます。また、計測不良などで判定困難・判定不能となることもあります。

 Q:検査結果は教えてもらえるのですか?
 A:検査結果は、退院前に当院の担当医から一通り口頭でご説明させていただきます。検査結果の書面でのレポートはご紹介いただいた主治医宛へ郵送させていただき、患者さんへは直接お渡しはいたしません。検査結果を解釈するためには医師の判断が必要であり、混乱を防止するためですので、ご了承願います。


<以下追加引用>
あさイチ「うつ病治療の新常識」
2012年4月4日 NHK

①光トポグラフィー検査【NIRS(ニルス)】・・・うつ病かどうかの検査

うつ病の診断はこれまで問診によって行われてきたため、医師の経験により、診断がばらつくこともありました。また、双極性障害(いわゆる、そううつ病)なのにうつ病と診断されている患者がかなり多いことも分かってきました。最近の論文では、4割というデータもあります。

双極性障害なのにうつ病と診断されて抗うつ薬を飲み続けてしまうと、薬の気分を高める作用により、場合によっては衝動を起こす危険性があるため、特に問題となっています。

※自分の判断で薬をやめるのは大変危険です。薬についてはくれぐれもまず主治医にご相談下さい。

そこで始まったのが光トポグラフィーを使った検査です。光トポグラフィーは、頭に近赤外線を当て、脳の働きを血液量の変化から調べる検査装置です。検査では、患者は質問に対し思い浮かぶ言葉を答えていきますが、その間の血液量の変化から、うつ病と、うつ病に似た症状がある「双極性障害」や「統合失調症」を見分けることができるとされています。

この光トポグラフィー検査は、国の先進医療に承認され、全国14か所の医療機関で実施されています。(2012年3月16日現在)費用は多くの施設で13,000円です。医療機関は「厚生労働省 先進医療を実施している医療機関の一覧」に出ていますが、すでに予約でいっぱいで現在は受け付けていない医療機関もあります。ご了承下さい。

ホームページの中で、4月4日現在、75番目に表記されている「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」の欄に掲載されています。


②経頭蓋磁気刺激【TMS】・・・磁気刺激による治療

アメリカでは、薬が効かなかった患者に対して、経頭蓋磁気刺激(TMS)という治療が行われています。強力な磁気を発生させる機器を、頭の前の左のほう、DLPFCと呼ばれる部分に当て、脳を直接刺激します。1回の治療は40分ほど。症状が治まるまで通院で毎日続けます。

ただし、このクリニックでも効果があったのは患者の7割程度で、回復してもその状態を保つために月1回の治療を受け続けている人が多いそうです。アメリカでは、この治療は2008年にFDA(アメリカ食品医薬品局)にうつ病を対象に承認され、現在では全米400か所の医療機関で行われています。

この治療でなぜうつ病が治るのかには、いくつかの説がありますが、不安や恐怖・悲しみなどの感情を生み出すへんとう体のブレーキの役割をするDLPFC(背外側前頭前野)を磁気刺激すると、へんとう体の暴走が止まり、うつ病の症状が治ると考えられています。

なお、この磁気刺激は、「双極性障害」については効果があるという研究もありますが、明らかではありません。また、「統合失調症」については、認知機能障害に対してはあまりいい結果が得られていませんが、幻聴に対しては効果が得られているという研究があります。

なお、日本では磁気刺激は治療としてではなく、安全性や有効性を確かめる研究の一環として行われています。

早ければ4月から経頭蓋磁気刺激(TMS)の臨床試験を行う予定の病院

杏林大学医学部付属病院  http://www.kyorin-u.ac.jp/hospital/

〈精神神経科〉
  抗うつ薬に反応しない難治性うつ病に対して、新しい治療として脚光をあびている経頭蓋磁気刺激を施行しています(要入院)。当科では1999年より同治療を本邦で初めて開始し、先駆的役割を担っています。
by negitoromirumiru | 2010-04-10 08:18 | 躁鬱 | Comments(0)


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