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輸入盤 ショスタコーヴィチ交響曲全集 バルシャイ

BRILLIANT
ショスタコーヴィチ ( Dmitry Shostakovich )
交響曲全集 バルシャイ&ケルン放送響 

ショスタコーヴィチに作曲を師事し、のちには交響曲第14番『死者の歌』の初演をおこない、さらに弦楽四重奏曲の編曲などを通じてショスタコーヴィチと親交のあった名指揮者、ルドルフ・バルシャイ[1924.09.28- ]が、ベルティーニとのマーラー演奏で名高いケルン放送響を指揮した交響曲全集。
 バルシャイのショスタコと言えば、熱気あふれる名演として有名な第7番『レニングラード』や、自身の編曲版による水戸室内管弦楽団との弦楽四重奏曲集、といったアルバムがこれまでリリースされていましたが(他にもありましたが現在は廃盤)、今回のリリースは彼の実力を真に知らしめるものとして、大いに歓迎されるところです。
 中でも15曲中、最も重要な作品と言われる第4番、第8番、第10番の出来栄えは素晴らしいものがあり、第4番両端楽章でのフーガ(フガート)の緊迫感と声部バランスの完璧さや、第8番の2つのスケルツォ楽章における哄笑の切れ味、第10番でのテクスチュアの克明さなどまさに圧巻。ショスタコーヴィチの語法を知り尽くしたバルシャイならではの意味深いアプローチは聴きごたえ十分です。
 もちろん、他の作品の出来栄えも優れたもので、迫力満点の標題交響曲としてマニアに人気の第11番『1905年』でも殺戮シーンの描写は圧倒的なものがありますし、同じく描写性の高い第12番『1917年』でも、弦楽の扱いが巧緻なぶん、構造面の魅力(?)がよく伝わってきます。
 声楽つきの第2番、第3番、第13番、第14番ではそれぞれの異なるテーマにふさわしいスタンスが取られており、特に、バルシャイ自身が作品の初演者でもある第14番『死者の歌』については、室内編成オーケストラによる多彩をきわめた音響の面白さが耳目を引きます。その他、第13番『バビ・ヤール』でのフーガや、第3番『メーデー』での文字通り行進曲風な楽想の処理、第2番『10月革命に捧ぐ』での過激な音響表出もひたすら見事。
 第1番、第6番、第9番の3曲は、いずれも30分程度の規模の小さな作品ながら、聴きどころのぎっしり詰まった充実した作風ゆえファンが多い傑作。バルシャイのアプローチも機知に富み、機敏さを決して失わないところなどは作品にまさにぴったりです。
 ショスタコーヴィチ最後の交響曲となった第15番では、ウィリアム・テルやマーラー、ワーグナーの引用などいつにも増してパロディ的な手法が多く使われるのですが、バルシャイの演奏は引用強調を主眼としないシリアスなものとなっています。

・交響曲第1番ヘ短調作品10
 1994年9月&10月デジタル録音

・交響曲第2番ロ長調作品14『10月革命』
 1995年1月デジタル録音

・交響曲第3番変ホ長調作品20『メーデー』
 1994年9月&10月デジタル録音

・交響曲第4番ハ短調作品43
 1996年4月&10月デジタル録音

・交響曲第5番ニ短調作品47『革命』
 1995年7月3&8日、1996年4月デジタル録音

・交響曲第6番ロ短調作品54
 1995年10月デジタル録音

・交響曲第7番ハ長調作品60『レニングラード』
 1992年9月デジタル録音

・交響曲第8番ハ短調作品65
 1994年3月、1995年10月デジタル録音

・交響曲第9番変ホ長調作品70
 1995年7月&9月、1996年4月デジタル録音

・交響曲第10番ホ短調作品93
 1996年10月デジタル録音

・交響曲第11番ト短調作品103『1905年』
 1999年5月デジタル録音

・交響曲第12番ニ短調作品112『1917年』
 1995年9月デジタル録音

・交響曲第13番変ロ短調作品113『バービー・ヤール』
 2000年9月デジタル録音

・交響曲第14番ト短調作品135『死者の歌』
 1999&2000年デジタル録音

・交響曲第15番変ホ短調作品144
 1998年6月デジタル録音

 セルゲイ・アレクサシキン(Bs)
 アラ・シモーニ(S)
 ヴラディーミル・ヴァネエフ(Bs)
 モスクワ合唱アカデミー
 ケルン放送合唱団
 ケルン放送交響楽団
 ルドルフ・バルシャイ(指揮)

 録音場所:ケルン、フィルハーモニー
by negitoromirumiru | 2010-03-29 00:42 | 音楽 | Comments(0)


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