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公認会計士 新試験制度、曲がり角に ⇒志願者数はピークの半分 就職難イメージで

公認会計士 曲がり角に
2009年12月30日 東京新聞朝刊

 司法に並ぶ難関とされる公認会計士の資格試験。かつて合格後の就職先は安定し、高給を期待することも可能だった。だが、最近は就職先が見つからない合格者が約三分の一に上っている。二〇〇六年に新たな仕組みを導入した試験制度についても、金融庁が見直しを検討。公認会計士をめぐる環境は大きな曲がり角を迎えている。 (木村留美)

 「(受験資格の)入り口要件を撤廃した改正は失敗だった」「試験には英語が入っていない。国際的に対応できていないのではないか」。今月十日、大塚耕平金融担当副大臣を座長に、庁内で開かれた「公認会計士制度に関する懇談会」で、有識者や関係者らから現行の試験制度に対する批判が相次いだ。

 試験制度は、現在約二万人ほどの公認会計士の数を一八年ごろまでに五万人とすることを目指し、〇六年に導入した。三段階五回の試験を一段階二回に簡略化。従来は大学教養課程程度の知識が必要だったが、これも問われなくなった。現行制度で受験者は合格の前か後に「二年以上」の実務経験を監査法人や企業で積む必要がある。その後、日本公認会計士協会の修了考査で認められ資格を取得できる仕組み。合格していても研修中は「公認会計士試験合格者」などとしか名乗れない。

 合格者数の増加の背景には、監査領域や業務が広がり監査法人だけでなく一般企業にも就職先が増えると見込まれていたことがある。十年前まで年間六百~八百人程度だった合格者数は、〇七年には四千人超に急増。今年の試験では絞り込んだため約二千二百人だったが、十八歳の最年少合格者も誕生した。

 だが合格者数が増える一方で、就職先は広がっていない。前年までの大量採用や景気悪化の影響で監査法人の採用は激減。通常の新規採用を大幅に減らしている一般企業も、年齢や条件面で対応を異にする「合格者」の採用は抑制気味だ。「監査経験のない“合格者”では即戦力にならない」(大企業の経理担当者)のが現状だ。

 金融庁は今年の合格者のうち数百人が内定を取れないと予測。実際には十二月中旬で、合格者約二千人のうち六百人超が内定のない状態だった。

 試験制度の再見直しにあたり、金融庁は来年以降の合格者数を「合格者の活動領域の拡大が進んでいない状況から、対応策が実施されるまでの間、二千人程度を目安とすることが望ましい」と当面、抑制する方針を示した。

 懇談会では、受験資格に大学卒業要件をつけることや、合格後の円滑な資格取得などを論点としてあげている。ただ、国際化への対応や一般企業からのニーズに応えられる公認会計士のあり方についても問題が浮き彫りになっている。「必要とされる公認会計士」を送り出す試験に見直すには、課題が山積している。
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(春之介のコメント)
公認会計士も新試験が2006年に導入され

かなり水増しの合格者を排出した。

新司法試験も同じだが合格者を増やして法曹を活性化するという目的が頓挫している感じがする。

それは医師と同じで、僻地や不採算部門に積極的に関わろうとする意志がないためだ。

この公認会計士も、実情は知らないが地域格差が存在しているのではないだろうか。

たまたま景気悪化で採用抑制が働いているのだが、本当に合格増員のために

試験の簡略化が良かったのだろうか、懇談会での議論が待たれる。026.gif


<以下追加引用>
公認会計士、遠い資格 試験合格も実務経験積めず
2012/9/3 中日新聞 朝刊

 司法試験と並ぶ難関で知られる公認会計士試験に合格しながら、資格が得られないままの人が増えている。試験制度改正で合格者数が増えた一方、資格取得に必要な実務が積める監査法人が景気低迷で採用を抑えているからだ。合格者は公認会計士になれる保証がないまま、さまざまな就職先を選び始めたが、職が見つからない人も多い。

 「もうちょっと楽に監査法人に入れると思ったのに」。昨年の試験に合格した長野県出身の男性(23)は、監査法人に入れず、四月から名古屋市内の税理士法人で働く。中小企業の税務業務が主な仕事だが、資格取得要件の実務とみなされていないため「実務経験のできるところで働きたい」と漏らす。

 公認会計士の資格取得には合格の前か後に二年以上の実務経験が必要で、上場企業などの決算書類を監査証明する監査法人に就職するのが一般的だ。

 東京都の無職男性(56)は通信関連会社を早期退職し、二〇〇七年に合格した。だが年齢が障害となり監査法人に入れず、今も職はない。「試験に通れば誰でも次のステップに進める仕組みを整えてほしい」と訴える。

 日本公認会計士協会によると、職が見つからない人も増え続け、協会が統計を取り始めた〇九年で百九人。一二年には八倍以上の九百十七人(六月三十日現在)に上った。

 その背景には、〇六年に改正された試験制度がある。金融庁が監査法人の業務拡大による人手不足解消や、幅広い分野から人材を確保する狙いで受験資格を撤廃するなどして、合格者を十年ほど前の千人程度から二千~三千人に増やした。

 これに合わせ、合格者のほぼ全員を引き受けていた「新日本」「トーマツ」「あずさ」「あらた」の四大監査法人も大量に採用。〇六年にはその年の合格者数を上回る数を採った。ところが、〇八年九月のリーマン・ショック以降、採用数を大幅に減らしている。

 このため、その後は民間企業に就職する人がじわりと増え始めている。金融庁などのアンケートによると、一一年には一割近くが民間企業に就職。四割近くが監査法人以外で就職を目指した。就職先は銀行や自動車メーカー、居酒屋チェーン、旅行会社など多岐にわたる。

 民間企業でも、経理や経営企画などに携われば、資格に必要な実務経験とみなされるが、金融庁の広報担当者は「民間企業の人事は会社の事情で決まり、個人的な配慮をしてくれるところは少ない」と指摘する。

 全国展開する大手進学塾に就職し、経理を担当する岐阜県出身の男性(28)は「進学塾で実務を積むケースは私が初めて。実務として認められる保証はないが、大丈夫だと信じたい」と話す。

 日米両国の公認会計士資格を持つ愛知工業大学の岡崎一浩教授(会計学)は「公認会計士は公務員ではないので、自由競争の中で生きるのが本来の姿。合格者たちは監査法人が一番の就職先という認識を変えて職域を広げれば、民間企業も活躍の場になるはず」と話す。

 <公認会計士>
 上場企業などの決算書類を株主や投資家に代わり監査して証明するのが主な仕事。監査業務は公認会計士のみ認められている。粉飾決算を未然に防ぐ役目を担い“市場の番人”といわれる。資格を取得すると、無試験で税理士や行政書士として登録できる。短答式試験をパスした最終の論文試験は例年8月にあり、合格率はほぼ1桁台で、15%前後になった年もある。2011年の公認会計士数は約3万人。


<以下追加引用>
公認会計士、志願者数はピークの半分 就職難イメージで
2013年9月21日 朝日新聞

 3大国家資格試験のひとつ、公認会計士試験の志願者数が急減している。難関とされる試験をパスしても、主な就職先の監査法人がリストラで採用を絞り、就職難のイメージから人気が急落したことが背景にある。人手不足が心配される監査法人では、合格者の奪い合いも起きそうだ。

 「就職が最悪の時に勉強を始めれば、受験するころには良くなっているだろうと思った」と、今年の会計士試験を受けた都内の大学3年生(20)は話す。

 最盛期の2010年に約2万6千人いた志願者数は、今年は約1万3千人まで減少した。合格者数もピークの07年は4041人だったが、12年は3分の1の1347人に減った。

 金融庁は、国際化で目まぐるしく変わる会計制度に対応しようと、約2万人の会計士を約5万人に増やす目標を立て、06年から合格者数を急増させた。だが、08年のリーマン・ショックで新規上場企業が大幅に減少。仕事が減った監査法人は、採用を大幅に削った。【松浦新】
by negitoromirumiru | 2009-12-31 21:05 | 生活 | Comments(0)


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