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介護職の待遇改善?

待遇改善 道半ば 介護職の現場
2009年11月12日 中日新聞

 介護施設などでの人手不足の原因となっている低い給与水準の底上げを目指し、国は、四月に介護報酬を3%アップさせたのに続き、十月には待遇改善のための特例交付金の制度を始めた。関係者の受け止め方はどうなのか? 現場の声を聞いた。 (佐橋大)

 岐阜県内のデイサービスセンターで正社員として働く介護福祉士の女性(28)の一カ月の手取りは十六万円台。「やりがいはあるが、同年代で他の仕事をしている人と比べると安いと思う」。準備のために午前八時までには出勤。入浴介助などが終わった後も、書類整理などで午後八時を回ることもしばしば。四月の介護報酬の改訂後、増えた基本給は約五千円だ。
 介護職員の労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査では、八月の組合員の平均月給は約六千五百円の増加にとどまった。当初、麻生政権は「月二万円増える」との試算を出していたが、程遠い数字だ。
 同ユニオンは「今回の報酬の増額分が、二〇〇三、〇六年の二回の報酬引き下げで苦しくなった事業所の経営を改善するための資金に回った可能性がある」と指摘する。
 東海地方で六つの介護事業所を担当するコンサルタント(38)は「不景気で求人を出せば、応募があるようになった。一方で『家族が養えないから』と離職する男性職員も目立つ。景気が良くなったら、また求人難に戻るだろう」と話す。

 また、十月から「介護職員処遇改善等臨時特例交付金」制度が始まったが、関係者の反応はかんばしくない。
 事業者の申請に基づき、通所介護1・9%、老人保健施設1・5%など、報酬の一定割合の助成金を、都道府県を通じ国が事業者に支給。事業者はこれに独自負担で上乗せし、職員の賃金を引き上げる制度だ。
 予算額は二・五年分で四千億円。国は、この事業で職員一人あたり月一万五千円程度の賃金増を見込む。しかし、十月中旬時点での申請率は48%と低調だ。
 現場からは「使いにくい制度」との声があがる。要因として、詳細な改善計画の提出が求められるなど手続きが煩雑で、余裕のない経営者には、事業者の上乗せが負担になっている。
 「職場内で公平性が保てない」と悩む事業者も。助成対象は介護職員だけ。看護職員やケアマネジャー、理学療法士らは除かれる。愛知県豊橋市の老人保健施設「赤岩荘」の渡辺晃祥施設長は「さまざまな職種がかかわって一つのケアが成り立つのに」と首をかしげる。
 長妻昭厚生労働相は、二〇一一年度末の交付金制度終了後も、民主党の政策「ヘルパーなどの給与の月額四万円引き上げ」に沿う形で処遇改善に取り組む方針を示すが、先行きは不透明だ。介護事業者の中には処遇改善が続くか疑問として、給与を引き上げず、一時金の支給にとどまるところも多い。「介護報酬を大幅に引き上げないと問題は解決しない」との声が強い。
 介護報酬 2000年に介護保険制度が始まってから3年ごとに見直されている。社会保障費削減のため03年に2.3%、06年に、2.4%それぞれマイナス改定された。その結果、職員の賃金が低く据え置かれ、人手不足が表面化した。
by negitoromirumiru | 2009-11-15 12:12 | 福祉 | Comments(0)


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