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「ちかん冤罪」対処法とは!?  「痴漢冤罪」を仕掛ける、「復讐屋」も存在

それでもボクはやってない 宮本 督
2009.2.23 中島・宮本・溝口法律事務所

 いつのことだったか、滅多に見ないテレビを見ていたら、弁護士が4人出演して、痴漢に間違えられて取り押さえられたらどう対処すべきか?という問題に回答していた。4人のうちの1人は、いわゆる「ヤメ検」って言って検察官あがりの弁護士さんだったから、まあ要するに聴く価値がないので無視すると、残る3人のうち2人の意見は、「走って逃げる」だった。

  驚くかも知れないけど、って一応、驚いて欲しいんだけど、残念ながら、これは正解だ。圧倒的に正しい。ただね、一応、司法に携わる専門家で、裁判のプロ(私もそうなのね。念のため。)が、このような答を出さざるを得ないというところに、この国の刑事司法の圧倒的な腐敗っぷりを読みとって欲しい。ちなみに、もう1人の回答は「裁判で争う」。残念。不正解。

  「それでもボクはやってない」って映画があって、見た人も多いと思うけど、まあそれはそれは大変にリアルな映画なわけで、というか、弁護士をやってると、日本ものの法廷ドラマって、笑いが採りたいとしか思えないメチャクチャなのばっかりなもので、違和感のない裁判モノというのを見たのは初めて。

 主人公のフリーターは、満員電車から降りたとたん中学生の女の子に手首をつかまれる。駅員室に連れて行かれた彼は、覚えのない痴漢を頑強に否定。すると警察に連行されて留置される。強圧的な取り調べを受け、面会した当番弁護士からは、罪を認めたほうが得策と諭される。フリーター君は、それでもやってないと頑張って、裁判が続いていくと。その結末は映画を見て頂くこととして、この映画は虚構でも冗談でも何でもない。この国の刑事司法は、この映画のとおりで、ホント出鱈目でどうしようもないんだ。

 まず、「人質司法」って言うんだけど、犯罪を認めない限り、逮捕・勾留はずーっと続く。「認めちゃえば早く出られる。」とか言われて、実際、痴漢なんて自白しちゃえば、長くても1泊2日程度(多くはお泊まりはなし)で済むけど、否認して頑張ると、最低23日間。その後起訴されると、少なくとも数ヶ月は牢屋の中だ。普通のサラリーマンだったら、間違いなくクビになるだろう。それだけじゃなくて、痴漢で逮捕されたとか、マスコミは警察発表を垂れ流すだけだから(「○○容疑者は、容疑を否認している。」って書いてくれるけどね。あー有り難いね。)、家族とかもいたたまれない。間違いなく社会的には抹殺される。最初から認めちゃえば、有名人とか公務員とか弁護士とか、マスコミの餌食になるような職業じゃない限り、報道されることもないし、会社に知られることもない。刑事訴訟法の解説なんて、虚しくなるだけなので書かないけど、一応、法律では、起訴された後は、勾留されない(保釈される)ことが原則で被告人の権利と決まってるんだけど、裁判官は、そんな法律なんてどこ吹く風だから、もうどうしようもない。

 それから、「誰でも有罪と証明されるまでは無罪と推定される」っていうのが、一応、世界中の刑事法では、大大大大大原則とされているんだけど、こんなの(推定無罪っていうのね、一応)は、この国ではまったく形骸化してる、というか存在してない。なんせ有罪率は99.9%だ。友人の検察官は、転勤先で、どう考えても無罪になるだろうと思われる事件を担当させられて、前任者は何でこんなの起訴したんだろう、控訴するのかの審議の準備とかめんどくせーなーと思っていたら、それでも有罪判決が出て、言い渡しの時は耳を疑ったよ、馬鹿じゃないかと思った、弁護士さんすげー怒ってたけど当ったり前だよねぇ、と笑ってた。この国の刑事裁判官ほど楽な仕事はない。検察官の言うとおり判決を書けばいいんだから。右のものを左に書き写すだけだ。大学を出た人間がやるような仕事じゃない。特に東京高等裁判所がメチャクチャで、世界史上で最悪に最強で最低の裁判所と言われている。歴史上のどんな軍事政権下の裁判所より“強い”。とにかくクソもミソも何でも有罪。あれも有罪。これも有罪。みんな有罪。どーでも有罪。絶対に有罪。一審で無罪になったのは、必ずひっくり返す。一審の有罪は当然にそのまんま。そんなわけで、東京高裁だけじゃなく、刑事の裁判官は、「法務省(検察庁)の出先機関」とか揶揄されてるけど、むしろ検察官の方がずっとずっとマシで、最近じゃ、「悪魔の手先」かと思うようになった。だって、多くの検察官だったら無罪の可能性を考えて起訴しないような事件でも、間違って起訴されちゃったら、絶対に、まあ正確には99.9%だけど、有罪にしちゃうんだもん。裁判員制度が始まるらしいけど、さて、どうなることやら。

 というわけで、痴漢と間違えられたら、とにかく逃げるのが正しい。次の日から同じ時間に同じ電車に乗ったりしたら、パクられるかも知れないから、引っ越して通勤経路も変えることだ。そして、残念ながら、逃げ切れずに逮捕されちゃったら、やってもやっていなくても関係ない。認めて謝ってしまうのが正しい。無罪を主張するのって、そのことだけで犠牲が大きすぎるし、そもそも莫大なエネルギーを費やしても、あなたが無罪になる確率は0.1%だ。
 とても悲しいことだけど、この野蛮な国で生き伸びるための処方箋として覚えておいて損はないと思うよ。


<以下追加引用>
憎い相手をハメる手段 女性手配し「痴漢冤罪」を仕掛ける
2012年03月01日 NEWSポストセブン

 サラリーマンとていつどこで恨みを買っているかわからないままにトラブルに巻き込まれ、社会的信用の失墜を招くケースが後を絶たない。パワハラ、セクハラなどで「ハメられる」ケースもある。
 個人的に相手をハメるだけでなく、専門業者に依頼するケースも増えている。
 
「以前は素行調査や浮気調査が主な仕事だったが、今はそれよりも“復讐したい”という依頼が多い。食べていくために、かなり危ない手段を取る会社も増えてきていますよ。うちでも月30件ほどの相談の半数以上は“恨みを晴らしたい”というもの。女性も多いですが、サラリーマンからの依頼もかなりあります」
 
 こう話すのは、「復讐屋」も兼務する、ある調査会社の社長である。
 
「ハメる手段のひとつが痴漢。方法は簡単で、相手の男性が乗る電車を調べて、そこに手配した女性を送り込む。女性はわざと体を近づけて騒ぎ立てる。相手が酔っていたら、まず九分九厘成功します。最近では、警察は被害女性の身元も洗うので、こちらにもリスクがある。女性を特別手配する場合は特別料金をいただいています」(調査会社社長)
 
 やられた側にとっては完全な“冤罪”だが、痴漢のレッテルを貼られた痛手は極めて大きい。痴漢冤罪に詳しい渡部直樹弁護士がいう。
 
「痴漢容疑をでっち上げられて逮捕されたら、それが冤罪だったとしても、社会的信用を回復するのは並大抵のことではない。20日間も留置場にいなければならないと思うから、身に覚えがなくても『じゃあ、やりました』と認めて帰してもらおうとする。虚偽の自白が起こりやすい構造があるんです」
 
 裁判で争うにしても、費やす時間と労力は並大抵なものではない。それで有罪になれば会社はクビ。有罪にならなくても会社にいられなくなることも多いという。リスク・ヘッジ代表取締役の田中辰巳氏の話。
 
「会社によっては、社名が出ると大きなイメージダウンになるので、できれば“元社員”にしたい。だから早く処分を下そうとする。対処は会社によってまちまちです。現行犯逮捕の場合は解雇、後から疑いを持たれて逮捕された場合は、起訴された段階で解雇するケースが多い」

※週刊ポスト2012年3月9日号
by negitoromirumiru | 2009-10-01 16:24 | 箪笥 | Comments(0)


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